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ゲーム・アプリ 2016.06.25

【体験レポ】こんなことをやりたかった!Oculus TouchのVRゲーム『The Unspoken』で夢の魔法バトル

21世紀、サイエンスとテクノロジーによって進歩した人間社会。実は自分は魔法使いの見習いだ。友人も学校の教師も誰も気づいていないが小さい頃から素質があり、こっそりと訓練を重ねてきた。手の平から火を出すこともできるし、手を前にかざせば身を守るシールドが出現する。空間移動でどんな高いところでも一瞬で登ることができる。

最近は、どんどん魔力が強くなり、もっと強力な大魔法を使うこともできるようになった。小さな金色の鳥を同時に操ることも、紙飛行機を爆撃機に変えることも、異界から”聖なる槍”を呼び出し、必殺の一撃を投擲することもできる。

夜の街で、テレポートを繰り返しながら、魔法使いにしか見えない魔力の源を集めていく毎日。時折、闇を駆ける自分と同じような影を見かけることがある。そう、人知れず魔法使いたちは生きている。そして、今晩も向かうのだ、魔法使いたちが集まり、己の技の限りを競いあう闘技場へ。

体験した時の感動が大きかったため、柄にもなくファンタジー一色の妄想から記事を書き始めてしまいました。

6月14~16日の3日間ロサンゼルスで開催されたE3のOculusブースでは様々な新作VRゲームが展示されました。筆者が体験できたのはOculus Touchを使用したマルチプレイ魔法対戦ゲーム『The Unspoken』。ラチェット&クランクの開発元でもあり、最近はOculus Rift向けゲームの開発に積極的なInsomniac Gamesの作品、海外VRメディアの体験でも感動の声が多かった作品です。

その体験はこれまで筆者が数百と体験してきたVRゲームの体験の中でもきわめて完成度が高く、印象的なものでした。

“魔法を使うことができる”感動

人はしばしば魔法に魅了されます。一度は魔法を使ってみたいと思ったことのある人も多いのではないでしょうか。小説発で世界的なブームになった『ハリー・ポッター』シリーズは普通の男の子が実は物凄く特別な魔法使いだったという設定でした。

これまで人間は魔法使いになることはできませんでした(と思います)。ゲームの中で魔法や呪文を使うことはできます。しかし、実際に使っているのは自分ではなくゲームの中のキャラクターです。小説や映画もマンガもアニメも、自分ではなく全て登場人物が不思議な力を使います。

冒頭で筆者が書いたファンタジー一色な妄想は、架空のキャラクターの物語でも妄想ではありません。全て『The Unspoken』の中で筆者が体験したことです。

Unspoken

VRの中では、手の平を握り込むと火の玉が実際に手に現れます。メニューを呼び出して目当ての魔法を選ぶと、錬成が始まります。そして自分が投げた方向に魔法は飛んでいきます。そこにラグや不自然な挙動など「これは現実ではない」と思わせる要素はありません。

Unspoken大魔法を選ぶシーン

もはやこれは“魔法を使っている”という感覚”にほかなりません。

『The Unspoken』では実際にどういう体験ができるのか

実際の体験の流れを説明していきます。Oculus Riftを装着し、両手にOculus Touchを持つと目の前にはメニュー画面が広がります。マルチプレイとチュートリアルを選択し、利き手を選ぶとシーンが始まります。

Mogura VR取材班2名はチュートリアルを2名ともが受けた後に、それぞれ別部屋に分かれて対戦と思う存分、同コンテンツを体験しました。

チュートリアルで説明を受けることでプレイヤーは魔法の使い方を体得します。基本となる魔法は火の玉による攻撃、シールドでの防御、ワープでの移動の3種類。

利き手が攻撃する手になります。利き手を握るとその中に火が生まれます。握っている時間が長いほど火の玉は大きくなり強力になっていき、3秒ほど握りこみ続けると光った状態になります。火の玉は敵に向かって投げることができます。狙いを定めないと簡単にはずすので要注意です。

利き手ではない方の手は防御に使います。手を握ると目の前に魔法の盾が出現します。盾を構えながら火のエネルギーを貯めるというのが基本動作になります。

闘技場には、足場がいくつも用意されており、親指を滑らせることで、移動先を選ぶことができるようになります。そしてそれぞれの足場には時々魔力の源となるクリスタルのようなものが出現するので、ワープを繰り返して敵の攻撃をかわしながら、魔力を集めていきます。

魔力が高まると、大魔法が使用可能になります。ここで親指を押す動きをすると自分の習得している大魔法が出現し、大魔法を触ることで発動に入ります。

大魔法は選択するだけでは使うことはできません。それぞれ固有の発動方法があるため、詠唱をきちんと行わなければなりません。今回、使うことのできた大魔法は以下の4つです。

・大量の金の小鳥が自分の周りに出現。全てに触れると、敵に一斉攻撃

・目の前に鍛冶場が出現。手に持った縋を何度も振り下ろすと、強力な槍が出現し投擲

・紙が出現。その紙を折りたたんでいくと紙飛行機になり、それを飛ばすと爆撃機になり相手を爆撃

・ペンが出現。自分の前に適切な大きさで四角を書くと、敵の攻撃を反射する盾が一定時間現れる

それぞれの大魔法には名前がついていないため、自分で名前を決めて、叫びながらプレイすると盛り上がることは間違いないですね。

いつまでもやっていたくなるマルチ対戦

チュートリアルが終わると、対戦になります。Mogura VR取材班は2手に分かれ、魔法バトルを繰り広げました。

最も楽しかったのは、ワープを繰り返し、相手が自分を見失っている間に大急ぎで大魔法を詠唱する瞬間、そんなまるで夢のような戦いを体験しました。楽しくなってきて、思わず攻撃を受けた時も笑ってしまうほどです。

(実況はしていませんが戦っている様子)

この『The Unspoken』は年内に発売されるOculus Touch専用タイトル。2016年末の発売を予定しています。製品版では大魔法の種類をさらに20種類以上に増やすとのこと、果たしてどんな大魔法が実装されるのか非常に楽しみな作品です。

余談:操作説明が不要な時代へ

さて、今回の体験レポートで試みてみたことがあります。それは「一切、操作説明をしないこと」

手のみならず指の動きまでもトラッキングするOculus Touchは、非常に直感的な操作が可能です。2016年9月の体験以来、筆者も何度かOculus Touchの体験を繰り返してきました。このOculus Touchの体験はもはや操作ではないというのが筆者の考えです。

例えば、今回の解説では

「コントローラーの裏側にあるトリガーボタンを人差し指で押すと火の玉が現れます」ではなく 「手を握ると火の玉が現れます」という表現を使いました。

このように従来のゲームなどのインターフェースでは「操作」だったものが、Ouclus Touchを使った場合「行動」で説明できてしまいます。だからこそ、まるで自分の手であるような感覚が強く、実在感が一層強まります。唯一、Touchでできることで説明しにくいのは親指で操作するボタンです。この点はまだ操作になってしまうのはまだ直感的ではないため課題ですが、慣れてしまえば非常に自然な動作になります。

今回の体験を支えているのはOculus Riftが実現している遅延もラグなどもない快適な描画、そしてカクついたり突然手の位置が変わることのない正確なトラッキングです。さらにこのゲームを開発しているInsomniac Gamesは、「手を伸ばしたときに思わず宙を切ってしまう」など不自然な挙動も排除しています。こうした「これは現実ではない」と思わせる隙を徹底的に排除した完成度の高いVR体験だからこその感動だったということは付記しておきたいと思います。

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