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VTuber 2018.12.09

ゲーム実況?演劇?マルチに活躍する注目のVTuberチャンネル「ゲーム部プロジェクト」とは

ゲーム部プロジェクトは、4人人組で活動しているVTuberチャンネル(部活動)。現在毎日1000人前後の登録者数を増やし続けており、VTuber関連のデータベースサイトによると、11月のVTuberの動画再生数ランキングで一位となったとのこと。

人気を伸ばし続けている「ゲーム部」は、VTuberとしては珍しいスタイルで活動をしており、その多様性がうまくファンの心を掴んでいます。

4人の部活動

まず「ゲーム部プロジェクト」のチャンネルは、4人のバーチャルゲーマーが集まっている部活そのものを表すチャンネルです。それぞれに単独チャンネルはありません。

夢咲楓:部長。真面目でしっかり者のように見えて、最近かなりズレてきた。ポケモンガチ勢というかポケモン狂。
風見涼:部員の少年。優しくおだやかな癒やし枠。スマブラとぷよぷよが好き。メロンパンも好き。かわいい。
道明寺晴翔:厨二病的な発言の多いイケメン副部長。やたらみりあと喧嘩している。スプラトゥーンガチ勢。
桜樹みりあ:ツッコミ担当の苦労人少女。やたら晴翔と喧嘩している。ポケモンを中心にホラーなども。


(「【衝撃】コミュ障を拗らせたゲーム廃人の末路…。」より)

基本的に行っているのは、部活動らしくゲーム実況でした。しかし「ゲーム部の日常風景」「めちゃくちゃな茶番」「一発ネタ」などが混じった、かなり変わった構成へと進化し、ゲーマーからそうでない層まで、人気は広がっていきます。

ちょっと変わったゲーム実況

ゲーム部は一人ずつ、順次登場していきました。最初期に登場したのは部長の夢咲楓1人。他のメンバーは声だけのちら見せ。内容はポケモンのレート対戦動画です。
この動画がアップされたのが3月頭。この頃の夢咲楓は安定感のある性格だったのもあり、とても落ち着いた空気の動画内容になっています。

途中で道明寺晴翔らのドタバタ会話が混じることで、リアルタイム性よりも雰囲気作りが重視されています。「実況」というより「解説」的な方向性は当時少なかったため、ちょっと変わった雰囲気でびっくりした人が多かった様子。クオリティが高いモデル(作・ぽんぷ長)に、3D背景を動かすカメラワーク。企業製っぽいけれども全く発表がない。突如出現した謎のチャンネルとして注目され続けました。

次の回ですぐに、風見涼が「ゲスト」という扱いで登場。先輩である夢咲楓のプレイを見ながら語る補助的な役割に据えられます。ポケモン自体がそこまでスピードの有るゲームではないので、じっくり語りながら説明していくのにはぴったり。レート2000の対戦キズナアユとの対戦動画をアップするなど、ポケモンガチ勢としてのプレイを見せます。

3月末に副部長・道明寺晴翔が登場。イキリ系の厨二病的な性格と、メッシュの髪の毛。それでいて優しさが見える紳士的なスタイル。ところどころ見え隠れする残念イケメン。非常にいじりやすい。

そして最後に桜樹みりあが参加。ゲームガチ勢3人に対しての補助役的な後輩として登場しました。4月16日登場で、5月5日のバーチャルYouTuber人狼にすぐ参加。対外的な活動をゲーム部で真っ先に行いました。

ここまでの動画投稿は全て、ゲーム実況でした。4人揃って会話をしはじめるようになり、日常動画投稿がスタートしてから、ゲーム部プロジェクトならではの多様性が、本領を発揮しはじめます。

日常・茶番パートの暴走

それぞれの部員に人気が出てきた5月。突然ゲームをしない動画が投稿されました。一応序盤は視聴者に挨拶していますが、内容は全編を通じて4人が部のことについてあれこれ話しているのを、視聴者が客観的に眺めるCGアニメスタイル。

道明寺晴翔がラストなにかやっているけど、これはどこまで本当のストーリーパートなのか? 以降、4人をしっかり描く内容の日常パート的な動画と、考える余地すら無いスラップスティックな茶番が次々アップされます。

日常シーンは、「ゲーム部」という部活動の中で4人が青春している様子を描写しています。喧嘩をしたり仲良くしたり、ちょっとラブコメめいていたり。ニヤニヤしながら視聴できるものになっています。こちらへの働きかけは特にありません。

等身大の学生生活の中で、部員の性格がよりはっきりと描かれ始めます。夢咲楓が見た目以上にかっ飛んだ性格だというのは、このあたりから目に見えてわかるように。

さらに、説明のつけられないナンセンス展開が始まるようになります。まだ7月のころはコントとして納得はできるものの、だんだんむちゃくちゃな内容へ、ハンドルを切って暴走。
こちらのパートは下ネタ・パロディ含めてなんでもあり。メインメンバーは簡単に死にますし、一回使い切りのキャラも続々登場。

