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VTuber 2021.12.30

「この動画がすごい!」2021年VTuberおすすめ動画を振り返り!

毎週MoguLiveにて掲載しているシリーズ「この動画がすごい! 今週のおすすめVTuber動画」。2021年も数多くの傑作動画・配信がアップされました。

今回はその中から特に印象的だった動画・配信を、関連動画と一緒に独断と偏見でチョイス。企画系動画・配信から2021年のVTuber界を振り返っていきます(音楽動画は今回対象外としています)。

東雲めぐ流のやさしい大切なお知らせ

東雲めぐがフリーとして活動を開始することになり、それを「大切なお知らせ」として発表したのがこの動画。今年はVTuberが一気に普及しておよそ3年目ということで、新しくデビューした人、引退する人、と入れ替わりが激しい年でした。そのため「大切なお知らせ」という文字列に対して、休止や引退などのナイーブな恐怖を抱く人が増えている実情があります。

そこを完璧なまでに明るく、楽しく、フリー化とはハッピーなものだと印象づけるこの動画とサムネイル。東雲めぐならではの、ファンへの思いやりに満ちた、この上ない幸福な動画になっていました。活動方針が変わった人が多いであろう今年ならではの、優しく楽しいこの作品、今後もVTuber界は出入りが多くなるとは思いますが、変化を幸せに受け入れられる空気になりますように。

黛灰の壮絶な物語演出と謎の企画配信

黛灰が新宿アルタビジョンをジャック。大規模な仕掛けの中に、彼の人生自体が織り込まれた展開。ファンは騒然となりました。しかし通りすがりの知らない人からみたら「なんかのプロモーションかな?」と見過ごす可能性があるのが街頭テレビ。黛灰本人は自身の存在・アイデンティティについて、存在として認知されるのか、それとも虚構・キャラクターとして見られるのか、問いかけます。実際に街頭で映したことで、その考え方が検証され「バーチャル」のありかたに一石を投じました。

彼の存在については動画シリーズで明かされているので、物語を是非追ってください。プレイヤー黛灰(この表現も鋭い)によって、物語に区切りはついたようですが、黛灰の活動はまだまだ続きます。

乾物ひもの、Live2D公式で

Live2Dへの愛が非常に強い乾物ひものが、Live2Dの公式トラッキングアプリ「nizimaLIVE」に関わり、紹介動画をアップして話題になりました。彼女は今まで、Live2Dを使用してどこまで動きを再現できるかにこだわり続けてきた技術者。首の回転や身体の大きな動作などをコツコツ開発し、発表するたびに多くの人をびっくりさせていました。

現在はkson総長などのVTuberのモデリングを担当し、その動きの幅で今もVTuberファンを驚かせています。そんな人物だからこそ、Live2D公式のnizimaLIVEのすごさを紹介する説得力も抜群に高いです。このアプリは今後大きく進歩していくそうなので、来年は要注目です。

空想を遊ぶ月ノ美兎企画のインパクト

月ノ美兎が行う企画配信は、どれもこれもインパクトが大きすぎて毎回視聴者に爪痕を残していきます。中でも「ポケモン世界の住人からのお気持ち」配信は、樋口楓、卯月コウ、ジョー・力一が事前にnoteで長文の記事をアップし、誰が書いたものか架空を楽しんでいくものすごく手のかかる内容。ただここまで緻密に作り込んでいるからこそ、視聴者もポケモン世界の住人になりきって参加できる、巨大なロールプレイ空間が誕生しました。これを一回きりで終わらせるのもかっこいい。

一方で死生観や人生観に対しての哲学を持って、エンタメに昇華しているのも月ノ美兎の魅力。「死」を初めて知った瞬間について、自身の話のみならずリスナー、ライバーからも募集し語り合っています。繊細な話題だけれどもこういう機会がないと語れない、貴重な思考の機会になっています。

