Home » 「Roblox」地方自治体での活用事例まとめ メタバースでの観光促進、地元住民への認知拡大などの目的に


活用事例 2025.04.17

「Roblox」地方自治体での活用事例まとめ メタバースでの観光促進、地元住民への認知拡大などの目的に

オンラインゲームプラットフォームRobloxは、若年層を中心に世界各国でヒットしており、2024年第4四半期のDAUは8,530万人となりました。日本のユーザー数も著しく伸びており、日本では地方自治体もRobloxを活用したPRを行っています。

地方自治体の手掛けるRobloxワールドは、主に観光促進や住民への情報発信を目的としたケースが多く、企業主導のコンテンツとは違ったアプローチで注目を集めています。本記事では、Robloxへ進出した地方自治体をピックアップし、公開したバーチャル空間の内容を紹介します。

目次

■地方自治体に活用された事例
・東京都「HELLO! TOKYO FRIENDS」
・福島県田村市「タムコン」
・群馬県館林市「ぽんちゃんを助け出せ In 館林市」
■類似事例(地方自治体によるものではないが地域振興の一環となったもの)
・ゆるバース(ゆるキャラグランプリ)
・志摩スペイン村 ~Parque Espana~
・ProVision YOKOHAMA TOWN
・Meta Osaka World
■事例から見る「Roblox」の活用のメリットと注意点
■Moguraはメタバース制作〜運用まで伴走します

地方自治体に活用された事例

東京都「HELLO! TOKYO FRIENDS」

東京都と東京観光財団は、Roblox上の東京都公式ワールド「HELLO! TOKYO FRIENDS」を公開しています。東京の魅力を国内外に発信することを目的としており、東京の最新観光情報を散策やゲームを通して知ることができ、ユーザー同士の交流に繋がる機能も用意されています。

公開されているエリアは「現代エリア」「多摩・島エリア」「レトロエリア」「江戸エリア」「未来エリア」で、トレジャーハントやミニゲームを楽しむことが可能です。現代エリアでは都庁や両国国技館、豊洲市場といった名所を巡ることができ、最新の未来エリアでは、東京都が実現に向け推し進める「空飛ぶクルマ」を体験できるコースも用意されています。

HELLO! TOKYO FRIENDSの来場者数は690万人を突破しており、積極的なアップデートが行われています。また、ARを活用したWebアプリ「TOKYO HUNT!」も公開しており、Robloxのキャラクターたちとともに観光を楽しめます。

ワールドアクセス https://www.roblox.com/ja/games/15015165959/HELLO-TOKYO-FRIENDS
訪問数(記事公開当時) 約700万回
公開日 2023/10/9(最終更新2025/4/1)
地方自治体 東京都、東京観光財団

福島県田村市「タムコン」

福島県田村市では、市の観光資源をバーチャル空間で再現したオリジナルRobloxゲーム「タムコン」を開発しました。田村市では「昆虫」をテーマとしたブランドイメージを発信しており、Robloxでも昆虫をコレクションする体験ができます。

ゲームとしては、森や田畑、渓流など田村市をモチーフとしたマップでムシムシコインを集め、ガチャで昆虫たちを増やし、新しいエリアを開拓するといった内容です。さらに、進化した昆虫やレア昆虫も集められます。

また、「カブトムシドーム」「磯前神社」「あぶくま洞」「大鏑矢神社」「お人形様」「大越町鬼五郎幡五郎和太鼓保存会」といった観光名所や文化もRobloxで再現。「田村市=昆虫」のイメージを広め、地域活性化を図っています。

ワールドアクセス https://www.roblox.com/ja/games/18671852453/unnamed
訪問数(記事公開当時) 約2,800回
公開日 2024/7/27(最終更新2025/4/5)
地方自治体 福島県田村市

群馬県館林市「ぽんちゃんを助け出せ In 館林市」

群馬県館林市では、メタバースを活用した観光活性化事業の一環として「ぽんちゃんを助け出せin館林市」を公開しました。館林市の観光スポットをテーマにしたユニークな障害物エリアを突破し、館林市のマスコット「ぽんちゃん」を救出するゲームとなっています。

館林市の観光資源として、「館林市つつじが岡公園」「向井千秋記念子ども科学館」「花ハス」「城町アンブレラスカイプロジェクト」をゲーム内で再現。また、館林市内の公共施設で使える「特別割引キーワード」を入手することもできます。

本ワールドは2025年2月中までの公開でしたが、好評につき5月31日(土)まで期間を延長。さらに、館林市にある「つつじ映像学習館」に設置されたパソコンを利用したタイムアタックイベントを開催し、地域イベントの盛り上げに貢献しました。他にも、ご当地アイドルの「Menkoiガールズ」や、交流都市の沖縄県名護市、山形県天童市ともRoblox上でコラボを実施しています。

