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VTuber 2018.03.17

猫宮ひなた“天才ゲーマー幼女VTuber”の魅力を徹底紹介!

アップされている動画はまだ5本。なのにチャンネル登録者数は20万人猫宮ひなたが、バーチャルYouTuber界隈に新たな風を吹き込んでいます。すでに登録者数ランキングでは7にランクインしており、毎日数千人近く登録者数が増えている、急上昇中のバーチャルYouTuberです。

バーチャルYouTuberランキングより)

動画の面白さもさることながら、彼女はネットで存在感を印象づける手法が非常に巧み。今までの彼女の活動から探ってみます。

FPSうますぎ娘の衝撃

猫宮ひなたのTwitterが開設されたのは2018年2月10日でした。動画チャンネルの開設をした後、告知用にTwitter登録……というバーチャルYouTuberが多かったので、当時の彼女のムーブはちょっと変わっていました(なお、最近では「Twitterで準備告知→チャンネル開設」のスタイルは主流になりつつあります)。

最初は動画も声もない、画像のみでスタート。2月12日のチャンネル開設時にはバーチャルYouTuberファンの間ですでに有名になっており、動画が投稿されていないにも関わらず登録者数はめきめきと増えていきました。

理由のひとつは、Twitterにガンガンアップされる画像が、ゆるめのピンク髪ねこみみキャラクターで、非常にかわいかったから。動画も声もないのにファンアートがあがるほどでした。

もうひとつは、FPSゲームの異様な強さがほのめかされたから。最初にFPSの話題が出たのは2月11日「CSGOでは、ぐろーばるえりーとっていう階級でやってるよ」というツイートに、ゲーマーが騒然となりました。FPSゲーム『Counter-Strike:Global Offensive(CS:GO)』のグローバルエリートといえば、ランクの最高階級。プレイヤーの1%くらいしか持っていない、プロレベルの腕前です。さらっととんでもないことを言ってくれる。
 
2月13日、TwitterにアップされたCS:GOのプレイ動画は、彼女の言葉を裏付けるに十分なものでした。

ほとんど無駄弾を撃たず、的確に敵を発見してなぎ倒していく。こんなにエイムって一瞬で合わせられるものなのか。倒された相手側も何が起きたかわかんないんじゃないか……かくして猫宮ひなたはキラーマシンと周囲から呼ばれ、コアゲーマーの注目を集めます。
 
そしてついに公開された、猫宮ひなたの声。

幼げな写真、ゲームの腕前、けだるそうでキュートな声と、少しずつ情報が開示されていきます。まだかまだかと高まったテンションのところに、想像を上回るクオリティで新ネタを、少しずつぶちこんでくる。まだ動画を見ていなくても、「これは成功する」とワクワクしてしまいました。
 

そして2月16日、はじめての動画が投稿されます。Twitterに登場してからおよそ一週間後。これも「#00」、いわばティザームービーです。とはいえ、猫宮ひなたに「命が吹き込まれた」と感じさせるには十分すぎる内容でした。

猫宮ひなた、初めての動画とーこー!【#00】 

さらに時間が経って、2月21日。はじめてのゲーム実況動画がアップされました。これも「#0X」なので正式ナンバリング動画ではない。こだわりがある様子です。

プレイした動画は、多くのバーチャルYouTuberがプレイしている人気ゲーム『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS(PUBG)』。100人が一度に争うハードなバトルロワイヤルゲームで、かなり余裕を見せて一位(いわゆる“ドン勝”)を取るという、玄人すぎる腕前を披露しました。

彼女の動画は、全くゲームを知らない人が見ても上手いのがわかるように作られています。FPSやTPSは、プレイ経験のない人も多いジャンルです。確かに専門的なテクニックをおさえた上手なプレイ動画は、経験者に強い感動を与えます。しかしプレイしたことがない人には、なにがすごいのかいまいち伝わりづらい。

猫宮ひなたの「#0X」動画は、開始30秒ですごさがわかる。アサルトライフルのM16A4を一丁掴んだ瞬間から、流れるように3キル。このスピード感、理屈抜きにテンションがあがります。

後半になって人数が少なくなると、敵と遭遇すること自体がなかなか起こらなくなり、画面が地味になりがち。しかし、ここも「撮れ高」を意識して動いている+編集しているので、おいしいシーンだけピックアップしています。一方でひなたがうんちくを語り始めると強制的にカットされるのもユニーク。マニア向けな動画作りはせず、できるだけ広い層が楽しめるように工夫されています。

バーチャルYoutuber『猫宮ひなた』PUBGをやるよ!【#0X】

この動画はすぐに100万再生を突破。猫宮ひなたの名はバーチャルYouTuberファンのみならず、普段動画を見ないようなユーザーの間にも広まりました。

3月8日にアップされた実況動画では、PUBGのハンドガン縛りプレイに挑戦しています。経験者なら、最弱装備だけで戦うのがいかにとんでもないことなのか、すぐわかるはず。

一方で、実況動画の冒頭に何でも言うことを聞いてくれるアカネチャン(※)』のパロディとして「ハンドガン縛りがどういうものなのか?」ということを説明する映像を入れることで、PUBGを知らない人にもわかりやすく、入り口としてとっつきやすくしています。ゲームがよくわからなくても「煽られてムキになってるひなたちゃんかわいい」と楽しめる。

