あの「スター・ウォーズ」の世界に自宅で没入し、大冒険を繰り広げる。そんなシリーズファンの夢が叶うVRゲーム「Vader Immortal: A Star Wars VR Series 」の新エピソード「Vader Immortal: A Star Wars VR Series – Episode II」(以下Episode II)がリリースされました。
今回は、様々な新要素が追加された同エピソードのプレイレビューをしていきたいと思います。
(本記事には、前作「Vader Immortal: A Star Wars VR Series – Episode I」のネタバレが含まれます。あらかじめご了承ください。)
Vader Immortalシリーズについて
「Vader Immortal」シリーズは、映画「スター・ウォーズ」シリーズを題材としたVRゲーム。ルーカスフィルム傘下の開発スタジオであるILMxLABが開発を担当しており、全3部作で展開されます。対応VRヘッドセットはOculus Quest(オキュラス クエスト)とOculus Rift/Rift Sです。
暗黒卿からのレッスン
「君にはフォースの資質がある。私が今から力の使い方を教えよう」。
Episode Iのラストでダース・ベイダー本人から告げられた衝撃の一言から、Episode IIはスタートします。
本作の主人公は、ドロイドの相棒「ZO-E3」と共に宇宙で“運送業”を営んでいました。ですが、Episode Iの開始直後、銀河帝国軍に捕獲され、アウターリムの辺境惑星「ムスタファー」に連行、尋問を受けることになります。帝国軍には主人公を含め複数の人物が捕獲されており、一連の出来事には、シスの暗黒卿ダース・ベイダーのある目的が関係していた……というのがEpisode Iのあらすじです。
Episode II本編は、ベイダー卿の言葉の通り、暗黒卿本人が行うフォースのチュートリアルからスタートします。フォースとは「スター・ウォーズ」世界に存在する超能力のようなもの。物体を引き寄せるほか、心を操る力なども存在します。
本エピソードでプレイヤーが使用するフォースは、物体の引き寄せ(吹き飛ばし)能力です。ハンドコントローラーの“内トリガー”を押すことで使用できます(左右どちらのコントローラーでも使用可能)。フォースで掴んだものは、コントローラーを動かすことで、前後左右自由に動かすことができます。
(フォースの使用。掴めるものは“もや”でハイライトされます。)
戦闘が劇的に進化
今回実装されたフォースによって、「Vader Immortal」のゲーム性は劇的に変わりました。 本シリーズの戦闘は、直立する(激しく動かない)プレイヤーに敵が迫るというシステムが採用されており、武器がライトセーバーに限られていたEpisode Iでは、受け身の戦闘を強いられる場面が多く存在しました。
しかしEpisode IIでは、フォースを使用することで、プレイヤーが“攻める”ことが可能になりました。戦いでは、周囲に落ちている岩を掴み敵に投げる、敵自体を引き寄せてライトセーバーで切断する、ライトセーバー自体を投げつけるなど、バリエーション豊かな戦術が楽しめます。戦闘面に関しては「とても進歩した」と断言できる仕上がりになったといえるでしょう。
ただ、フォースの精度についてはプレイ中改善の余地ありと感じました。特に問題を感じたのが戦闘中での使用で、複数の敵が集まっている時、狙っている対象を掴んでくれないことが頻繁にありました。フォースの使用感自体はとても爽快なだけに、直感的に操作しにくいのは残念でした。
(フォースでの捕獲。敵が単体なら問題なく機能するのですが……)
“道場”もパワーアップ
Episode IIには、前作に引き続き、ライトセーバー戦だけを遊べる戦闘ゲームモード「Lightsaber Dojo」が実装されています。フォースの実装に伴い、同モードは「Lightsaber Dojo II」に進化。フォースとライトセーバーの両方を使ったアクションを楽しめるようになりました。
「Lightsaber Dojo II」では、トークンを獲得することでライトセーバーの色やグローブを変更することができます。獲得トークンの量は、各ラウンドの評価ランクによって変わるため、コアゲーマーのためのチャレンジ性も確保されています。
(“道場”はラウンド形式。基本的に先に進むほど高評価獲得が厳しくなっていきます)
なお「Lightsaber Dojo II」には、敵が360度の方向から同時に攻めてくるパターンが存在します。四方八方から迫る敵とライトセーバーとフォースで戦うのはとても楽しい体験なのですが、身体を激しく動かす必要があるため、本気でプレイする際には注意が必要です(筆者はプレイ中、何度か腕をぶつけました……)。
総評として
Episode IIは、Episode Iの問題点の多くを改善した、練られた良作です。前作は本編後半になるまで本格的なアクションパートが存在しませんでしたが、本作は序盤から様々な展開が盛りだくさんとなっており、「スター・ウォーズ」作品としても、VRゲームとしても、非常に楽しめるタイトルに進化しました。
個人的には、オブジェクトに身体がめり込むと出現する注意画面が出る頻度がEpisode Iと比べて減った(オブジェクトの位置などがうまく調整された)のも好印象です。
(充実の移動オプション。ワープ/スロットル移動をはじめ、自身の好みに合わせて細かく設定変更が可能。)
ただ、本作(Vader Immortalシリーズ)には、日本語対応が実装されていません。多くのVRゲームと異なり英語字幕も存在しないため、作中の展開を追うにはリスニング能力が必須です。日本人がプレイするには、かなりハードルが高い作品であると言わざるを得ません。
筆者がプレイした限りでは難しい英単語はあまり登場しないと感じましたが、「スター・ウォーズ」の固有名詞もそれなりの数が登場するため、物語を完全に理解するにはシリーズに関する知識も必要になります。
そのような問題点を差し引いても、筆者はEpisode IIのプレイをオススメします。Questの限界に挑戦したグラフィックを体験できるのも推薦する理由の1つですが、単純に道場でライトセーバーとフォースを使って暴れているだけで楽しいからです。「スター・ウォーズ」を題材にしたゲームは数多く存在しますが、ここまで“ジェダイ感”を味わえる作品は、そう多くはありません。
「Vader Immortal: A Star Wars VR Series – Episode II」、もし持っていない人は前作Episode Iも含めて、ぜひプレイしてみてください。
ソフトウェア概要
タイトル |
Vader Immortal: A Star Wars VR Series – Episode II |
開発元 |
ILMxLAB |
パブリッシャー |
Disney Electronic Content, Inc. |
対応VRヘッドセット |
Oculus Quest、Oculus Rift(Rift S) |
価格(税込) |
|
プレイ人数 |
1人 |
公式サイト |
参考:久保田編集長による Episode Iデモのレビュー