Home » VR化した国家運営ゲーム「トロピコ」を遊んでみた 上空から島を見回しながら、両手でビルや道路を生やしていこう


VRゲーム・アプリ 2024.04.03

VR化した国家運営ゲーム「トロピコ」を遊んでみた 上空から島を見回しながら、両手でビルや道路を生やしていこう

3月28日、有名シミュレーションゲーム「トロピコ」シリーズを題材にしたVRゲーム「Tropico(以下、トロピコVR)」が発売されました(Meta Store:2,990円、日本語未対応)。

「トロピコVR」は、第二次世界大戦時代の架空の島”が舞台。プレイヤーは島のプレジデンテ(大統領/独裁者)として、自分の島を開発し、徐々に発展させていきます。その発展のさせ方自体はかなり自由で、島の経済を「資本主義」や「共産主義」路線で進行したり、独裁政権を敷いて反乱分子と対抗したり、ソ連やアメリカなどと外交したりと、「もし、自分が大統領クラスの権力を持っていたとしたら?」といった妄想を叶えてくれる内容です。海外だけでなく、日本でも息長く人気があり、さまざまな運用でプレイされたゲーム実況が数多くYouTubeに投稿されています。

本作は、2011年に発売された「トロピコ4」をベースとしており、DLCも同梱されています。はたして、VR版ではどのような雰囲気のゲームとなっているのか、紹介していきます。

何もない島を開拓!プレジデンテ!

プレイヤーの分身であるプレジデンテは、アバターとしてカスタマイズ可能で、ゲーム内にもそのビジュアルのまま登場します。実在の人物をモチーフにしたキャラクターも使用可能。自分でカスタマイズする場合は、大国との関係や建築効率などに影響する“特性”を設定できます。

今回は、自分で作ったプレジデンテでプレイ。特性には「パラノイア」「臆病」「汚職」を設定しました。


(島を導くマイプレジデンテ。仮面をつけて迫力も抜群)


(最初期の島。ここからすべてがスタート)

「トロピコVR」では、プレイヤーは島の上空から見下ろす視点となっており、島を隅から隅まで自由に見回せます。(視点)移動は、一般的なVRゲームと近い感覚で、左スティックで前後左右に移動でき、右スティックで視界の向きと高さを変更できます。


(一番“高度”を高くした状態。ほぼ完全な見下ろし視点)


(高さを下げて、人と同じ目線にすることも)

デフォルトの操作状態では、移動に少し“クセ”があり、左スティックを前に倒しても「なぜか斜めに動く」ということが多発しました。オプションからMovement Style(移動システム)を“Aim with Controller”に切り替えると問題が解消するので、プレイ前に設定変更することをオススメします。

ビルや道路といった建築物の配置や工事も、両手のコントローラーで操作できます。内トリガー(中指トリガー)を押すと、リングメニューが表示されるので、そこから建造物や布告(社会保障などを制定できる項目)、ミッション欄などを見られます。

建物自体は、建てたいものを選択した後に外トリガー(人差し指トリガー)を引くと、コントローラーから伸びるレーザーポインターの位置に現れます。内トリガーを引きながら右スティックを動かすと、好きな方向に建物の向きを回転可能。配置したい場所に建物を作れない場合は、建物が赤く表示されます。

キーボードと比べると操作感はやや落ちるものの、慣れた後は直感的に使えるようになると思います。個人的には、少し文字のフォントが小さく感じたので、アップデートでサイズ調整機能を実装してくれると嬉しいですね。


(建てられない場所に作ろうとすると、建物全体が赤く光る仕組み)

VR版の特徴を理解したうえで、あらためてゲームの紹介に移りましょう。

「プレジデンテ(大統領)になれる!」というと聞こえは良いですが、島の初期状態は港と集合住宅がいくつか建っているだけという悲惨な状況。ここから財政状態を黒字にしつつ、国民に愛されるプレジデンテとして産業や福祉、軍事部門などを育てなければなりません。

まずは島民の食料を確保するために、農場をいくつか作ります。土地には、農業に適した場所とそうでない場所があるので、一番収穫が見込めそうな部分に農地を設置。建物を作ると自動的に労働者がセットされ、栽培と収穫作業が始まります。

農地では、タバコや砂糖といった輸出向けの作物を生産できます。食糧事情には影響しませんが、外貨(予算)獲得の上で重要です。


(画面左の港から、輸出品が出荷されます)

島の経営状態が落ち着いた後は、本格的な産業展開に乗り出します。労働力が必要になるので入国管理局を設置し、島の外から移民を誘致。並行してアパートなどを建てて、住み良いトロピコを作っていきます。住む場所を作らないと、バラック小屋が島に乱立してしまい、景観を損ねてしまったり、住民の幸福度も下がってしまったりするので優先的な対処が必要です。


(住居が足りない状態で人口が増えるとバラック小屋が増えるので……)


(集合住宅などを追加で建てて解決!)