編集動画でもこだわりの面白さを見せた月ノ美兎。特にこの「誤爆チキンレース」はわかりやすさとテンポのよさもあって、VTuberを知らない人にもウケてバズりを見せました。配信、編集動画、音楽とさらに活動を広げ、最近ではゲーム制作まで行っている月ノ美兎の活動の幅は今後ますます期待大です。

さらに二次元と三次元が融合していくおめがシスターズ


最新のVR・AR・MR技術でエンタメに切り込んでいくおめがシスターズ。今年も色々やってくれました。中でもしれっとやっていた、現実空間で動いているのをカメラでトラッキングしてアバターを動かす特殊技術は、なんの解説もなしに行っていたのでびっくり。これがあれば、外での撮影がメチャクチャ簡単に…?

何かしら新技術が出たら、おめシスを見ればいい、くらいの技術カバー力は目をみはるものがあります。脳波デバイス「NextMind」のように一般ではちょっと買わなさそうなガジェットもちゃんと使ってくれます。またYouTubeコントリビューターとして、機能アップデートや更新があったらすぐに解説してくれるのも魅力。エンタメがベースのチャンネルではありますが、技術者も必見です。

夏にしか会えない幽霊のVTuber、1年越しで成仏へ



一期一夏は、夏にだけあらわれる幽霊のVTuber。昨年と今年あらわれ、動画で視聴者と交流し、自身の物語を終えて成仏しました。いいことなのだけれども、本当に夏だけ、と徹底したストイックな活動だったこともあり、儚さが尋常ではありません。切なさが心に残ります。

短い動画で物語を終えるので、昨年の分から今年の分まで全部追ってほしいです。こういうバーチャルな存在の見せ方もある、というVTuberならではの作品シリーズです。今年は成仏前にコラボも行い、100人のVTuberとの思い出も作っています。より深く、かつて存在した幽霊でありバーチャルである少女の姿は、思い出に残るものになりました。2022年にはゲーム化するとのことなので、この凝ったプロジェクトがまだ続くことが楽しみでなりません。

VR技術とエンタメの融合・トライアンブリ

VR技術を駆使してエンターテイメントする、バーチャルテクノバラエティユニット「Triambly(トライアンブリ)」。ネタでみんなを笑わせる動画を作りつつ、技術力を真剣に高めていくスタイルが魅力的な三珠さくまるレオン・ゼロミヤ衛星ライトの3人組です。


バーチャル空間内での大道芸「V道芸」を行っている三珠さくまる。自身の身体能力を活かしたジャグリングを、VR技術でしかできないユニークな見せ方で披露する独自のスタイルです。ワープする玉のジャグリングや、自身の頭のお手玉などは極めてバーチャル。その他ファラリスの雄牛で焼き肉をしたり学習の手法を変えたAIを戦わせたりと、ユニークな企画に多数挑んでいます。


企画ネタを動画で見せ、ニコニコ動画でもバズっていたレオン・ゼロミヤ。VTuberファンの笑いのツボをうまくついたネタの「細かすぎて伝わらない」シリーズをはじめ、VR空間を活かした瞬発力のあるネタを披露しています。連続シリーズである「Vtuberの動画について語る【V-Video Night】」は、おすすめしたいVTuberの動画を持ち寄って語り合う紹介番組。VTuberをより知ることができる濃い内容なので、是非見てほしい番組です。



VR空間内での遊びをフルに活用している衛星ライト。新しいVRの面白さを見せるために自身で技術を開発。コツコツとした作り込みを、さりげなくネタとして出してくるのに驚かされます。物理演算ネタも、発想の転換で楽しませてくれます。これらの実験を企画に利用していくのが、彼の贅沢なエンタメ性です。

学術・専門分野VTuber大躍進の年

専門VTuberが集った夏休み科学Vtuber相談室は、一本ずつが短いので興味があるところから是非見てほしいシリーズでした。なによりこんなにたくさんの専門分野VTuberが本気で活動している、ということに驚かされます。寄せられた質問について、医療薬学、高分子科学、人工知能、法学、植物学、統計学などなど、専門分野特価で活動しているVTuberが次々登場。わかりやすく解説しています。

