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業界動向 2018.09.03

リアルタイムに実写アバターが動く 古参VRスタートアップが注力

VRコンテンツ制作や動画プラットフォームを手がける米国のJauntは、リアルタイムで3DアバターをARで表示させる技術を公開しました。自社でのコンテンツ制作から、制作技術をパートナーへ提供するB2Bビジネスへと舵を切っていきます。

手軽で持ち運び可能な技術に

この3Dアバター技術を体験したメディアUploadVRの記者によれば、撮影・編集は素早くスムーズに行われたとのこと。システムではまず、6台のIntel製RealSenseデプスカメラで対象者の周囲360度を撮影します。そこから3Dアバターを編集し、ARで表示。画像はリアルタイムでモバイル機器に転送することも可能です。記者によると、この処理は「あっという間にできた」ということです。

https://www.youtube.com/watch?v=LUE5IKxq2ow

JauntはこのAR向け3Dアバター撮影技術を、ビジネスパートナー向けにライセンス供与する計画です。パートナー企業は、自社のプラットフォームを利用して、Jauntの技術で制作したVR/ARコンテンツを提供するという構図になります。

またこの技術は、まずJauntの動画プラットフォーム利用者向けに今年の第4四半期リリースされる予定となっています。

JauntのCTO、Arthur van Hoff氏は「当社の目標は、このような映像ストリーミング技術を手軽に、持ち運び可能にすることです」と話しています。また、「我々は360度動画やVRコンテンツ制作を強みとしてきました。これからは、ARコンテンツに向けて何が出来るかを検討していきます」と将来像を描いています。

VR業界のNetflixからB2B企業へと転換

これまで自社でのコンテンツ制作に注力してきたJauntですが、今後はパートナー企業に対する、コンテンツ制作技術の提供へ重点を置く方針です。CEOのGeorge Kliavkoff氏は、「これまで我々はコンシューマー向けのビジネスに注力してきました、VR業界のNetflixを目指していたのです。しかし今は、B2Bの企業へと転換しました」と説明しています。

今回の3Dアバター技術を使えば、企業は手軽にARコンテンツを制作できます。専用の高価なスタジオがなくても、シンプルなステージセットがあれば撮影可能です。またセットは比較的持ち運びも容易な作りとなっています。

van Hoff氏によれば、同社は「コンテンツをリアルタイムに編集したいと考えています、1週間以内の編集、ではありません」とのこと。企業向けの次世代のコンテンツ制作技術に向けて、研究開発投資を行っています。

また今回の技術の他にも、機械学習などを利用したVR/ARコンテンツ制作技術も検討を進めています。

XRコンテンツの可能性を広げ続ける

Jauntは、2013年にVR映画や360度のエンターテインメントを見るためのプラットフォームとして登場しました。以降、ライブやスポーツなど360度動画を楽しめるVRアプリ「Jaunt」や、プロ仕様の高性能360度カメラ「Jaunt ONE」など実写中心の製品・サービス・コンテンツを発表してきました。

昨年末には、VRだけではなく、ARとMRのサポートに取り組んで行くことを発表。それまで別々だったVR/AR/MRを統合した、1つのプラットフォームを提供しています。

van Hoff氏は同社の事業方針について次のように説明しています。「VR/AR業界の初期からのメジャープレイヤーとして、当社はコンシューマー向けの映像技術を高めてきました。そして、その技術をパートナーにも提供しています」

「B2Bビジネスへの注力は、AR/VRコンテンツを配信したい企業に向けたものとなります。我々のリアルタイム3D技術は、コンテンツをパートナー自身のチャンネルを通じて提供するという、これまでとは異なる方針です。しかしこれも、JauntにおけるXRコンテンツの可能性を拡大し続ける、1つの道です」

(参考)UploadVR


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