このフェーズに入ってくると、島の派閥や外国からの“お願い”が届くようになります。トロピコには、「資本主義者」や「自然保護派」、「宗教グループ」などが存在しており、各派閥の支持を集めることが、選挙に勝つために重要となります。

派閥からのお願いは「アパートを増やしてほしい」といった簡単なものから「島からすべてのパブ(娯楽施設)を取り除け」といった“激しめの主張”までいろいろ。無視したり拒否したりもできますが、あまり対策を怠ると後々に響くので「ある派閥の要求を断る代わりに、喜ぶ建物を建てる」といったバランス調整が必要になります。


(資本主義者からのお願い。タバコを一定数輸出してほしいとのこと)

農地やタバコ園といった、第一次産業を整えた後は第二次産業(工業化)に進みます。工場は教育された島民(高卒以上)を必要としますが、そこから得られる収益は巨額。上手く軌道に乗せれば、一気に島を拡充できます。

今回は、タバコ園を多く作っていたので、タバコ葉を加工できる“葉巻工場”を建設。島の輸出部門の中核になってもらいます。同時に、小学校と高校を開校して、将来の世代が高学歴になる道を確保しておきます。

工業化が終わる頃には、10万ドル程度の財源を安定して確保できるようになります。この予算を使って、島に発電所の導入を行います。


(島の誇りである発電所。ちなみに燃料は石炭)

発電所を作ると、電力を消費する建物類が作れるようになります。筆者は島のシンボルとして、高層レストラン“コズミック・ピン”を港近くに配置しました。この天まで伸びるタワーが島が大きく発展した証です。

より“強力”な建物などが使える「ModernTimes」

今回の「トロピコVR」に付属するDLCのひとつ「ModernTimes」は、より近代的な建物を建てて遊べる大型追加コンテンツです。「ModernTimes」で追加された建物は、一定の条件を満たすと既存の建築物を置き換える形で使えるようになります。

例えば、農場はより近代的なバイオファームに。集合住宅は、より品質の高い“タワマン”に変化します。食料を展開する市場は、なんと大型のスーパーマーケットに変身!

DLC建築物は、デフォルトの建物と比べて強力ですが、電力が必要になったりと運用上の条件が追加される場合があります。

建築メニューでの入れ替わりのタイミングは選べないので、「アパートを建てたかったのに電力が必要なタワマンしか使えない……」という小回りの利かない事態になることも。上手くバランスを取りつつ、開発計画を進めるのがコツです。

まとめ:VRで遊べるようになった名作シミュ

「トロピコVR」は、本格的な島発展シミュレーションゲームをVRで遊べる良作です。VR化によって、作中に没入した感覚で島を見られるようになったのが嬉しいところ。「ModernTimes」が付属するので、以前(非VR版で)本編だけ遊んでいたという人にも、おすすめできます。


(時には災害が島を襲うことも)

ただ一部の情報表示については、少し課題があると感じました。プレイ中は基本、島を見下ろす視点で遊ぶのですが、一部ステータス画面が画面正面に表示されます。情報を確認するためには、毎回顔(と首)を上げて前を見る必要があり、これが地味に手間でした。また、冒頭に書いたとおり、現時点では日本語字幕に対応していないのも残念なポイントです。


(港に建つ黄金のプレジデンテ像)

今回は紹介のため“真っ当”にプレイしましたが、「トロピコ」はプレイ幅が非常に広いのが特色。自分の秘密口座にお金を貯めつつ市民を抑圧。反対されたら戒厳令で対応するといった“ワル”な遊び方も可能です。あなただけの島作りに、トライしてみませんか?

「Tropico」のストアページはこちら

執筆:井文


VR/AR/VTuber専門メディア「Mogura」が今注目するキーワード