ワールドアクセス https://www.roblox.com/ja/games/70994257701661/in
訪問数(記事公開当時) 約4,200回
公開日 2024/11/13(最終更新2025/4/14)
地方自治体 群馬県館林市

類似事例(地方自治体によるものではないが地域振興の一環となったもの)

ゆるバース(ゆるキャラグランプリ)

「ゆるバース」は、2020年に終了した「ゆるキャラグランプリ」のコンセプトを引き継ぎ、メタバース上でご当地キャラクターを通して地方創生を応援するイベントです。Roblox上では、ゆるキャラゲーム「ゆるキャラクローン!」とゆるキャラ展示空間「ゆるバース」の2種類のワールドが公開されています。

「ゆるキャラクローン!」は、自分のアバターやゆるキャラたちを自由に増殖して遊べるサンドボックス空間です。一方、「ゆるバース」ではゆるキャラたちが展示されており、好きなキャラクターに「いいね」で評価できます。

ワールドアクセス ・ゆるキャラゲーム「ゆるキャラクローン!」
https://www.roblox.com/games/101835639864577/Clone-Cute-Mascots
・ゆるキャラ展示空間「ゆるバース」
https://www.roblox.com/games/18943165266/Yuru-Verse
訪問数(記事公開当時) 約38.7万回(ゆるキャラクローン!)
公開日 2024/10/2(最終更新2025/4/10・ゆるキャラクローン!)
団体 ゆるキャラグランプリ

志摩スペイン村 ~Parque Espana~

「志摩スペイン村 ~Parque Espana~」は、三重県志摩市の複合リゾート施設「志摩スペイン村」をモチーフとした公式メタバース空間です。実際の志摩スペイン村のエントランス・エスパーニャ通り・シベレス広場・マヨール広場までをRoblox内に再現しています。

遊べるゲーム「Running of the bulls」は、スペインの奇祭「牛追い祭り」「トマト祭り」をモチーフにした生き残るといった内容で、次々とフィールドに現れる牛たちに落ちているトマトを拾って投げつけながら逃げ切ることを目指します。また、志摩スペイン村のキャラクターたちや人気のチュロスも再現しています。

志摩スペイン村への興味関心が高まって現地体験がもっと楽しくなることを目的としており、2022年12月のオープンから約1ヶ月で延べ2万回を突破しました。来訪者の半数以上が諸外国在住で、来訪者がワールド内の建造物やキャラクターの説明を読んだことを示す「クリック数」は合計4,742回と、施設への関心度の高さが伺えます。

※本Robloxワールドは現在公開終了しています。

ProVision YOKOHAMA TOWN

「ProVision YOKOHAMA TOWN」は、株式会社ProVisionのRobloxワールドで、メタバース上にみなとみらいを模した空間を表現しています。同社ではRobloxゲームコンテスト「ROB-1グランプリ」を主催しており、受賞作品のゲーム4種類などが楽しめるようになっています。

2023年には、横浜市が開催したイルミネーションイベント夜にあらわれる光の横浜〈ヨルノヨ2023〉と公式コラボし、ワールド内の街並みをきらびやかにライトアップ。イベントの告知やコラボアイテムの販売が行われました。

また2024年は、神奈川県のSDGsの取り組み「未来応援、アクション」と連携し、販売アイテムの収益の一部をNPO法人に寄付しています。プロサッカークラブ「横浜F・マリノス」ともコラボし、公式キャラクターのマリンがRoblox上に登場した他、ユニフォームやバックパックなどのアイテムも無料配布されました。

ワールドアクセス https://www.roblox.com/ja/games/14115695681/ProVision-YOKOHAMA-TOWN
訪問数(記事公開当時) 約8.800回
公開日 2023/7/19(最終更新2025/1/30)
企業 株式会社ProVision

Meta Osaka World

「Meta Osaka World」は、大崎に特化したオリジナルメタバースの開発・制作を手掛ける株式会社Meta OsakaのRobloxワールドです。教育やビジネス、地域活性化の場として多目的に活用できる新たなデジタル文化発信の拠点として配信されました。

ワールド内には、実在する施設「メタバースサロン」「SPATIAL STUDIO OSAKA」「CICERO」などの施設を再現。ビジネス展開では、パートナー企業専用のワープゲートが設置され、企業のブランディングやプロモーション、商品販売などが行えます。

子ども向けの体験型コンテンツでは、「こども万博ワールド」として、「こどもの夢を応援する1日」をテーマにした、こどもが主役の社会課題解決プロジェクトを展開。消防士体験や各種ミニゲームを通じて、遊びながら学べる機会を提供しています。

ワールドアクセス https://www.roblox.com/ja/games/76538742490495/Meta-Osaka-World
訪問数(記事公開当時) 約500回
公開日 2024/9/26(最終更新2025/4/16)
企業 株式会社Meta Osaka

