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VTuber 2022.10.05

「PROJECT SIGN」が所属メンバーの「フリー化」を発表 企業保有のキャラクターの権利を本人へ譲渡

10月4日(火)、バーチャルモデルプロジェクト「PROJECT SIGN」は、所属メンバー4名に「フリー化」を発表しました。各メンバーには自身のキャラクター権利などが譲渡され、より主体的な活動を行えるとのことです。

キャラクター権利やリソースが本人に譲渡

「PROJECT SIGN」は2020年11月に始動(旧名は「Project Sign」)。「V-FASHION」をテーマとしたバーチャルモデルプロジェクトとして発足し、オーディション採用の専属モデル部門「PROFESSIONAL」や、個人活動部門「JUNIOR」などが展開されていました。

今回フリー化が発表されたのは、「PROFESSIONAL」所属のAltairさん、アリエス・Sさん、一葉さん、二葉さんの4名。具体的には以下のような対応が実施されます。

・キャラクターの権利及び既存キャラクターリソースを配信者側に譲渡
・個別に定めた運営との一定条件を超えることにより新規リソースを提供
・SHOWROOMにおける配信者のギフティング売上分配率が向上
・PROFESSIONALやJUNIOR等のカテゴリが撤廃されフラットな状態に

今回の対応は、バーチャルモデルは自分で衣装変更や改修を行うことが多いことを理由に、今後より主体的な活動を行えるように、「これまで企業の著作権として維持してきたキャラクターの権利」の譲渡を決定したとのことです。

また、「PROJECT SIGN」では10月に新たなバーチャルモデルを募集するオーディションを開催します。「白鳥デネヴ」「花凛」「紫依」の3名を募集するオーディションでは、新たな試みとして合格者に対し、1年の活動期間経過後にキャラクターの権利も含めて譲渡が約束されます。今回フリー化が発表された4名と同様の状態になるものと推測されます。

VTuberの「身体」は誰のものか

企業所属のVTuberは多くの場合、自身の「身体(Live2D、3Dモデル)」などに関する権利は有していないとされています。

権利を企業に委任することで、様々な活動のサポートを受けられる反面、契約次第では自分の思うようにLive2Dモデルなどの調整や改修ができず、所属事務所や企業がVTuber事業を停止した場合、自身の「身体」や名義を丸ごと喪失する可能性があります。

自身の「身体」をめぐるトラブルは、VTuber業界においてしばしば見られます。直近でも、11月30日に解散予定の「ZERO Project」から卒業したべあもりゆるもさんが、「個人勢時代から制作を進めていた3Dモデルが、事務所卒業と同時に利用できなくなった」と発表。事務所との3Dモデルをめぐるトラブルを明かした上で、新たに3Dモデルを作るためのクラウドファンディングを実施しました(本記事執筆時点で目標達成済)。

こうしたなか、配信者本人へキャラクター権利を譲渡するという「PROJECT SIGN」の対応は、VTuber/バーチャルタレントのあり方をよく見極めたものと言えるでしょう。権利譲渡後の運営方針がどのようになるか、権利譲渡によって生じる問題点など、未知数な部分もありますが、いまや「TikTok」や「VRChat」も活動拠点になるほど環境変動が進むVTuber業界にとって、自分の「身体」を動かせるという自由は武器になり得るでしょう。

今後の「PROJECT SIGN」の動向はもちろん、VTuber業界全体の動きにも注視したいところです。

(参考)プレスリリース


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