米国エミー賞ノミネート候補になったVR映画作品
今回は先日、米国エミー賞ノミネート候補となったニュースがあったばかりの「Gloomy Eyes」取り上げます。フランスのAtlas V、ARTE FRANCE、アルゼンチンの3dar、アメリカのRYOT STUDIO、台湾のHTC、VIVEという世界の実力あるVRプロダクションの合作で制作されています。
太陽がなくなり、人間とゾンビが対立する絶望的な世界。最後の希望は人間のニーナとゾンビのグルーミーの愛だけです。彼らの出会いや行動が世界にどのような影響を与えるのかが3つのエピソードに渡って描かれています。ナレーションはハリウッド俳優のコリン・ファレル氏が担当しています。
オススメのポイント
1. ミニチュアの世界観を巧みな技術で最大限に表現
「Gloomy Eyes」はキャラクターや建物がミニチュアサイズのように描かれ、ドールハウスを覗き込んだような演出が特徴です。
以前、Mogura VRでも紹介したPenrose Studiosの「The Rose and I」や「Allumette」、「Arden’s Wake」でも同じような表現が見られました。こうした演出では、登場人物や建物に確かな存在感があります。対象物に近づいたり遠のいたりできるのもポイントです。
「Gloomy Eyes」はそこから進化し、奥行きを感じさせる印象的な演出が加わっています。谷の深さや巨大な物の接近感などの表現が巧みに行われており、360度のVR空間に深度も感じられます。
2. スムーズかつリズムある場面転換と視線誘導
VR映画作品の大きな要素の1つに場面転換や視線誘導のスムーズさがあげられます。「Gloomy Eyes」はスムーズである上に、さらに作品にリズム感を与えられています。そのため冗長さを感じさせず、一気に体験できました。
3. 世界のプロダクション合作によって生まれた壮大なスケール感
VR映画作品はまだまだ小さなプロジェクトが多い中、「Gloomy Eyes」は世界中のプロダクションが参加したことによって、ストーリーや世界観のスケールが大きい作品になっています。
ティム・バートン監督のストップモーションアニメ「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」のような世界観や、スタジオジブリ作品を思い起こさせるラストシーンは一見の価値ありです。
発展途上のVR映画業界の中で、ここまでの大作はなかなかお目にかかれません。今、体験をして損はない作品です。
作品データ
タイトル |
Gloomy Eyes |
Production |
3dar 、Atlas V、ARTE FRANCE、RYOT STUDIO、HTC、VIVE |
公開 |
2019年 |
本編尺 |
28分 |
製作国 |
フランス、アルゼンチン、台湾、アメリカ |
体験可能な場所 |
オンライン:Oculus Store、VIVE PORT |
Trailer
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