火星調査ミッションに向け、NASAは宇宙飛行士の孤独や精神的苦痛を和らげるため、VRコミュニケーションシステムを開発しています。現在はその一環として、宇宙飛行士に送るためのVRホログラフィックメッセージを制作しています。
孤独な宇宙空間における宇宙飛行士の精神的苦痛を緩和
NASAは今後、火星の調査ミッションを行う計画です。しかし長期の地球外での滞在で問題となるのは、宇宙飛行士の精神衛生状態。火星のような遠く離れた孤独な空間での長期間の滞在は、宇宙飛行士に精神的苦痛を与えます。
そこでNASAは、Hawaii Space Exploration Analog and Simulation(HI-SEAS)と呼ばれるリサーチプログラムを実施しています。これは約1年もの間、無人のハワイ火山に住み、火星における宇宙飛行士の生活をシミュレーションする実地実験です。
ハワイ火山にて、フィールドワーク、器具のテスト、食事など実際の火星での生活をシミュレート。
NASAは人間の3DCGモデルの再現技術に特化したVRスタートアップ「8i」と契約。孤独からくる宇宙飛行士の精神的苦痛を緩和するために、同じく宇宙飛行士であるBuzz Aldrin氏とReggie Watts氏らによるホログラフィックメッセージを制作しています。
ホログラフィックメッセージの中で、Aldrin氏は宇宙飛行士としての彼自身の体験談や火星に人を送ることの展望などに関するメッセージを、Watts氏は即興の歌やビートボックス、ジョークなどを披露しています。
ホログラフィックメッセージの制作に協力した宇宙飛行士のBuzz Aldrin氏
Aldrin氏は、「人間が地球を離れ火星で孤独な生活を営む上で、VRによるメッセージは彼らと彼らのホームである地球とをつなぐ手段として非常に重要です。私はメッセージの制作に携われることを非常に光栄に思います」のように語っています。
Aldrin氏とWatts氏以外の人からの追加メッセージに関しては来年の初めに明らかにされるとのこと。VRホログラフィックメッセージという形で送信される彼らのメッセージが、遠く離れた孤独な宇宙飛行士に励ましと娯楽を与えるとしています。没入感があるからこそのVR特有の活用方法と言えるでしょう。
(参考)
NASA Could Use Virtual Holographic Messages To Combat Mission Isolation(英語)
http://uploadvr.com/nasa-holographic-buzz-aldrin/
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