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VRヘッドセット 2022.07.29

新型一体型VRヘッドセット「Pico Neo 3 Link」を体験 Meta Quest 2の対抗馬となり得るか?

VRデバイスメーカー・Picoの新型VRヘッドセット「Pico Neo3 Link」が、6月24日(金)に日本にて販売されます。価格は49,280円(税込)で、AmazonおよびAmazonや家電量販店(ヤマダ電機、ビックカメラ、ヨドバシカメラの一部店舗)での取り扱いも予定されています。

「Pico Neo3 Link」はヘッドセット単体で動作する一体型VRヘッドセットで、Qualcomm Snapdragon XR2搭載、解像度は4K相当と、MetaのVRヘッドセット「Meta Quest 2」を強く意識したようなスペックや価格設定が話題を呼んでいます。

その一方、DisplayPortケーブルを用いた非圧縮映像で体験できるPCVRモードといった、「Meta Quest 2」にはないユニークな特徴も見られます。

MoguLive編集部は今回、「Pico Neo3 Link」のデモ機を一台お借りし、「Meta Quest 2」の競合機種としても期待がかかるPicoの新型機種の実力を検証してみました。

「Pico Neo 3 Link」基本情報

まずはパッケージ開封から。箱はかなり大きめです。

内容物を取り出してみた写真がこちら。ヘッドセット本体に加え、ケーブル類やアクセサリーなどが多く同梱されています。

こちらがヘッドセット本体。後頭部クッション付きのプラスチック製ストラップが備え付けられた、シンプルな構造です。

こちらは後頭部。銀色のパーツが調節ダイヤルで、多くのVRヘッドセットで見られる「ダイヤルで締めてヘッドセットを頭部に固定する」という方式が採用されています。

大まかな構造は「Eliteストラップ」を装着した「Meta Quest 2」に近いです。重心バランスは少しだけ前方寄りですが、クッション部分の素材は比較的良質なため、装着感は良い方です。

細かなところをチェックしてみます。まずIPD(瞳孔間距離)は、レンズを直接動かすことで調節できます。調節幅は3段階(58mm、63.5mm、69mm)となっています。

電源ボタンはヘッドセット本体の上部、装着して左手側にあります。電源ONはボタンを2秒長押しです。この他にもヘッドセット本体にボタン類が多く搭載されているため、使用の際はマニュアルを確認しておくことを推奨します。

ストラップの両サイドの内側にはスピーカーが設置されているため、イヤホンを装着しなくとも音声を聞くことができます。イヤホンジャックも存在するため、別途好みのイヤホンなども使用可能です。

ちなみに本体とストラップの可動域はかなり広め。ほぼ垂直に動かせるので、VR体験中もヘッドセットを外さずに上にズラすことで、外の視界を確認できます。

コントローラーはOculus Touchライクで、グリップ部分が長め。形状は「VIVE Focus 3」のコントローラーに近いです。類似するコントローラーと同様に、握りやすく、扱いやすいものになっています。

画質はQuest 2とほぼ同等。録画や画面共有などは扱いやすい

実際に使ってみます。起動時のトラッキングエリアセットアップは、「Meta Quest 2」とおおむね同様です。セットアップが完了すればホームワールドへ移動します(※初期起動時には、Picoアカウントの作成とログインが必要となります)。


(起動時に表示されるホームワールド。地球を見下ろす宇宙船のような空間)

まず肝心の画質は、体感としては最大の競合たる「Meta Quest 2」とほぼ同等で、相当に鮮明です。一方で、視野はやや狭く感じられました。「Meta Quest 2」とカタログスペックを比較してみましょう。

Pico Neo 3 Link

Meta Quest 2

ディスプレイ

LCD

LCD

解像度(左右合計)

3664×1920ピクセル

3664×1920ピクセル

リフレッシュレート

72/90/120Hz

60/72/90/120Hz

視野角

98°(水平)

110°(対角)

基本的なスペックはほぼ一致。「Pico Neo 3 Link」は対角視野角の正式な数値が公開されていないため不明ですが、「やや狭い」と感じたのはわずかな差異によるものと思われます。ただし筆者の体感では、目に見えて体験の質が下がるほどの差としては感じられませんでした。

デモ機にインストールされていたVRゲームもいくつかプレイしてみました。トラッキング性能を見るために、比較的動きの多い「OnShape」で遊んでみましたが、途中でトラッキングが失われることはなく、操作感は良好でした。

体験していて気づいた特徴として、画面録画をコントローラーの特定のボタンを二度押しで開始・終了できる点が挙げられます。気になったタイミングですぐに録画を始めることができるため、かなり扱いやすく便利だと感じられました。

また、同一のWi-Fiに接続したPCのWebブラウザから、VR内の映像をストリーミングできる機能も存在しました。モバイル端末やスマートテレビへもストリーミングが可能とのことで、簡単にVR内の様子を他の人にも共有できるのはユニークです。ただし、今回の検証ではゲームをプレイしている時はストリーミングが失敗するといった挙動も見られました。

一通り単独で動かしてみて、うまく動作しない機能こそありましたが、基本的な使い勝手は良好で、VR内の様子を録画・共有する機能の充実が大きな特徴であると感じました。

DisplayPortケーブルを使うPCVRモードの実力は……?