事例から見る「Roblox」の活用のメリットと注意点

Robloxは、スマートフォンユーザーなら誰でもRobloxを利用できるため、一つのワールドへのアクセス数が非常に多く、特に英語圏ユーザーの利用が活発な状況です。そのため、冒頭で紹介したような東京都「HELLO! TOKYO FRIENDS」では国内だけでなく海外ユーザーの利用が目立っています。そのため、海外ユーザーにも分かりやすく、地域の魅力をはっきりとビジュアルでアピールしやすいワールドになっているかは重要なポイントになっていると言えるでしょう。

また、Robloxのメインユーザー層が10代のため、遊びながら地域情報・観光情報を学べるようなデザインにすることも外せないところ。これまで紹介した事例を見る限りでは、シンプルなポスターや文字情報の看板のみを貼るのではなく、特産物をアイテム化したり、地域の名所をアスレチックに再設計したりといった工夫が必要と言えるでしょう。若年層に長く遊んでもらう場所にすることで、長期的な地域の認知拡大に繋がる可能性があります。

一方で、Robloxは多種多様なワールドが存在しており、競合するコンテンツが非常に多くあります。「何度も体験したい」と思わせる体験を提供するには、こまめなワールド更新が必要となってきます。ワールドで遊んだ経験のある若年層に直接ヒヤリングして、どのような実感や学びを得られたかを細かに分析し、それを元にワールドやコンテンツにフィードバックしていくという、臨機応変な対応が求められます。日本で同様のケースとして「顔から逃げるゲーム」の成功例がこのケースに該当しています。

注意点としては、上記で述べたように10代のユーザーが多く遊ぶプラットフォームのため、子ども同士のトラブルや子どもを対象とした悪質な勧誘・いやがらせ行為等の発生するリスクについて検討が必要というところです。現在、Roblox側はペアレンタルコントロール(両親が子どもの操作を一部制限できる機能)を強化したり、プライバシーポリシーを整理しなおしたりと、頻繁に更新を繰り返していますが、それでも十分に対策が行き届いているとは言えません。ワールド運営・管理側でも、遊ぶユーザーたちの活動に問題が無いかをチェックしていく必要があるでしょう。特に、自治体発のメタバースでそうしたトラブルが起きる事態になると、ネガティブな認知度の拡大に繋がる恐れもあります。

今回の記事では、主に観光誘致や地元住民への認知拡大など、プロモーション的な目的での事例を紹介しました。ただし、そういった事例だけではなく、現在地方では様々なかたちでRobloxの利用が行われていることも押さえておく必要があります。それは地域のプログラミング教室や、3Dコンテンツ制作への挑戦を目的としたワークショップ・子供向け教室などが、さまざまな地域で実施されているという点です。現在、子供向けのプログラミング教室では、マインクラフトやレゴブロック系ゲームなどと同じように、学習項目として、Robloxが採用されているケースがあります。

こうした点を踏まえると、教育・学習目的で地方自治体がRobloxを利用するという活用も今後見込める可能性があります。Robloxを「人を集める」手段としてだけではなく「人に何かを学んでもらう」場所として捉えることで、これまで以上に活用できる幅は広がることになるかもしれません。

Moguraはメタバース制作〜運用まで伴走します

「プラットフォーム選定を適切に判断し、予算を勘案し、リサーチから運用まで寄り添ってくれる会社はないのか?」とお悩みの方は、ぜひ株式会社Moguraにご相談ください。

Moguraでは、“Mogura NEXT”という、AR/VR/メタバース/アバター(VTuber含む)領域に特化した、リサーチ・コンサルティング・開発サービスを展開しています。

国内最大のXR専門メディア「Mogura VR」を運営する株式会社Moguraによる業界随一のコンサルティング力を武器に、開発・調査・アドバイザリー等幅広く企業・行政機関のXRの取組を支援しています。特に、メタバースの制作に関しては、ご相談ごとにパートナーの開発会社やクリエイターとチームを組成。XR・ゲーム・メタバースの開発経験が豊富なメンバーが実際のサービスやコンテンツ開発までサポートしています。また、業界メディアを運営している知見とネットワークを活かして、メタバースのPRや広報のサポートも行っています。

・建築×Fortnite展開事例(長谷工コーポレーション様)
https://mogura.co/posts/20241031
・ブラウザメタバースを使ったメタバースモデルルーム(長谷工コーポレーション様)
https://mogura.co/posts/20240802
・VRChatを活用した観光PRとデジタル人材育成(鳥取県倉吉市様)
https://mogura.co/posts/20240229
下記リンクから、お気軽に資料請求・お問い合わせください。
資料請求
https://mogura.co/next_download
問い合わせ
https://mogura.co/contact


VR/AR/VTuber専門メディア「Mogura」が今注目するキーワード