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漫画のキャラが目の前に迫る!スクエニ『結婚指輪物語VR』体験レポ



3月24日から25日にかけて東京ビッグサイトで開催された、アニメをはじめとしたエンタメコンテンツの展示会「AnimeJapan 2018」。スクウェア・エニックスのブースでは、同社の漫画VRプロジェクト『プロジェクトHikari』より5月25日にリリースが予定されているOculus RiftおよびHTC Vive向けのVRコンテンツ『結婚指輪物語VR』の体験デモが行われました。体験台は5台用意されていましたが、筆者が確認した時点で40~50分待ちという盛況ぶりでした。

『結婚指輪物語VR』はスクウェア・エニックスの月刊漫画雑誌「ビッグガンガン」で連載中の漫画『結婚指輪物語』(めいびい作)を原作としたVRコンテンツで、“体験型漫画”と謳われています。白黒の漫画が3D化され、その場に居るかのように体験できるというものです。

VR空間の中で「漫画のコマ割り」を再現した作品

「VRで漫画を読む・体験する」というコンセプトの作品は他にもありますが、『結婚指輪物語VR』では「LiveWindow」という独自技術により、VR空間の中で漫画のコマを立体的に配置しているのが特徴です。コマは目の前に大きく表示され、吹き出しはさらに手前に浮き出して表示されることで読みやすくなっています。キャラクターや背景はトゥーンレンダリングの3Dで描かれ、コマの中を覗き込むようにすると真正面からは見えない部分を見ることができるのも面白いところです。

https://www.youtube.com/watch?v=I1LlIokTacU

キャラクターには動きも付いており、フルボイスで台詞が再生されるなど、進行はアニメ風。また、体験者自身が作品世界の中に入るような形で、全方位に作り込まれた背景をぐるっと見渡せる場面も用意されています。

https://www.youtube.com/watch?v=mOAIC4g0PwA

操作の面でのインタラクティブ性はなく、そういった意味ではアニメに近い鑑賞型の作品ですが、コマ割りや吹き出し、そして何より全編白黒で統一されたグラフィックにより漫画らしさを感じる作品です。漫画を読むという体験をVRへ落とし込むにあたって、たとえばページめくりといったインターフェイスを再現するのではなく、ビジュアルと演出により「漫画の世界を体験する」というコンセプトを感じる作品となっていました。

白黒でも確かに感じられるキャラクターの「実在感」

原作の『結婚指輪物語』は、高校生の少年サトウが、幼なじみの少女ヒメを追って異世界に辿り着き、成り行きで伝説の勇者・指輪王になったことから始まる異世界ラブコメファンタジー。『結婚指輪物語VR』の製品版では原作第1話の冒頭からサトウが異世界へ転移するまでが収録され、30分ほどのボリュームとのこと。今回のデモは第1話の途中からとなっており、10分ほどの内容でした。

全体的に臨場感のある体験ですが、筆者がとくにキャラクターの実在感を感じたのは、夏祭りから帰ってきたサトウとヒメが家の前で会話するシーン。

向かい合う二人を2コマで描き、その中で会話が展開します。このシーン、静止画や動画ではなかなか伝わりにくいのですが立ち姿がアップで描かれたキャラクターは手を伸ばせば届きそうな距離感で、感覚としては等身大。さらにヒメは、会話しながらサトウの方に寄っていき……つまり演出としてはコマの中の空間の奥から手間へ、体験者の方に迫ってくるような形になります。

コマという文字通りの「枠」を越えてキャラクターが迫ってくるような感覚は、ヒメがなかなかにグラマーな美少女であることも相まって、ちょっとドキドキしてしまうくらいの実在感を感じさせますここで少し回り込むように視点を変えることで、色々な角度から色々な意味でのボリューム感を確認することも可能で、キャラクターが3Dモデルで描かれている有り難さを大いに実感できました。(なお筆者は体験レポートにおける使命感からこうした確認を行いました。)

一方、体験前の懸念として「白黒であることが没入の阻害とならないか」というものがありましたが、これについては杞憂でした。普段から日本の白黒漫画に慣れ親しんでいる人特有の感覚かもしれませんが、コマ割りという演出や背景のタッチなどから「これは漫画だ」と認識すると、白黒であることでキャラクターの実在感が損なわれることはない印象でした。むしろ「漫画のまま動いている」という感覚がなかなかに新鮮です。

TGS2016版からは全モデルを作り直し。今後の展開は?

『結婚指輪物語VR』は東京ゲームショウ2016(TGS2016)にも出展されており、約1年半を経ていよいよ完成版のリリースとなりました。株式会社スクウェア・エニックスのテクノロジー推進部、イマーシブエクスペリエンス・プロジェクトリーダーの曹 家栄氏によると、TGS2016版からはLiveWindow技術のパフォーマンスを改善したほか、3Dモデルをもっと原作の見た目へ寄せるように、キャラクターも背景も全て作り直しているとのこと。シェーダーもユーザーからのフィードバックを踏まえて改善しているそうです。さらに、ツールの改善など「作りやすさ」の面も強化したと話しています。

本作の特徴である白黒表示については、白黒がメインの表現方法である日本の漫画の見た目を再現し、漫画の世界観が失われないようにするといった意図があるとのこと。このあたりはまさに体験時に感じたところで、出版社ならではのこだわりと言えそうです。とはいえ漫画にはもちろんカラーページもあります。これについては技術的には色をつけることは全然不可能ではなく、色の使い方についてアイデアを考えながら検討中と語りました。

また、今回リリースされる内容は原作第1話の途中までということで、気になるのは今後の展開。曹氏によると続きについては制作検討中とのこと。『結婚指輪物語』以外の作品への展開については「私達としても、他のタイトルへの展開はやりたいですね」と語りつつ、開発のスピードがある程度上がらないとエピソードのリリース間隔が空いてしまうため、制作の基盤をもう少し強化してから検討するとのことでした。日本の漫画好き向けのVR漫画として、また原作読者向けのファンサービスとしても期待できそうなコンテンツなので、幅広い展開に期待したいところです。

商品概要

タイトル

結婚指輪物語VR

対応機種

Oculus Rift、HTC Vive

ジャンル

体験型漫画

発売予定日

2018年5月25日(金)

価格

未定

対応言語

日本語(インターフェイスは日本語、英語対応)

プレイ人数

1人

対象年齢

12歳以上

公式サイト

http://www.jp.square-enix.com/mangainvr/

©MAYBE/SQUARE ENIX

この記事を書いた人

中村友次郎

ゲームをプレイしたり紹介するのがライフワークっぽい人。いろいろプレイしますがフリーゲームを含む同人ゲームを特に好み、コンシューマでは日本ファルコムの大ファンです。 過去に十数年ほど、窓の杜の連載記事「週末ゲーム」の編集と一部執筆を担当していました。現在は主に「もぐらゲームス」で活動中。 Twitter:@finalbeta

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