次に、「Pico Neo 3 Link」最大の特徴でもある、DisplayPortケーブルを用いたPCVRモードを体験してみます。使うのは付属の専用DisplayPortケーブルです。

接続先はヘッドセットの上部ですが、なんとこの専用ケーブル、ネジ止めでヘッドセットに固定するつくりになっています。ケーブル端子を差し込んだ後、付属のドライバーでネジを締めていきます。

完全に固定しきった状態がこちら。ネジ止めされているので安定感はバツグン。しかし、単体で動かしたいときにはネジを外す必要があり、少し面倒です。

PCには事前に「Pico Link」という専用ソフトウェアをインストールしてから、「Pico Neo 3 Link」を接続します。ちなみにケーブルの長さは相当にあるため、プレイ中に移動できる範囲は十分に確保できそうです。

今回はSteamVRにて「Beat Saber」と「Half-Life: Alyx」をプレイ。前者ではトラッキング精度を、後者では映像の精細さをチェックしました。

まずは「Beat Saber」ですが、遅延やトラッキング消失は特に見られず、安定してコントローラーを振り続けることができました。難易度「EXTREME」も難なくプレイ可能です。VRゲームでも特にコントローラーの動きが激しい「Beat Saber」で問題がないことから、大半のVRゲームでは十分なトラッキング精度を確保できるはずです。

そして、「Half-Life: Alyx」をプレイしてはっきりしたのは、PCVRモードでも映像のクオリティが非常に良いということです。単独で使っているときと画質はほぼ大差なく、4K相当の解像度をフル活用したPCVRコンテンツを体験できます。仮にPCVR専用機として使う場合でも、49,280円(税込)という価格はかなり割安です。

しかし、今回の検証では、PCVRモード中にPC側の音声がヘッドセットから出力されず、やむを得ずPC側から音声を流す形でプレイせざるを得ませんでした。これが「Pico Neo 3 Link」の仕様なのか、検証環境の問題なのかは切り分けできなかったのですが、仮に仕様であるとすると、人によっては不便さを感じそうです。

追加検証:有線/無線PCVRモード

後日、有線および無線でのPCVRモードを再検証しました。

まず、専用DisplayPortケーブルを用いた有線PCVRモードですが、あらためて動かしてみるとPC側の音声をヘッドセット側から出力させることができました。音声についても問題がないため、有線PCVRモードは高画質で遅延のない、便利な機能であると言えそうです。

次に、Wi-Fiを用いた無線PCVRモードを検証しました。無線接続をするには、「Pico Neo 3 Link」とPCを同一のWi-Fiに接続した状態で、「Pico Neo 3 Link」側から「Pico Link」を起動します。条件が整っていれば、PC側で自動的にSteamVRが立ち上がり、PC側のVRゲームを起動できるようになります。

画質も良好ですが、一方で無視できないレベルの遅延が発生しました。「Beat Saber」では有線接続時には対応できたノーツを斬り損ね、「Half-Life: Alyx」に至ってはちゃんとプレイできないレベルのカクつきを確認しました。正直なところ、実用的とは言い難い性能です。

なお。今回の検証環境はWi-Fi 5だったため、Wi-Fi 6で動かした場合にはどうなるか不明です。

未知数だが、基本性能はMeta Quest 2のライバルとなり得る一台

一通り体験してみて、画質、トラッキング、装着感、などが全体的に良好なレベルでまとまっており、視野角がちょっと狭いという点を除けば、基本性能は「Meta Quest 2」と十分に渡り合えるVRデバイスだと感じました。

販売価格も49,280円(税込)と、Meta Quest 2の256GBモデルと同額で、VRヘッドセットの中でも比較的手が届きやすくなっています。

一方で、VR映像ストリーミングやPCVR化などの野心的で便利な機能も多いですが、今回の検証では想定通りの挙動をしないものが多く、細かなところで不安定さを感じました。この点は適切な環境情報やセットアップ手順がより整備され、不具合がアップデートで解消されていけば、よりよいデバイスへと発展していくでしょう。

懸念点としては、リリース当初の「Oculus Quest」と同様に、「アプリのラインナップがどのようになるか」が挙げられます。ただし過去の報道では「Eleven Table Tennis」「SUPERHOT VR」「Puzzling Places」「Demeo」「After The Fall」といった人気タイトルが専用ストアに並ぶことが伝えられており、今回のデモ機でも「ALTDEUS: Beyond Chronos」のインストールが確認されるなど、初動から十分なアプリが確保できそうな予感があります。

アプリのラインナップを除けば、「Meta Quest 2」との大きな相違点は「DisplayPortケーブルによる画質劣化のないPCVRモード」「Facebookアカウントが必要かどうか」「視野角の差」「コントローラーの形状」といったところ。未知数な部分こそ多いものの、Meta Quest 2の競合機種となり得る一台として十分に期待できる一台です。

「Pico Neo 3 Link」基本情報

本体サイズ

135mm(幅)x190mm(奥行)x112mm(高さ)

重量

385g(ストラップなし)

ディスプレイ

5.5インチLCDディスプレイ

レンズ

フレネルレンズ

解像度(左右合計)

3664×1920(773ppi)

リフレッシュレート

72/90/120Hz

視野角

98°

瞳孔間距離 (IPD)

58mm/63.5mm (デフォルト)/69mm

オーディオ

ステレオスピーカー、無指向性デュアルマイク

トラッキング

インサイドアウト(4カメラ、6DoF)

プロセッサ

Qualcomm Snapdragon XR2

メモリ

6GB LPDDR4X

内蔵ストレージ

256GB

外部接続

Bluetooth 5.1、2.4GHz/5GHz Wi-Fi(2×2 MIMO 802.11ax)、Wi-Fi PCストリーミング、有線PC接続

接続ポート

USB 3.0、DisplayPort、3.5mmヘッドフォン出力

公式サイト

https://www.picoxr.com/jp/products/neo3-link/overview


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