大体30秒から3分以内の短いもの。ゲーム部を知らなくても楽しめるドタバタが多いです。

どの層に向けて作ったのかわからない自由すぎるものも増えました。もっともそういうものこそ、分かる人がTwitterでネタにして紹介したくなる引きがあるようで、Twitterなどで話題が広まります。下の動画は8月に話題になったテレビのCG動画のパロディ。分かる人にしか分からない。

https://www.youtube.com/watch?v=WxeYwHmTwkk

ゲーム実況はゲーム好きしか見ない。しかし1分の短い茶番は誰だって見ることができる。お手軽に楽しめるという点での訴求力があります。できるだけ短く、会話とカット割をスピーディーにする手法は、TVアニメの5分枠のノリに近いです。

特殊な人間関係とキャラクター性

ゲーム部の強みは、一つのチャンネルでキャラクター関係を作れること。それぞれバーチャルな存在として、Twitterや生放送などで活躍しているものの、短編動画の中ではアニメ的な構成がなされているので、キャラ付けが比較的はっきりしています。中でも4人の部活動の様子を描いた日常シーンでは、人間関係が明確にストーリードラマ化されています。

https://www.youtube.com/watch?v=d3pKyWmjfV4

人気のある道明寺晴翔と桜樹みりあのペア。2人は「ハルカス」「アホピンク」と普段の動画では罵り合っている犬猿の仲。この回では記憶喪失をきっかけに、それぞれの本心が垣間見える、ニヤニヤ青春回。部長はすっかりサイコパス感あふれる存在に成長しました。

演者の性格が現れるアバター性、決まった設定から離れないように動くキャラクター性、完全にシナリオの上で動く物語性。VTuberの持つバーチャルな性質を、ゲーム部は一気に内包しました。茶番で殴ったり死んだりしているのも、部員同士で仲良くしているのも、視聴者や他のVTuberと話しているのも、全部同じ存在。線引がありません。

VTuber同士の恋愛話は、ロールプレイなのかはっきりしていない状態でつつくのは、「中の人」のプライベートに迷惑がかかりそうで、非常に難しい。しかし「ゲーム部」は「ゲーム部」キャラクターの物語、という側面も用意されているので、道明寺晴翔と桜樹みりあの淡い関係を安心して応援することができちゃう(中の人に迷惑がかからない)のは、かなり魅力です。この2人のみならず、どうやら三角関係っぽいにおいがしますよ……?

道明寺晴翔と外交

多くの人から愛され、いじられまくっているのが道明寺晴翔。「のとく番」で行われた「オリジナルバーチャルYouTuberランキング2018」で、道明寺晴翔がは単独で21位にランクインしています。

「イキリで残念」「イケメン」「熱血漢」「実はいい奴」と魅力揃いの彼。Twitterやコラボでの立ち回りでの好感度もあり、多くの人に親しまれています。特に織田信姫は彼を動画でネタにしまくっています。

ケリンとは双方が認める宿敵関係(最初はエルフのえるが注目しているVTuberとして道明寺晴翔をあげていたので、ケリンが一方的に嫉妬していただけだった)。キズナアイ杯では2人が対決を誓うも果たされませんでしたが、会話なきまま友情はより強くなるという熱い展開も見せてくれました。

11月25日には、「Vtuberスマブラ大会」でついに初の通話、そして対決。宿敵にして盟友同士。素のいい人感の出る道明寺晴翔、突然恋バナを始めるケリンと、見どころ満載。

何度かコラボ・対戦していた元にじさんじゲーマーズの笹木咲。彼女が脱退する日が近づいてきた時、マリオカートのコラボで引退試合を行うという素敵な配信を実行。ガチバトルなれど相手にエールを送る様子は、やはりこちらも宿敵にして親友。ラストの残念なオチも含めて、道明寺晴翔。

キズナアイ杯の優勝者・歌衣メイカとのガチ対戦も、とても仲良しでほっこり。とことん、いい奴感あふれています。

男女双方から愛される・いじられる男性VTuberの1人として、道明寺晴翔はゲーム部人気を支え続けています。

道明寺ここあのデビュー

道明寺晴翔の妹・道明寺ここあが7月30日にデビューしました。一応ゲーム部のチャンネルにも時々顔を見せており、重度のシスコンである晴翔は度々ここあを話題にしています。
彼女は歌がうまく、道明寺晴翔が編集したMVを次々と発表。一気に人気バーチャルシンガーになり、8月26日のバーチャルカラオケに参加、NHKバーチャルのど自慢の出演も決定しています。

https://www.youtube.com/watch?v=hAYfIIGIMCc

彼女はゲーム部のドタバタとちょっと違って、常識人枠。ゲーム部スタイルのストーリーパートでは、表現者として悩める彼女を軸とした日常が描かれ、道明寺晴翔はじめとした面々も登場します。別チャンネルではあるけれども、スピンオフ的な関係性にあります。

なお、関係があるのではないかとファンの間で話題のあおぎり高校ゲーム部は、現時点では運営元や関連性は一切発表されていません。

株式会社Wright Flyer Live Entertainmentは、「ゲーム部プロジェクト」を展開している株式会社バーチャルユーチューバーとIP展開の協業を発表しています。
箱庭型アニメ的にも、双方向性VTuber的にも見ることができる「ゲーム部」は、キャラクタービジネス的にも様々な可能性を秘めているようです。

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