今回レビューするのは、ネズミのQuillと神話と魔法の世界を旅するVRパズルアドベンチャー『Moss』です。複雑なステージをVRならではの手法で協力しながら進んでいくゲームで、手応えのあるプレイ感が特徴的な作品です。
広大な自然と複雑なステージ
プレイヤーは小さなネズミの「Quill」を、見下ろすような視点で見守りながらステージを進めていきます。Quillは小さく、動き一つ一つに愛嬌があり、非常にかわいらしいのですが、目を離さないように注意しながら操作しましょう。
ステージは現実の自然環境に近い形で作られており、岩場などはかなり複雑な構造になっています。そのためQuillは岩などの裏側に行ってしまいがちですが、位置が分かるように、輪郭が浮かんで見えるようになっているので安心です。
先に進むにつれ、ステージは複雑になっていきます。立体交差や階層の多いステージ、トゲのついた植物やQuillの苦手な水が行く手を遮ります。一見行けそうにない場所でもジャンプや剣で道が開く場合があるので、色々と試してみるのも手です。
『Moss』の世界には自然だけではなく、動物たちの暮らす町も登場します。多くの家が入り組んで配置されている様子は、まさにファンタジー世界といったところ。住人たちも様々で、思わず足を止めて眺めてしまうほどです。プレイヤーが干渉できる住人がいないのは残念ですが、それでも動きを観察したくなるほどです。
ギミックはプレイヤーと一緒に解いていく
『Moss』には複雑な構造ステージだけでなく、スイッチを押して先に進むギミックなどもあります。Quillだけで解決できるギミックが大半を占めているので、一見難解な仕掛けに見えても、実際は簡単だったというパターンが多くあります。ただし、中にはQuillだけでは解けないようなギミックもあり、その場合はプレイヤーが手助けして共に謎解きを進めていきます。
青い光がついているギミックにはプレイヤーが干渉できます。大きな門を開けたり、水車を止めたり、道を作ったりと、プレイヤーにできることは多め。Quillのアクションを組み合わせ、2人で道を切り開いていきましょう。かなり複雑なギミックも登場するため、とりあえずガチャガチャと動かすのではなく、全体像を把握してから取り組むと良いでしょう。
ちょっとしたやりこみ要素も
『Moss』には冒険だけではなく収集要素も取り入れられています。絵が描かれた紙がマップに隠されており、これを集めていくのですが、ほとんどが正規ルートではない場所に配置されているため、見つけことすら難しい場合もあります。暗いステージなどは特に見つけにくいため、よく目を凝らして探してみましょう。集めなくてもクリア自体は可能ですが、隅から隅まで探索しながら進んでゆくのは本作の醍醐味ともいえます。
『Moss』はOculus Rift向けに配信されている『Lucky’s Tale』に近い作品ですが、プレイヤーもアクションができるため、協力して先に進んでいくことが特徴的です。特に『Lucky’s Tale』は1人で進むゲームという印象が強かったのですが、本作はあたかも「もう1人いる」ような感覚に陥るほどのゲームでした。ネズミになりきるのではなく、あくまで自分は第三者であるため、没入感を削がれることもないというのは嬉しいポイント。ストーリーも自分のペースで進められるため、手持無沙汰にならないのも良い点です。
しかし、謎解きに関してはほぼノーヒントで解かなくてはいけないので、やや詰まり勝ちになるという点は気になります。パズルゲームなどで頭を鍛えている人には優しい仕掛けでも、ドツボにはまってしまうとなかなか抜け出せません。長時間悩んでしまうと、疲労感がたまりがちなVRでは特に大きい欠点であるように感じられました。
VRゲームに爽快感を求めるユーザーには合わないところがありますが、可愛いもの好きやパズルゲームが好きな人にはぜひともオススメしたい作品です。
ソフト情報
タイトル |
Moss™ |
ジャンル |
アドベンチャー |
発売元 |
Polyarc |
発売日 |
2017年2月27日 |
対応プラットフォーム |
PlayStation VR |
価格 |
¥3,299(税込) |
プレイ人数 |
1人 |
公式サイト |