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イベント情報 2016.08.20

いつものVRイベントと一味違う展示をMaker Faire Tokyo 2016で発見

8月6日~7日の2日間、東京ビッグサイトにてMaker Faire Tokyo 2016が開催されました。

超技研「おえかきスプレーVR」


Maker Faire Tokyo 2016
『おえかきスプレーVR』はLeap Motionを装着したOculus Riftと、スプレー缶を改造したオリジナルコントローラーを使用して壁に自由に絵を書くことができるというコンテンツ。
Maker Faire Tokyo 2016
Oculus Riftを被り手を伸ばして缶を掴むと、VR空間にも同様に缶のモデルがあります。そこで本物のスプレーを使用するのと同じように人差し指で押し込むと、インクが出て絵を書くことができます。色の変更は缶を振ることで変えることが可能です。

HTC Vive向けにリリースされている「Kingspray Graffiti Simulator VR」も同様にスプレー缶で壁にお絵かきができるコンテンツですが、製作者によると「HTC Viveの場合は体験するのにある程度の広さが必要になるが、『おえかきスプレーVR』なら省スペースで同様の体験をすることが可能」とのこと。
(doron)

慶應義塾大学 大学院メディアデザイン研究科 「Robava」


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Maker Faire Tokyo 2016

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Maker Faire Tokyo 2016

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Oculus Rift DK2を被ると、Pepperの視界を見ることができ、足こぎペダルでPepperを前進させ、Kinectで腕の動きを感知して、Peppetの腕を動かすことができます。つまり、自分の体を動かすようにPepperを動かすことで、自分自身がPepperになったかのような「テレイグジスタンス(遠隔臨場感)」を感じるコンテンツです。

Maker Faire Tokyo 2016
Maker Faire Tokyo 2016

体験場所では不具合も起きやすく完全ではありませんでしたが、指の動きも連動してます。手を開いたり、握ってみると、Pepperの手も連動して開いたり握ったりします。
Maker Faire Tokyo 2016
頭を動かすと、Pepperの見ている方向も変わります。真横を向いたまま止まっていると向いた方向へ回転をします。ペダルの足こぎは走り出しにちょっと間がありますが、自分が足を動かすことで、視界が動くのでフラッと酔いを感じる可能性があります。

頭の向きはPepperの頭と連動していますが、はっきりとわかるほどの遅延があります。それでも、周りの人がPepperを見つめて手を振ってくれるので、それに応えてこちらも手を振り返すときは、自分がまるでPepper君になっている感覚になりました。

特に若い女性の一人が、ハグしてくれたときは、顔が近くて照れくさくなりましたし、相手の感触を感知するセンサーなどは一切無いにも関わらず、相手の体の柔らかさや、体温を感じた気がしました。

Pepper君の身長は筆者の身長より低く、小学生位。周りで見ている大人を見上げることになります。小学生に対するときは同じ位の目の高さです。

周りで見ている人は、筆者が大掛かりな装置の中でVRヘッドマウントディスプレイを被り、手を振って、足こぎしている状況を目の前で見えています。今、動いているPepperを動かしているのが筆者であることを認識しているにも関わらず、ロボットのPepperに対して、人間の子供に対するように振る舞っていることが興味深いことでした。キグルミキャラクターの中には役者が入って演じていることは承知のうえで、キャラクターとしてハグや握手を求める感覚に近い気がします。

動かしている筆者としても、見下ろしてくる人が、皆、にこにこしながら、手を振り返してくれたり、握手をしてもらっていると、Pepperとして行動しないとならないような、子供ぽく振る舞っても許されるような気分になる点はとても興味深い体験でした。

このブースは人だかりが常にありましたが、体験者の見ている人も笑顔だったことが印象的でした。

機材の調子が良ければ、2台のPepperの視界を移る、ワープした感覚も体験できたそうです。この先も非常に楽しみなプロジェクトです。

CREATIVE ORCA

KMD

(kure)

ガジェット研究会 「THETAを使った近未来旅行体験」他


株式会社リコー内のものづくり好きな社員グループによる出展です。

こちらはRICOH THETAで撮影した360度全天球写真をVRHMDで見るもの。それだけだと普通の展示に見えますが、この展示で特徴的なのはLeap Motionを使用していること。VRで写真を見ながら手を左から右へ切るように動かすと見ている写真がスライドしていくところです。

手を動かすたびに、シーンは海中、雀荘、ガンダムの足元と変わっていきます。どこで撮影したかも日本地図上の点で表示されるので、他に発展しそうなコンテンツです。あくまでもスライドを送るように変わっていくので、この場所と選択できるわけではないですが、HMDを被ったまま手を振るだけで写真が変えられるのは楽です。

