VRで歩けるデバイス「Omni」アメリカ以外への出荷断念

VRで歩けるデバイス「Omni」。開発元のVirtux社は、配送コストが当初の想定を上回ったとしてアメリカ以外への出荷を断念したことを発表しました。

ランニングマシンのような外見と、歩く、走るといった動作がVRで実現するデバイスとして国内外で注目を集めていただけに、残念な展開となりました。

Omniとは

OmniはVirtux社が開発を行っていたVR用歩行デバイスです。ランニングマシンを彷彿とさせる計上をしており、Oculus RiftやHTC Vive等と使用します。VR内で歩く、走る、しゃがむ、ジャンプするといったアクションを、プレイヤーは現実に動くことで可能にする歩行型のコントローラーです。

2013年のKickstarterで110万ドル(約1.3億円)を集め、開発を続けています。当初予定のリリース時期から遅れが重なり、2016年初には「出荷は近々」と言及しつつも出荷されない状況が続いていました。

Omni使ったFPS大会、走り方がプロすぎた。試合中から曇って見えにくそうで、さはに終わってはずしたら顔中が汗でびっしょりなってた pic.twitter.com/aeTIb7BRhs

— すんくぼ (@tyranusII) 2016年1月10日

出荷遅れとアメリカ国外出荷断念の経緯

Virtux社はOmniの開発において、完璧な歩行が実現した反面、当初見積もっていた生産コストが実際には3倍以上かかったこと、製品版のサイズがおよそ80kgとなり箱のサイズが123cm×110cmにも及び総重量は105kgになることを説明しています。

Virtux社はこの大型化と様々アクセサリーの追加パッケージを含んだ際に、各国における規制なども絡み、世界中にこの製品の出荷を実現するためにあまりにコストがかかりすぎると続けます。

その結果、同社はアメリカ国内の顧客には製品版を出荷する一方、アメリカ国外の顧客には払い戻しを行うことを明らかにしています。払い戻しの際は年利3%の利息(複利)が支払われます。米国内の顧客も希望に応じて払い戻しを受けることが可能。

Kickstarterの出資者や予約購入者には個別にメールにて詳細な払い戻し手順が送られるとのこと。

同社は、今後世界中の顧客へOmniを出荷できるような体制を作っていきたいと述べています。一方で、各国への一般消費者ではないVRアーケードなどへの導入は国際的に進んでいると言及。今後は一般向けに加えて、VR体験施設等への導入を積極的に進めていくことを示唆しています。既にOmniは中国のVRアーケードへの導入が決まっています。

VRで歩く、走るという夢

Kickstarter発のプロジェクトには、プロジェクト自体が消滅してなくなってしまうことは珍しくありません。しかし、Omniは開発が遅れているとはいえ、展示会等でも積極的に出展し、製品化が待たれていたデバイスです。

その期待は、「VRの中で、境界を気にすることなく自由に歩きたい、走りたい」という悲願とも言える願望を多くの人が持っていることを示しています。Omniの他にもこのような歩行型のデバイスや、日本発の「Unlimited Corridor」のようなアイデアが登場しています。

(参考)

Virtux社公式ブログ

http://forum.virtuix.com/discussion/2895/international-refund-program#latest

この記事を書いた人

  • 慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、環境省に入省。環境白書の作成等に携わる。ECベンチャー勤務を経て、現Mogura VR編集長、株式会社Mogura代表取締役社長。
    現実を進化させることができるVRに無限の可能性を感じ、身も心も捧げている。これまでに体験したVRコンテンツは展示、配信合わせて500作品以上。現在ももちろんコンテンツを体験し続けており、VR業界の情報集約と提供、コンサルティングに強みがある。また、海外の主要なVRイベントでは必ず現地に足を運び、取材やネットワーク構築を行っている。2016年は6回渡米。

    Twitter:@tyranusii

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