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にじさんじ 2022.07.04

今、海外勢が注目する長尾景の英語学習 にじさんじVTuber国際交流の架け橋として急成長中

海外との壁がなくなったにじさんじ

VTuberグループにじさんじでは、海外ライバーとの交流がものすごい勢いで盛んになっています。他グループ扱いだったNIJISANJI KR(韓国・以下「KR」)、NIJISANJI ID(インドネシア・以下「ID」)が日本のにじさんじと統合され、NIJISANJI EN(英語圏・以下「EN」)の活動が活発化してきたことで交流の機会が大幅に増加。多言語が飛び交う国際色豊かなコラボが日々行われるようになりはじめています。

たとえば「ピンクオレ」というコラボでは、元KRのヤン・ナリ、元IDのMiyu Ottavia、ENのPetra Gurin、そして日本の小野町春香と、バラバラな国のメンツが集まり文化の違いも交えながら楽しいトークを繰り広げていました。仲良くなった4人は後日別のところでもコラボを行っています。

日本語を話せる海外ライバーは多いものの、日本のにじさんじライバーから英語でアプローチすることは、デビュー時からペラペラだったオリバー・エバンス以外だとそこまで多くはありませんでした。しかし言葉の壁を超えようと頑張ってコミュニケーションを取る姿を、徐々に日本のライバーたちも見せはじめています。その努力の過程こそが、一番のエンターテイメントです。

「誕生日までに英語で会話できるようになるケイナガオプロジェクト」

注目したいのが長尾景の活動です。自分から積極的に海外ライバーとのコミュニケーションを取っている日本人ライバーの一人で、「Minecraft」やFPSゲームなどで交流していました。彼は元から英語が堪能だったというわけではありませんが、現在では英語の配信を普通に聞き取って観られるようになった、と語っています。

彼が行った配信のひとつが、ENのAlban KnoxSelen Tatsuki日本語の勉強をするアーカイブを聴きながら「シャドーイング」するというもの。シャドーイングとは英語の発音をひたすら真似てしゃべる練習法で、言葉の意味や正しい発音がわからなくても、まずはスピードにあわせて口を動かすことを重視します。口と脳を英語に慣らすために行われる訓練です。

AlbanやSelenの発音は抑揚があって聞き取りやすいのが特徴です。ひとりでじっくり考えながら行っている日本語の勉強配信のため、話すスピードがそこまで速くなく、聞き取る余裕があります。初級の教材としてもってこいです。

「誕生日までに英語で会話できるようになるケイナガオプロジェクト」と題して海外にじさんじライバーと一対一で会話する練習を、7月24日まで毎日30分ずつ行う企画を開始しました。会話は英語オンリー。最初の相手はENのSelen Tatsuki。彼女もまた日本語中国語を練習している最中です。

相手とコミュニケーションを取る実践訓練です。配信にすることで、視聴者が楽しめるエンターテイナーとして、自身がホストとして強制的に話さねばいけない。間を作らず英語で話すシチュエーションを作って彼は挑みました。

このシリーズ配信では頑張っている長尾景に対して、相手も自然とわかりやすい英語(中高生レベル)を聞き取りやすく、ゆっくり話そうとしてくれるので、視聴者も聞き取れるレベルになっています。30分くらいの短い配信なので、視聴者が観てリスニングするのにも、シャドーイングするのにも最適です。

普段から爆弾発言が多くていたずら好きなENのMillie Parfaitは、レッスン中も盛り上げ上手。一生懸命な長尾景を励ましながら、エンターテイメントとしての英会話でファンを楽しませました。なお彼女はタガログ語での配信も行っています。

元KRのRyu Hariとのやりとりは、トークの間のとり方もうまくなっており、話題をエスコートする長尾景の思いやりが感じられます。長尾景曰く、彼女の英語の発音は聞き取りやすいとのこと。Millieが置き土産にした質問のせいでふたりが大困惑するシーンも楽しいです。

何を質問するか、何を聴きたいか、どんな会話がしたいかという気持ちを前面に出して、全力で英語で話し続ける長尾景。英会話の原動力のひとつである「相手とコミュニケーションを取りたい」という思いがどの回を観てもひしひしと伝わってきます。ゲストライバーも彼との交流を、心から楽しんでいるのがわかります。

長尾景の英語練習法

長尾景は雑談配信でENのアーカイブで学ぶ英語学習法を語っています。彼がまず勧めたのが自身の「Minecraft」の国際観光コラボ。現在はにじさんじの各国の「Minecraft」サーバーを行き来できるようになったため、大人数の国際コラボが可能になりました。その中でも特に、有志によって日本語翻訳された切り抜き動画をおすすめしています。「オレがいるから、Selenとかの英語がめちゃめちゃ簡単なの。単語が簡単だしそんなに速くしゃべっていない。かつ日本語の字幕があったら絶対聞き取れる」