以前から専門分野VTuberは数多くいたのですが、2021年は特にそれぞれが活動において進歩を遂げ、次のステップに移行してきています。ジャンルへの追求はもちろん、専門者同士の交流でうまれる新しい学術研究や、外部講師(VTuberではない)を呼んで話を聴いたりすることで活動は活発化。来年は話題性も大きく飛躍しそうです。

おすすめしたい専門VTuberのひとりが、虫に特化したあやつじ。ポケモンのゴーリキーを昆虫の身体構造からひもとく、というぶっ飛んだ切り口で、しかしかなり誠実な解説で見せてくれました。その他にも「Halloween といえば昆虫ですよね」「エビのしっぽはゴキブリの翅と同じなのか」など、昆虫サイエンスへの切り口が面白い。来年更に期待したいひとりです。

企画力と実行力と司会力と人脈の鬼・因幡はねる


VTuber界隈の人々を集めて、大々的なクイズバラエティから内輪で鋭いエンタメまでこなす名企画者・因幡はねる。集める人脈の広さもさることながら、誰が見ても楽しめるような広い視野の企画の面白さ、それを演出するためにコツコツひとりで準備をする努力、ソロで司会をして映像も処理するさばき方は、ファンはもちろん、プロの芸人たちにも高く評価されています。

特にクイズ「漫画王」シリーズは、クイズの形式も全て自身で考案し、ただのクイズではないエンタメ番組としての面白さを追求。QuizKnockの面々とVTuberのバトルをした時は、VTuberを知らなくてもコメントで参加して楽しめる、出題の絶妙な難易度のさじ加減で多くの視聴者を盛り上げました。

また「バ美肉ラインを探せ」は視聴したVTuberから高く評価されていた配信。女の子からのLINEとバ美肉(つまりおじさん)からのLINE、文面だけ出してどちらか当てる、というもの。バーチャル界隈の男女感覚のバランスが問われる興味深い内容です。

その他にも、頻繁に行われる「Vのから騒ぎ」等、ギリギリなネタを攻めつつ、参加者も視聴者もみんな幸せになれる企画づくりにたけた存在です。

にじさんじおふざけ配信の極み「パシフィックリリム」

魔界ノりりむ卯月コウ葛葉による伝説のおふざけ配信が「パシフィックリリム」です。バナナマンの「パシフィックヒム」のスタイルを踏襲し、魔界ノりりむが凸待ちでやってきたライバーと会話、その内容を全て卯月コウと葛葉が指示するという企画。ちゃんと聞き取れていなかったり伝えられていなかったりで、てんやわんや。にじさんじという無差別格闘級集団の空気感を知るにはもってこいです。この3人及びやってきたライバー、相互へのエンターテイナーとしての信頼感が成立していないとできない配信でしょう。

千条アリア、MV撮影の裏側をメタに公開


メタな撮影についての話題は苦手な人もいるかもしれませんが、技術的には非常に興味深い配信を、千条アリアがかなり赤裸々に、惜しみなく披露してくれました。「シークレットシークレット」のMVを先に見てから、配信を見てください。高いクオリティの映像表現をどのように撮影しているかについて、そこまでばらしていいの!? というレベルでネタバラシしています。と同時にここまで凝って作っているのかとおののく部分も多々。これから3DMVを撮りたい人は必見の内容です。

VTuberの「推し」の時代を考える

2021年のVTuberは、タレント的側面での活躍が目覚ましい年でした。そのためもあってか、ファンの「推す」という言葉が、今まで以上に多用されました。ただ、アイドルでもそうですが「推す」とはなんなのか、さじ加減が分かりづらいものです。特に触れ合えないディスプレイ越しの特殊環境のVTuberにどういう感情を持つのか。自遊空間の公式VTuber、というちょっと変わった立ち位置のろさが、募集したアンケートを元にしたこの配信、VTuberファン文化を考えるきっかけとして役立つものになりました。2022年、VTuberファンの「推す」の意味はさらに進化・成長していくかもしれません。

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執筆:たまごまご


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