デンソーのアイデア光る「走るVR体験装置」 VRと電気自動車で

自動車とVRというと、設計段階での利用やディーラー店等でのバーチャル試乗体験などがすでに取り組まれています。

自動車業界での利用は海外メーカーが先行していますが、日本の自動車部品メーカー・デンソーは、これまでと全く異なる形で自動車とVRを結びつけたサービスを提供しようとしています。

デンソーは、10月3日から開催中の展示会CEATECに、VRと自動車を組み合わせたソリューション『VR-CAR』を展示しています。


VR-Car

この「VR-CAR」は1人乗りの車の運転席に乗り込み、Oculus Riftを装着して空を飛ぶ車で世界各地の空を飛ぶ体験をするというもの。それだけだと車を使っただけの体験展示ですが、この「VR-CAR」にはこれまでのVR体験になかった大きな特徴があります。

まずは体験内容を簡単に紹介していきます。このコンテンツではプレイヤーは何も操作する必要がありません。運転席には座りますが、アクセルやブレーキのペダルには足を置かず、ハンドルには手を添えるだけです。VRではヘッドセットについているセンサー(Leap Motion)ごしに自分の手が見えます。

車がナレーターの声とともに前に動き出し、最初は普通に走行。加速するとシーンが変わり、空を飛びながら、360度撮影された世界各地の自然や都市を眺めます。Oculus Riftを使用するため、車の下を覗き込むことも。左右や上下の動きも感じながら、酔うこともない快適な空の旅を体験できました。


VR-Carの運転席の両脇にはOculus Riftのセンサーがしっかり固定されている

PC、VRコンテンツ、車の制御機構が一体となった完全同期のシステム

ここまで書くとあまり大きな特徴はないかのように感じられます。加速などの時に感じるのはモーションチェアか何かだったのでしょうか。4DXなどで使用されているチェアやSIMVRなどのVR専用のものよりも、ずっと柔らかでリアルな体感だったような……。

他の体験者の様子を見ると、その謎が解けました。

https://www.youtube.com/watch?v=IBRboW3zdc4

そう、このVR-CARの最大の特徴は「車が動く」こと。「動く」というのは、モーションチェアのように振動するということではありません。実際に車として前後に「動く」のです。

このVR-CARはトヨタ車体の1人乗り電気自動車「コムス」です。公道を走ることのできるれっきとした電気自動車です。このコムスを改造したのがVR-Car。車としての走行機能はそのままに、トランクにPCを配置し、車の制御機構と接続しています。VRヘッドセットはこのPCと接続。これにより、VRコンテンツの中での動きと完全に連動して車自体が動いています。デンソーの担当者によると、「この完全に連動した制御機構にデンソーの技術を活かしている」とのこと。全くズレもなく、違和感のないVR体験を演出しています。

さらに、体験中に感じた「左右にカーブする感覚」や「高度が変わる際の上下の感覚」も、現実には車の前後の動きで再現しています。

モビリティ×VRの可能性

この「VR-CAR」ですが、実際に走行することも可能なため、「イベント会場で展示の際も乗っていくことができる」とのこと。車そのものが展示物ということで、一石二鳥の使い方ができます。

デンソーはトヨタ車体、コンテンツメーカーと共同で、自動車の車体やコンテンツなどの一式をソリューションとして販売していく予定です。

今回の展示では体験内容は世界各地の空を飛ぶという観光要素の強いものでしたが、今後教育や産業など各分野で応用していきたいとのこと。すでに観光目的で導入の相談がきているようでした。

展示しない期間は通常の自動車として使用し、イベントのときのみ展示物として使用するなど、一台二役の使い方に期待できそうです。

 

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この記事を書いた人

  • 慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、環境省に入省。環境白書の作成等に携わる。ECベンチャー勤務を経て、現Mogura VR編集長、株式会社Mogura代表取締役社長。
    現実を進化させることができるVRに無限の可能性を感じ、身も心も捧げている。これまでに体験したVRコンテンツは展示、配信合わせて500作品以上。現在ももちろんコンテンツを体験し続けており、VR業界の情報集約と提供、コンサルティングに強みがある。また、海外の主要なVRイベントでは必ず現地に足を運び、取材やネットワーク構築を行っている。2016年は6回渡米。

    Twitter:@tyranusii

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