2020年1月現在、VTuber雲母ミミ(きららみみ)さんがブラジルの視聴者たちの間で注目されています。9日間ほどでYouTubeチャンネル登録者数が約7万人以上増加するという急上昇を見せました。
雲母ミミさんは、人懐っこいジャンガリアンハムスターの女の子VTuber。普段はゲーム実況やASMR、語学勉強配信などを行っています。そんな彼女が、なぜポルトガル語を公用語とするブラジルで話題となったのでしょうか? MoguLive編集部では雲母ミミさん本人に、これまでの経緯についてお聞きしました。
雲母ミミさんインタビュー
――現在、ブラジル在住の方を中心に多くのポルトガル語話者の視聴者が雲母さんの配信に注目されています。そのことについて、今のお気持ちをお聞かせください。
――いつ頃から海外の方が来られるようになった印象でしょうか?
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雲母ミミ:
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デビュー動画から既に英語やフランス語の字幕を付けていたため、当初から既に海外のリスナーさんが2割程度いました。初配信でも海外勢からのマシュマロに答えています。
当初はブラジルで自分の人気が出るとはとても予想していなかったためどこの国でも通用するように英語と、アニメが好きな印象があったフランスをターゲットに字幕を作成していました。
その頃から海外リスナーさんのコメントについては自動翻訳こそしていませんでしたが、どの国の言語でも配信や動画のコメントは全て拾って日本人と同じようにコミュニケーションを取ってました。
今話題となっているブラジル人リスナーさんが多く配信に来るようになったのは、8月にブラジルの人気YoutuberであるGoularuteさん(※)がVTuberに関する動画を出した時です。それ以前からブラジル人リスナーさんが何人か居たため、ブラジルでVTuberが話題になった際、友人たちに私をお勧めしてくれたようです。
その後、今はなくなってしまったようですが、ブラジルのとあるVTuber応援サイトでも私が話題となり、私を題材にしたミームやポルトガル語に翻訳された切り抜き動画、ファンサイトが乱立しました。
私のチャンネルにはそちらからやってきたGoularuteさんの動画を観たことがないブラジル人リスナーさんも多くいます。
(※Goularute氏、ブラジルの有名YouTuber。ストリーマー界隈で起きたニュースなどを紹介している)
――その後、Goularteさんとの対談動画に出演されていました。彼とはどういったことを話されましたか?
(Goularte氏との対談動画。※日本語翻訳は現在未対応)
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雲母ミミ:
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彼は自分がブラジルでVTuberを流行らせたことで日本のVTuberに迷惑を掛けたことを謝罪する動画をアップロードしています。実際に彼のリスナーさんは年齢層が低く、荒らしに似た様なコメント及び実際に荒らしをする人もいました。
彼は今回の私とのコラボ動画で増えた視聴者についても心配をしてくれていましたが、私は彼のおかげで今まで全く知らなかった地球の裏側の人たちの生活に触れ、ブラジルやポルトガル語に興味を持ったこと、遠いブラジルで脚に私のタトゥーを彫った人がいたり、多くの人が家の壁に私のイラストの入った50音表を貼って日本語を勉強している今の状況はとても「エモい」(私はこの言葉を彼に教えています)という話をしました。
それ以外は、例えばポルトガル語で「お父さん」は「o pai」と言うので「日本であなたがお父さんを呼ぶと代わりに警察が来るよ」といった冗談などくだらない話をしています。
――そもそも、外国語をYouTubeで配信していた理由はなんでしょうか?
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雲母ミミ:
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勉強自体が好きなので、朝からなぞなぞを解いたり、漢字検定の勉強をしたりと。脳を活性化してみんなで一緒に元気に一日を過ごそう! ついでに知らないうちに頭も良くなっちゃおう! というコンセプトで朝活配信を行っていて、そのうちの一つとして英語学習の配信も行っていました。
8月にブラジル人が多く訪れるようになってからは、海外勢のコメントのしやすさと元からいた日本人リスナーさん達が突然増えたわけのわからない外国語だらけで萎縮したり疎外感を感じたりつまらなくならないように何か工夫できないかと悩んだ結果、チャット欄を4カ国語に自動翻訳するようになりました。
常時10か国以上の方が観てくれていて4カ国語だけでは対応できなくなってしまったので現在はノーマルチャットと日本語への自動翻訳のみの表示にしています。
リスナーさんがどこの国の人であっても同じ人間(私はハムスターですが)なのでみんなで一緒に楽しく過ごせたらいいなという気持ちで活動しています。
海外向けで人気が出るとVTuber界隈の常識どころか日本語も日本的な一般常識も全く通用しないため、苦労する面も本当に多いです。ただ、私は元々一人で海外旅行に行ったり、国際交流パーティに参加するなど、国際交流自体が好きなんです。
今のご時勢では大好きな海外旅行にもなかなか行けませんが、家に居ながら国際交流ができて毎日本当に楽しいです。
――今後配信でチャレンジしてみたいことは何でしょうか?
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雲母ミミ:
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今回のチャンネルの急成長によって有難いことにこのような記事を書いていただいたりと、国内でも少し認知し始めていただいています。
先に海外でバズってしまいましたが、もちろん日本人向けにも面白い配信ができると思っているので、今後は逆輸入系VTuber、VTuber界のディーン・フジオカとしてコラボや案件、イベントの参加など国内での活動も頑張っていきたいです!
――ありがとうございます。最後にファンへのメッセージがあればお願いいたします。
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雲母ミミ:
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私はこれまでも1日に1000人増えたり、1週間で5000人増えたりと今回よりは規模が小さくても急激な成長を何度か繰り返してきました。その度にリスナーさんのみんなにはお伝えしていますが…「インディーズバンドがメジャーデビューした時の気持ち」みたいなもので勝手に私のことを遠い存在に感じて離れていかないでください!!
私はチャンネル登録者数がどんなに増えても私のことを好きでいてくれる人、一人ひとりに感謝しているし大切に思っています。まだデビュー1周年すら迎えていません!
これからもっともっと面白いことが待っていると思うしやっていくのでこれからも一緒に楽しもうねええええええええ!!!!
――ありがとうございました。
ブラジルにも広がるVTuber文化
今回の雲母ミミさんのケースから分かるように、ブラジルにもVTuber文化は徐々に浸透しているようです。別ケースとしては、講談社プロデュースのバーチャルアイドルプロジェクト「Hop Step Sing!」が、2019年に開催されたブラジルのアニメイベント「AnimeFriends」で、3日間で約600人(カンファレンスでも3日間で約250人)を集めたと発表しています。今後VTuber文化によって日本とブラジルの国際交流がより強まることになるかもしれません。
今回、取材に協力してれた雲母ミミさんのYouTubeチャンネルはこちらです。