Oculus Quest 2(以下Quest 2)は、PCとUSBケーブルを接続することで、PC向けのVRゲームが遊べる機能「Oculus Link」が実装されています。しかし、とあるアプリを使用すると、ワイヤレス(無線)でもPCVRゲームがプレイ可能です。
そのアプリの名は「Virtual Desktop」。本記事ではQuest 2でPCVRゲームを遊ぶ際、「Oculus Link」(有線)と「Virtual Desktop」(ワイヤレス)でどう違うのか、検証したいと思います。
プレイするVRゲームは、(座ってプレイする)「STAR WARS:スコードロン」と(激しく動く)「SUPER HOT VR」をチョイスしました。
注意ですが、Quest版「Virtual Desktop」は、購入時の状態ではPCVRゲームをプレイできません。サイドローディングアプリ「SideQuest」を通じてパッチファイルを導入し、「SteamVR」対応機能を“復活”させる必要があります。
STAR WARSは快適性がガッツリ上昇!
「STAR WARS:スコードロン」はVRシューティングゲームです。XウィングやTIEファイターといった戦闘機に乗り込み、縦横無尽の戦闘を繰り広げます。
本タイトルで特に確認したかったのは、(座ったままで)どれだけ快適に遊べるかというポイントです。
「そんなに変わらないでしょ?」と思うかもしれませんが、結論から言うと予想を超えるレベルでストレスが軽減されました。
このゲームは従来、キーボードかゲームパッド(今回はPS4コントローラーを使用)などが操作に必要なのですが、手の位置の都合上、有線状態で遊ぶと、USBケーブルが手に何度も当たってしまいます。ゲーミングノートの後ろにケーブル(USB-C)を挿していたのですが、冬場の冷え切ったケーブルが、手にぺちぺちと当たる不快感は辛いものでした。
しかし、今回「Virtual Desktop」でワイヤレス化したところ、問題の”根治”に成功。かなり不快感が解消されました。
グラフィックは残念ながら少し劣化していました。スクリーンショットだとキレイなのですが、映像で見ると、やや、“チラつき”が起こります。
(「Oculus Link」バージョン)
(「Virtual Desktop」バージョン)
またプレイには支障ないですが、カクつきも、ほんの少しだけ起こりました。格納庫では問題なしですが、戦闘中、敵機を視線で追うためにグイッと首を動かすと、一瞬映像が遅れて“付いて”くる感じです。どちらかというと、視界の広い(首を動かすことが多い)新共和国側の機体に乗っているときに、多く起こりました。
完璧ではないものの、全体的には、「マズい」とまで感じる問題はほとんど発生しませんでした。十分に無線プレイをオススメできます。
SUPER HOT:恩恵は大きいものの、問題もアリ
「SUPER HOT VR」は、プレイヤーが動いている時のみ周囲の時間が進む、ユニークなFPSのVR版です。リリース当時から高い評価を得ています。
しゃがんだり、振り向いたりと、激しい動きの多い本作。一通りプレイしてみたのですが、ワイヤレスの恩恵は大きなものでした。
動いたときにスポッとケーブルが抜ける心配がないのは大きなメリット。ストレスも減り、グラフィックがアップグレードされたQuest版「SUPER HOT VR」のような感覚で楽しめます。
(「Oculus Link」バージョン)
(「Virtual Desktop」バージョン)
ただ、画質は問題なかったものの、逆にカクつきの問題が目立ちました。敵が左右から迫ってくるシーンなどは、追従しきれず、画面がガクガク気味になることも。
プレイ不可能になるほど深刻ではないですが、安定しない場合は、有線に切り替えた方が良いというのが、最終的な結論です。
総評:環境次第だが、試す価値はアリ
「Quest 2」での「Virtual Desktop」(ワイヤレス)利用は、「一長一短。完璧ではないものの、試してみる価値は十分アリ。」という印象です。
PC向けのVRゲームをケーブルに束縛されず遊べるのは、何物にも代えがたい長所。ただ、遅延などを感じない体験を求める場合は、やはり有線に軍配が上がります。
なお、今回取り上げた遅延やカクつき発生は、利用者側の環境にも左右されます。筆者は、お世辞にもネット周りの環境が良くない身なのですが、より環境が整っている人ならば、これらの問題に悩まされずプレイできるかもしれません。ぜひお試しあれ。
執筆:井文