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VTuber 2024.02.28

この動画がすごい! 今週のおすすめVTuber動画(~2月24日)

日々クオリティの高い作品がアップされ続けている、VTuber(バーチャルユーチューバー)や、バーチャルクリエイターの動画。その中から独断と偏見で「この動画は是非見て欲しい」というものをご紹介。特にユニークな作品や技術力や企画力の高い作品、時事性のある作品などをさらに深掘りし、今のVTuberの面白さ、頑張り、才能をキャッチしていきます!

廻花 – 怪歌より 深化ALTERNATIVE 5 –

廻花のチャンネルにアップされたのは、花譜のライブで公開された廻花の登場シーンの様子です。題して「深化ALTERNATIVE 5」。花譜の新しいバリエーション、という意味の言葉のようで、今までだと音楽性同位体の可不もそのひとつに含まれます。

実際の人間の姿である廻花は、いわゆる「中の人」「魂」というメタな言葉で捉えられそうになりますが、間違ってはいないもののちょっと違います。花譜は花譜ですし、廻花は廻花。花譜として活動していたときも「普段の表現者・創作者」としての廻花もずっと現実世界に存在しており出していなかっただけで、これからは並行していく、という考え方だそうです。

「私としては、花譜としてしか存在していなかったときもそのなかで廻花は存在していたんです。他にも寝ているときとか食べているときの、どちらでもない私も存在します。だから自分的には何も変わってないよって」
「自分としては隣あった近いものだけど、やっぱり意識が違うというのが、自分にとってすごい大事なんですよね。こうありたいなっていう自分の理想もあるし、今までみんなで作ってきたものの大切さもあります。違わないけど同じではないから、廻花が別の存在として生まれたと感じています」
(PASH!2024年3月号掲載 花譜インタビューより)

たとえるならば、華やかな俳優も普段は普通の学生、のようなペルソナの違いの感覚に近そうです。なので花譜の活動が減ることは特にないとのこと。シンガーソングライターとしての活動を廻花として切り分けたことで、新しい表現を見せてくれそうです。

さっそく初のMVもアップしています。作詞作曲歌唱は廻花です。花譜のときに歌ってきたセンスを吸収しながら、新しいスタイルの表現を見せてくれました。歌詞はとてもみずみずしい感性にあふれていて、それを反映したような学生たちのMVがとても爽やかでアンニュイ、若者の心に寄り添う作品になりました。

100年前のパリピはどこで遊んでいたのか?

女学生VTuber春日陽のレトロ近現代史は、2022年8月からスタートした、明治・大正・昭和を探って楽しむ知識系チャンネルです。今回は100年前にもいたであろうパリピはどのように遊んでいたのか、学生たちはどんな隠語を話していたのか、春になってどんな生活を楽しんでいたのかなど、現代の様子と比較すると面白い、当時に生きた人たちの姿が鮮明に見える紹介を行っています。

近現代の子どもたちの危険な遊び戦時中のファッション、昭和のジャンプの謎広告など、一般民衆の日常生活・風俗を中心に幅広く近現代史を扱っています。
動画形式は、かつてからあったYouTubeの知識系映像の構成に近いです。コメント欄を見ると、視聴者もどちらかというとVTuberファンよりも資料系動画好きが多いようです。

このチャンネルは「春日陽」というVTuber・キャラクターが存在することで、見やすくまとまっているのが最大のキモです。キャラクター性のある語り部を存在させることで、資料をより受け止めやすくする、という点はVTuberのよさが生きています。春日陽は女学生としての立ち位置と、近現代史特化のこだわり、現実社会と比較できるような視点でアイデンティティを確立しています。

昔から対話形式の「ゆっくり解説」動画は多数ありました。それに対し知識系チャンネルでオリジナルのキャラクター性を持った存在が、バーチャルに設定されているチャンネルも現在増え続けています。語り部キャラクターが自分自身で「VTuber」と言っているかどうかの差はありますが、面白さ自体はチャンネル独自のものです。色々探してみると、VTuberか否かに限らない、境界線を越えた色々なスタイルでの知識エンタメ動画を楽しめると思います。

伝説の元VTuber「ねこます」今夜限りの大復活!〜現役V河崎翆さんも参戦し語るVTuberの魅力と歴史!!【山田玲司-438】

漫画家・山田玲司のチャンネルに、元VTuberのねこます(元・バーチャルのじゃロリ狐娘YouTuberおじさん)と、現役VTuberで、VTuber界隈に詳しい河崎翆がゲストとして出演しています。

ねこますは今回はVTuberのときの姿みここアバターで登場していますが、現在はVTuberとしてはやっていません。クリエイターとしての活動と、タレント型VTuberが一気に動いてしまった世相とのギャップに挟まれた生き証人として、冷静な視点で、かつ赤裸々に心情を語っています。ねこますをメディアがとりあげるとき、監修できる記事に関しては「四天王」という呼び名もやめてもらっているという話なども出ています。
VTuberの中でもタレント業がどんどんその質を高めていくであろう未来への見方と、自分のかつての存在意義について、一歩引いたところから観ている様子は、一度話題のトップまで行ったねこますにしか語れない部分です。