Leap Motionではなくスマホ単体で可能になったら360度全天球画像を見る方法として手軽で面白そうです。

『250円で作れるHMD!!!』@maruo2氏

Maker Faire Tokyo 2016
同じブースに展示してあったモバイル用HMD。レーザーカッターを使用して木製ボードから切り出しています。手作りHMDはいくつかありますが、木製で作られているのは珍しいです。
接着剤不要の組み立て式で、重さは紙に比べれば重いですが、丈夫で、デザインがとても可愛いです。

ガジェット研究会

@maruo2氏

(kure)

D. Geek Lab.「3Dヴァーチャル綱渡りマシングランビュー東京」


Maker Faire Tokyo 2016
ブースでは2m程の高さに渡された細いレールの上を、手乗りサイズのロボが進み、同じスピードで、床に置かれた細い板の上を人が歩いています。

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Maker Faire Tokyo 2016

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Maker Faire Tokyo 2016

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床の上を歩いている人が見ているのは、自分の頭上を移動してるロボットの視界です。床を歩く自分を遥か下方に、見下ろしながら歩きます。足の裏の感覚は細い板の上、実際に見えているのは、高い場所に渡された細いレール。

自分の足が、板を踏み外しても床にすぐに着きます。実際に高所で進んでるロボットはレールに取り付けてあるので、バランスを崩して落ちる事はありません。それにも関わらず、視界が高いところにあるだけで、緊張を感じ、足元はグラグラします。床の上の板を恐る恐る渡っている自分を、上から見おろす感覚は、まるで他人のようで滑稽な姿でした。

ロボットと自分自身の進むスビードが変わらないのは、自分の背中に取り付けられたワイヤーの伸び具合です。スタート時こそロボットは遅れてスタートしますが、自分と同じようなスピードで進むことで、同一感があります。他に連動するのは頭の向きだけですが、それだけでも、ロボット自体を自分であると認識していました。

GEEK DESIGN LAB

(kure)

外苑前ダイナミクス「project DALEK」

『project DALEK』はOculusRiftを使用した遠隔ロボット操作システムです。先端にジョイスティックのついた棒状のコントローラーを握りながら動かすとロボットの両腕がそれに連動して動くという仕組みで、更に顔の部分にあるカメラとHMDの映像がリンクしていて、上下左右に動かすと連動してカメラが動きそれぞれの方向の映像が見えるというものです。

Maker Faire Tokyo 2016
HMDを被り興味を持って見に来たお客さんに向かって手を降った後に振り返してくれた時は、まるで自分がそのロボットになったかのような気分になりました。使用機材がOculus Rift DK1と古いためあまり画質が良くなく、また上下左右に降った時の遅延もかなりあったので今後の改善に期待したいところです。

Engadget電子工作部「Cyclopter(サイクロプター)」


Maker Faire Tokyo 2016
Cyclopter(サイクロプター)はHTC Viveとマウンテンバイク、更には手首に装着するウェアラブル心拍数が連動するVRスポーツゲームです。

ゲーム内容は自転車を漕ぎながら三人称視点でキャラクターを見つつハンドル操作で左右に曲がり空中にあるリングをくぐってポイントを稼ぐというもの。VR空間内に手首に付けているウェアラブル心拍計から取得している数値が表示されているので、自分の心拍数がどれくらいなのかを見ることが出来ます。体験者が自転車を漕ぎ続けている間、キャラクターは空を飛ぶので浮遊感を感じることができました。

Maker Faire Tokyo 2016

ズームス・ラボ「バーチャルドローンを飛ばそう!」




Maker Faire Tokyo 2016
Oculus RiftとOculus用のARカメラOvrvision Proを組み合わせ、現実世界に浮かぶCGのドローンをゲームパッドを使って操作するというもの。

Oculus Riftを装着すると目の前のテーブルの上に実物大のドローンが置いてあり、左右のスティックを使い上昇下降、左右回転や前進後退などの操作を行います。

ゲーム内容は空中にあるリングを順番にくぐっていく物と浮いている敵をレーザーで迎撃する物の二種類です。操作方法や正面の向きが分からなくなってしまっても、VR空間上に常に表示されているので問題ありません。CGのドローンであるため人体への衝突やバッテリー問題などを気にする必要がなく、更に見えている映像は現実世界のため、本物のドローンを操作しているような感覚になるコンテンツでした。

まとめ

Maker Faire Tokyoで出展していたVR関連の展示は、企業の展示会とも、OcufesなどのようなVR好きが集まるイベントともまるで違った視点で作られたものばかりです。

VRもHMDも360度カメラも道具にすぎないという視点と、VRHMDと何かを組み合わせる視点です。

そして今年目立ったのは体験者の動きや視界を、ロボットの動きと視界を連動させ、あたかもロボットの中に自分がいるかのような展示が昨年より増えたことです。

普段の自分とまるで違う視界は、自分自身の物の見方や、感覚を疑わせてくれる機会になりました。


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