これに慣れたら、ENの配信の切り抜きで、日本語字幕をつけたものを勧めています。現在は日本人有志による日本語字幕切り抜きはかなり多いので、探すのは容易なはずです。慣れてきたら、英語の字幕がついている切り抜きを観るのもすすめています。

「Minecraft」配信が勉強としておすすめな理由として、基本的に難しいことをやっておらず目に見える範囲のことについて話すため、何を話しているかなんとなくわかるから、という点もあげていました。それも慣れたら、1人での配信の視聴。コラボで誰かと話していると速すぎて聞き取りづらいためだと述べています。

長尾景は勉強する際のステップをロジックで考えており、これを真似ることで視聴者もENを通じて英語を楽しむよう誘導しています。彼の配信のコメント欄などを見ると、ENのアーカイブや対面コラボで勉強をするファンは増加中のようです。

海外の反応

日本人側が、にじさんじ海外勢の人たちが日本語を話しているのを聞くと嬉しくなるように、海外の人も日本人ライバーが英語を学ぼうとしているのを見て喜んでいるようです。

Ike Evelandは日本語も話せるENのライバー。配信の43分くらいから、英語の聞き取り練習を自身の配信で行っている日本人視聴者について触れています。彼は長尾景の名前をここであげており、彼の取り組みを「cool」「exciting」だと表現しています。

Alban Knoxも雑談中(2:00:00くらい)、英語を使う日本人の姿について「warm」(心があたたかくなる)と表現しました。中でも長尾景がしっかりと英語を学んで使っていること、ちゃんと伝えようとしてくれることを本当に嬉しく思っている、とも述べています。彼が褒めているのは学力ではなく「his personal」コミュニケーションを取ろうと頑張っている彼の人格、人柄、人間性です。

Fulgur Ovidも長尾景を、とても優しい人だと語っています(2:47:00くらい)。そもそも海外勢の配信に顔を出す、というのは勇気のいること。それを飛び越えてコラボを精力的に行って吸収しようとしているし、英語に真剣に取り組んでいる。そしてどんどん上達している。人と話すために全力を費やしていることに対して称賛を送りつつ、自分も日本語を話したい、と語ります。

にじさんじ国際交流の躍進

先日行われた「にじさんじ打鍵王」には日本人ライバーのみならず、日本語ができる海外ライバーが数多く参加しました。問題はもちろん日本語。第一言語ではないというハンデを抱えつつもみんな善戦し、ファンを驚かせました。

これに対し主催者側からは、英語版の打鍵王もいずれ実現できたら面白いのではないか、という意見が出ています。

日本のにじさんじで、ネイティブレベルで英語が話せるオリバー・エバンスは、ENと日本の距離を一気に近づけたきっかけのひとり。英語を話せないライバーも彼と一緒にコラボに参加することで交流が広がりやすくなりました。一方、ENで日本語ミームに詳しい闇ノシュウや、日本人帰国子女の遊間ユーゴ、日本語ペラペラでコラボも多いPetra Gurin、日本アニメの声真似がうまいSonny Brisko、キュートな魔王として人気のヤン・ナリ、「打鍵王」で日本人顔負けのタイピングを披露したリュ・ハリ、音楽での交流もあるイ・ロハなど数多くの日本語を話せる海外ライバーがおり、日本のライバーと交流を増やしています。

オリバー・エバンスと闇ノシュウが、レオス・ヴィンセントの英語練習配信を見守る配信を行ったこともあります。ツッコミどころの多さも含め、勉強をエンターテイメントとして視聴者に見せつつ、ちゃんと正しい知識を視聴者に教えてくれる配信です。英語を楽しむ、という意識がしっかりとあるがゆえの面白さです。

先日言葉の壁があっても行動でコミュニケーションできる「Minecraft」で、大規模コラボ「にじさんじサマープール」が行われました。各国のライバーが巨大プール施設に集まり、初夏を堪能している様子が見られます。はしゃぐライバーたちの間にはすでに国境はなく、美しい花火があがる同じ景色を、みんな一緒に見ています。

Ikeが話していたように、長尾景が努力で言語の壁を超えていくのを見るときに生まれる「exciting」な感情は、ライバー間でもリスナーの間でも、エンターテイメントとして広がっています。多言語コミュニケーションは国際化したにじさんじの大きなコンテンツのひとつとして、今後ますます拡大していきそうです。


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