VTuber知識がない側の出演者からは、時折ネガティブな意見が出ます。それを別角度から見ることで、ポジティブな面白さとしてVTuberの魅力をふたりが語っているのは興味深いところです。ひいては日本でVTuber文化の人気が爆発した理由も、ふたりの語りから見えてきます。
マンガ家と作品に例えて、アクターとVTuberを解説するねこますの話は、山田玲司や出演者にも深く刺さっていたようで、特に出演者による感想としての「VTuberは顔を隠すマスクマンではなく演じる人形浄瑠璃のほうだった」という趣旨の発言も、改めてVTuberを見る際に考えたいポイントです。
「会話のできるインタラクティブなキャラクター」という魅力や、「キャラクターはVTuberになったら売れるのか」「VTuberはキャラクターとして売れるのか」という問いも、VTuberファンならもう既に何度も観てきた話題かもしれません。でも知らない人からすると今でもびっくりしてしまう世界である、というのを知ることができるのも貴重です。

河崎翆のチャンネルに山田玲司が出演したときは、VTuberのメンタルケアについて対談していました。VTuberに病みやすい人が多いのは昨今の苦い事実。どう客観的に自分を観てたくましく生き抜いていくかについて、配信者のありかたを語り合っています。両者ともマンガ内や配信内で、人間の精神面での病みに向き合ってきただけあって、VTuberの厳しい現実に切り込みながらも、心を守る励ましを与えてくれています。VTuberはもちろんファンにも是非観てほしい内容です。

【 #じゅえるふぇす 】物語歌枠『アクアマリンの星』【風街ピリカ】

吟遊詩人の風街ピリカが行った「物語歌枠」は、「歌枠」という概念をひっくり返す、ものすごく珍しい形式のクリエイター作品でした。
そこで吟じられているのは、宝石アクアマリンの神の物語。風街ピリカが語り部となって、宝石たちが考える自らのあり方と、アイデンティティから生まれる「世界」についてのストーリーを展開していきます。

空の一部になりたかったアクアマリン。けれども体をいくら削っても水になるばかり…。
自分が自分になることの意味を問う、優しい神話のような物語は、世界と魂を描き続けてきた風街ピリカならではの作品です。

この配信作品は「Jewel Fes(#じゅえるふぇす)」という、20人以上のVTuberたちが宝石にまつわる歌枠をリレー配信した際に作られたものです。当日のアーカイブはプレイリストにまとめられていますアメジストスギライトガーネットアレキサンドライトなどそれぞれ宝石を解釈しながら担当し、歌うというかなり凝ったもの。それぞれの個性が出たセットリストも、歌唱力の高さも見どころ満点。どこからでも楽しめるので、順番に聞くもよし、好きな宝石から聞いてみるもよしです。

VRCのうた#21「イキティロックンロール!!」

メタバース・VRChatあるあるネタをブルースするてんてい。今回は店舗型イベントへの一喜一憂を歌っています。
店舗型イベントは入れる人数がどうしても限られるため、時間になったらお客さんはリクエストインバイトを運営に送り、その返事がきたら入室できる、という仕組みのものが多いです。戻ってきたときは青い封筒のアイコンが表示されるのですが、これが届くことは本当に稀。そのくらい人気イベントは競争率が高いです。入れないことのほうが圧倒的に多いくらいです。

この「今日も入れなかった…」「推しに会えなかった…」というしょんぼりな気持ちをロックンロールで歌っています。リクイン待ちのヒヤヒヤを一度でも経験したことがあるなら、笑いながら泣ける内容になっています。

リクエストインバイト形式じゃないイベントの場合は「JOIN戦争」というものが行われていました。イベント開始時に早いもの勝ちでJOINを押す、だめだったら読み込んだ後「ぶっ」という音で切られる(今は読み込み前に切られます)というさらに熾烈なものでした。ちょうど一年前に作られた曲ですが、ジョイン戦争もリクインの祈りも、そこにかける人生悲喜こもごもがうまく歌われているのであわせて観てみてください。

てんていはclusterでワンマンライブを行った際の動画もアップしています。コミカルなメタバース・ブルースと、切ないメタバース・バラードを歌うてんてい。ギター一本で、滑稽な人生と鬼気迫る感情と、VRに生きる人たちの繊細な姿を表現しています。迫力あるボーカルの、共感を刺激するディティールの細かさは必聴です。

【ヴァーチャルバーサーカー/えのぐ】津軽三味線と民謡声で 歌ってみた& 弾いてみた【女性VTuber cover】

三味線 VTuber早紅夜が、えのぐの人気楽曲「ヴァーチャルバーサーカー」をカバーし、アップしました。もちろん三味線VTuberの早紅夜によるカバーなので、今回も三味線アレンジ、民謡スタイルボーカルになっています。これが、えのぐの原曲が持つバーチャルへの固い決意の迫力と、ぴったりマッチ。さらに荒々しい波を感じさせるかのような演奏とボーカルになっています。
本人曰く「†シャミセン・バーサーカー・サクヤ†」。剣のかわりに持つ三味線の、力強さたるや。津軽三味線のパワーが存分に活かされています。

先日は「Perfect TSUGARU」という初のオリジナル曲もアップしています。こちらはカバー曲以上に三味線の味がフル活用されており、民謡型のボーカルものびのびと映えるような曲調になっています。歌の部分のみならず、間奏パートの三味線ソロは音の表情の付け方が見事なのでぜひ聴いてほしい部分です。

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