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ゲーム・アプリ 2018.10.24

世界中のVRアーケード同士が競うeスポーツリーグが誕生、HTC Esportsがスポンサーに

※本記事はHTC社公式ブログに2018年9月28日に掲載された、Virtual Athletics League and VirtualitiesのRyan Burningham氏による寄稿記事の翻訳です)

VR eスポーツ界は、世界規模のアーケード対抗リーグの新設という大きな一歩を踏み出そうとしています。Virtual Athletics League(VAL)、アーケードマネジメントプラットフォームのSpingboardVR、そしてミックスドリアリティ(MR)ストリーミングソフトウェアのLIVが共催し、パイロットシーズンはHP Inc.とHTC Esportsが企業スポンサーとして大々的に支援してくださる予定です。これは7つの著名なVR開発スタジオによる共同の取り組みでもあります。公式試合は世界各地のVRアーケードがある都市で年内にも始まる見通しです。

長らくSFの中での話でしかなかったVR eスポーツがいま現実に始まろうとしており、状況も追い風となっています。2年前にHTC VIVEが発売され、先進的なコントローラーが使えるようになったことは、地殻変動に等しい現象でした。ゲームを遊ぶ場所はコンピューター画面の前からリビングルームの中央へ、そして世界各地のVRアーケードへと移動したのです。

多くの人々がVR eスポーツに熱中

VR eスポーツの種目として理想的なのは、遊び方がのみこみやすく、しかし極めるのは難しいゲームです。例えば「Space Pirate Trainer」は、世界各地のVRアーケードに設置されており、全く初めての人でもふらりと入って数分でドローンを撃ちまくれます。しかし、世界ランキングに入るには日々何時間もの練習を積み重ねる必要があります。超上級者ともなると、時間の流れをねじ曲げているとしか思えない動きを見せはじめます。音だけでビームをかわしたり、あらゆる方向から撃ってくる何十体ものドローンを驚異的なコンボ技で撃破したりするのです。ほんの数年前までVRという言葉も聞いたことがなかったような人々が、今ではVR eスポーツに参加し世界レベルで競い合っています。

Virtual Athletics Leagueは2年前、米国ユタ州ソルトレイクシティのVRアーケードであるVirtualitiesが掲げた構想から始まりました。私たちは初めから、VR eスポーツには将来新たな世界的ムーブメントになる可能性があると考えていました。VRアスリートが持つ特別さに気付いたのは、ある地方VR eスポーツトーナメント後のリピート来店率を見たときです。通常なら20%程度にとどまるものですが、VR eスポーツトーナメントに参加した顧客については50%以上に跳ね上がっていたのです。

その後、地域レベルのアーケード対抗トーナメントを何度か行い、さらに全米から10アーケードが参加するBlaster of the Universeの全国トーナメントも開催しました。「Beat Saber」のアーケード版がリリースされた際には、公式アーケードトーナメントのオーガナイザーを務めました。当初は50会場で行う予定だったのですが、これがアーケードVR eスポーツにとっては大成功でした。  

結果的にこの大会は世界168会場という記録破りの規模で開催されることになり、何千人ものプレイヤーが参加して、ハイスコア申請のビデオ録画が何百本も集まりました。「Beat Saber」はVirtual Athletics Leagueに本格的な身体競技の要素をもたらしました。プレイヤーの中には最高心拍数が180 BPM近くに達した人もいたほどです。こうした身体性は従来のスポーツにみられるような挑戦心や競争心をeスポーツにおいても高めてくれます。  

トーナメント開催期間中、何千人という参加者がハイスコアの世界ランキング入りを目指してプレイに没頭していました。共催者であるSpringboardVRのレポートによれば、その週末はBeat Saberアーケード版の総プレイ時間が前週の2倍になったといいます。トーナメントの優勝者ともなると、その打ちこみようも次元が違います。前日から車で何時間もかけて会場に来て、車中で睡眠を取り、それでも大会では何千人もの他の参加者を制して優勝するのです。

リーグ新設で広がるVR eスポーツ

国際VR eスポーツにとって、今回のリーグ新設は新しい時代の始まりといえます。シーズン開幕を飾る公式タイトルは「Space Pirate Trainer」。9月27日~30日に世界トーナメントが実施される予定です(※終了済)。10月にはハロウィンらしくホラー2本立てで「Arizona Sunshine」と「Island 359」の世界トーナメント。11月にはVRアーチェリー「QuiVR」のマルチプレイヤー大会を行います。また、このリーグはアーケード対抗戦に特に力を入れており、VR eスポーツにふさわしい競技性を持ったチーム型ゲームで、各地のVRアーケードが勝利を争います。公式ローンチタイトルとしては巨大メックを操縦するマルチプレイヤーシューター「Archangel: Hellfire」、無重力空間を飛び回るシューター「Skyfront」、タクティカルSFシューター「After-H」などが予定されています。

アーケード対アーケードのゲーム対戦はeスポーツの最先端です。昔から、伝統的なスポーツはファンの郷土愛から多くの恩恵を受けてきました。私たちもソルトレイクシティの住人として、ユタ大学に新設された大学生eスポーツチームの活躍は大いに楽しみにしています。そしてすべてのVRアーケードが参加できる世界的なアーケード対抗トーナメントとは別に、参加条件を絞ったもっとコアなリーグも設立するつもりです。ゆくゆくは世界の既存のプロスポーツ並みの規模で都市対抗戦が行えるようにしたいと考えています。将来的には各地のVRアーケードがそれぞれ地元を代表するチームを持ち、オリジナルユニフォームを作り、プロのキャスターを雇い、Twitchにファンベースを持つようになることが目標です。HP Inc.やHTC Esportsからのスポンサーシップ、そしてLIVからのテクノロジー支援によって、参加する人も見る人も、まったく新しいレベルでeスポーツを楽しめるようになるでしょう。

VR eスポーツはもはやSFではなく、今まさに実現しようとしています。Virtual Athletics League運営チーム一同、その波に乗れるのが心から楽しみでなりません。Virtual Athletics League(VAL)とVRアーケードeスポーツについて詳しく知りたい方は、www.valvr.comをご覧ください。

(参考)HTC 公式ブログ


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