3月2日からサンフランシスコで開催されているゲーム開発者向けカンファレンスGDCは3日目に突入。エキスポがスタートしました。このエキスポは毎年、今後ローンチ予定の最新タイトルやデバイスにいち早く触れられるため注目が集まっています。
今年はOculus RiftなどのVRデバイスを使ったVR関係の展示が目立ちます。筆者もVRの関係するデモを次々と体験しました。その中でも、最も印象的だったのはOculus VRとEpic Gamesが展示していたデモ「Thief in the Shadows」です。このデモは、映画「ホビット 竜に奪われた王国」のシーンを再現したものになります。「邪竜スマウグの眠る財宝の間に侵入した主人公ビルボが邪竜の目を覚ましてしまい・・・」という緊迫のシーンです。
もはや再現というよりは、映画の中に入ってシーンを体験している感覚でした。VRの向けに映画本編とは若干異なる動きになりますが、侵入者(プレイヤー)を探しながら力強く話すスマウグ。思わず息を潜めて、見を縮めてしまいます。また、自分の周りをぐるぐる回りながら話すスマウグの声は3Dサウンドなのでその通りの方向、距離から聞こえてきます。まさに自分が主人公のビルボになったかのような感覚。ユニバーサルスタジオやディズニーランドなどで体験できる映画がテーマの最新のアトラクションに近い体験でした。
Crescent Bayによる快適な視聴覚体験
このデモは、昨年9月に公開されたOculus Riftの新型プロトタイプCrescent Bayを使って体験します。
解像度は現在開発者向けに販売されているバージョンDK2のフルHDを超え、2Kに近いとも言われています。また、映像の描画速度を示すfpsは90fpsと非常に滑らかな描画を行っています。また、体験している最中に身体を前後左右上下に動かしたときのトラッキング性能も上がっています。
Oculus Riftの新型プロトタイプ「Crescent Bay」。従来モデルより軽量化されており。装着感はほとんどない。
また、3Dサウンドに対応したヘッドホンがついています。このヘッドホンによって、いつでも方向と距離を反映した360度の3Dサウンドを楽しめます。
UnrealEngine4で作られた映像をVRを向け新型グラフィックボードTitan Xによって描画
このデモは、Epic Gamesが提供したゲームエンジンのUnreal Engine 4を使って、まさに映画のような美麗なCGに仕上がっています。Unreal Engine 4は先日無料化が発表されたばかり。その可能性も感じさせるデモになっています。
Epic Gamesが本日公開したUnreal Engine 4で作成したオープンワールドのトレイラー。背景の美しさ、キャラクターの動きに注目
そして、その映像をPCからOculus Riftに映し出しているために使われているグラフィックボードはnVIDIA社の「Titan X」が使われています。この「Titan X」はまさに本日nVIDIAがVR向けの最高位モデルとして発表しました。詳細な性能は明らかになっていませんが、nVIDIAによれば、Titan XはVRの体験をために特化した性能になっているということです。
こうした、最新鋭のVRヘッドマウントディスプレイ、ゲームエンジン、グラフィックボードを最大限活かして作られたのがこの「Thief in the Shadows」です。制作は、実際に映画本編のVFXを作ったWETAデジタル。配給元であるワーナーブラザーズの許諾も得た、本気のデモということになります。
Oculus Riftだけでなく、まさにVRそのもの体験の進化を実感できるデモでした。
Written by すんくぼ
(参考)
New NVIDIA TITAN X GPU Powers Virtual Experience “Thief in the Shadows” at GDC-nVIDIA公式(英語)
http://blogs.nvidia.com/blog/2015/03/04/smaug/