(※)音声ソフト「VOICEROID」のキャラである「琴葉 茜」などをテーマとした楽曲動画



キャッチーなタンクトップキャラクターの構造

猫宮ひなたのデザインは、バーチャルYouTuber界隈ではエポックメイキングなものでした。まずテンションが高くない。人気バーチャルYouTuberのキズナアイやミライアカリ、輝夜月は、ハイテンションがウリ。それに対し、ひなたは「うぇーい」とニヤニヤする程度で、ゆるい。

表情もそこまで変わらず、半開きの目でいつもけだるげ。時折口元がニヤッとするのが印象的です。基本はだらだらと、全身に力が入っていないのが、一枚絵でも表現されています。

BGMやエンディングを制作しているGYARI(ココアシガレットP)の曲が生み出す独特な空気感も、猫宮ひなた独自のテンポに影響を与えています。上がりすぎず下がりすぎないフラットなノリは、彼女のキャラクターの基盤になっています。
 

このチルアウト感ただよう性格は、衣装にも出ています。スーパーのレジ袋のごとき
ぶかぶかのタンクトップと、スパッツ。ニーハイソックスにはオシャレっぽさは出ているものの、全体像はとてもルーズです。横からだと胸が見えそうで気になって仕方ない。でもぎりぎり見えない……?!

……ともかく、この脱力全振りのキャラクター設定とのギャップで、キリキリ動くゲーム能力の高さが際立ったわけです。

初めまして!猫宮ひなただよ( •̀ .̫ •́ )✧【#01】

このキャラクターのつくりは、『らき☆すた』の泉こなたや『アイドルマスター シンデレラガールズ』の双葉杏といった、ゆるゆる・ローテンション・ハイスペック・美少女キャラの系譜です。ハイテンションではなく、じっくりとやりこんで遊ぶスタイルは共感しやすい。かっこつけずに強いのは、ゲーマーとして憧れる姿のひとつです。加えて宅配業者の相手をするが苦手でコミュ障気味という設定は、インドアオタクの親近感をもりもり喚起します。
 
幼女キャラという要素もとても大きい影響があります。これまでのバーチャルYouTuberはどちらかというとグラマラスなキャラの方が多め。ちびっこキャラが少なかった中、綺羅星のごとく猫宮ひなたが現れたことで、そういった層の心をごっそり盗んでいきました。
また彼女のネコミミ(寝癖)は、人気バーチャルYouTuberのバーチャルのじゃロリ狐娘youtuberおじさんことねこます氏をも虜に。Twitterでの発言から、さらに話題が広がりました。

キャラクター性を小出しにする手法

猫宮ひなたのTwitterを遡ると、かなり画像を小出しにしているのがわかります。初期は、個人のリプライに対して単独画像をアップしていたことすらもあります。

初の写真アップ、声、ゲーム動画、実況……と、本編が出されるまでの時間は、そこそこ長い方です。フォロワー・視聴者を飽きさせないよう、猫宮ひなたの魅力が出ているショットが少しずつアップされる。常に途切れない燃料が提供され続けていたわけです。

動画だけがバーチャルYouTuberの活動ではありません。現時点では、TwitterでのバーチャルYouTuberの発言自体が、コンテンツの一つとしてファンから認識されています。猫宮ひなたはそこをきっちりと捉え、巧みに立ち回り続けています。

猫宮ひなたの動画は編集に相当こだわっているようで、細かい部分まで、ギリギリまで手を入れようとしている痕跡が見られます。4本動画をあげているのに、いまだにナンバリングが1しかないあたりも、こだわりなのでしょうか。猫宮ひなた本人もTwitterで「編集にはすごく時間がかかっている」と述べていました。これが狙ってなのが偶然なのか、いい具合の焦らしプレイになり、ファンは彼女の動画を待ち望む状況が続いています。



猫宮ひなたと同人マーク

猫宮ひなたは最初から同人マークを掲げているのも特徴的です。

同人マークとは、原作者・権利者が、二次創作の作成や同人制作物の無断配布を許可する、という証明印。漫画家である赤松健氏が提唱したものです。「このマークがない二次創作はNG」というものではなく、「二次創作を積極的に認めます」という姿勢を示します。
 
バーチャルYouTuberの二次創作は、Twitterやpixivを中心に、ものすごい勢いで伸びています。ほとんどのバーチャルYouTuberが自分のファンアートを自らリツイートして拡散するあたりからも、二次創作に関してはかなり寛容な界隈だと思われます。

一方でバーチャルYouTuberは、アニメやゲームのキャラと異なり、作ったファンアートやマンガにバーチャルYouTuber本人が反応する、という非常に不思議な環境でもあります。中に人がいるので、アイドルやタレントの二次創作をする「ナマモノ」に近いけれども、かと言って相手はバーチャルで実体がない。実に「2.5次元」的な状態です。それゆえにファンとしては、二次創作に手を出していいかどうかは少しためらってしまう部分です。だからこそ、同人マークを掲げた猫宮ひなたは話題になりました。
 
猫宮ひなたによる「同人マーク」奨励の動きは、今後他のバーチャルYouTuberの活動方法にも影響を及ぼすかもしれません。彼女が巻き起こした旋風は、界隈を活性化させていきそうです。


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