Home » バーチャルフェスライブ「Vサマ!」には未知の体験が待っている!? ActEvolve CEO・加藤卓也氏インタビュー


VTuber 2019.08.23

バーチャルフェスライブ「Vサマ!」には未知の体験が待っている!? ActEvolve CEO・加藤卓也氏インタビュー

「YuNi 1st VR LIVE! ~VeRy Merry X’mas~」や「ReStartLine」といった数々のVRライブで、アッと驚く演出を提供してきたVRプラットフォーム「VARK」。そんなプラットフォームで、いまをときめくVTuberたちが勢揃いし、史上最大規模のバーチャルフェスライブ「Vサマ!」が8月24日、25日に開催されます。

出演アーティストにはVTuberの大先輩にあたる初音ミクや、あの衝撃的だったライブ「不可解」を成功に導いた花譜も挙がっており、とにかくどんなライブになるのか気になっているユーザーも多いはず!

そこで、MoguLiveではVARKを運営する株式会社ActEvolveのCEO・加藤卓也氏に、ここまで運営してきての手応えやVRプラットフォームにかける想い、そして「Vサマ!」の注目すべきポイントについて語っていただきました。

若い子に楽しんでもらえなければVR市場はきっと広まらない

――「Vサマ!」について伺う前に、まずVRプラットフォーム「VARK」を立ち上げた経緯について伺えればと。

加藤卓也氏(以下、加藤):

「VTuberはこれからどんどん増えるけれども、VTuberならではの困りごとがきっとあるはずだ!」と、業界にブームが来てからずっと心の底で感じていました。最前線でVTuberを運営する方々から話をうかがうと、どの方も口を揃えて「バーチャルの良さをまだまだ活かせてないよね」と話していたんですよ。

その後、VTuberの方ともお話しする機会をいただいて。やりたいことができているかを尋ねてみると「目標がない」「お金が稼げてない」といった、今後を不安に思う声も多く聞こえてきました。その問題を解決できないとせっかく根付いてきた文化も死んでしまうと思い、VTuberの方々が活躍できる場としてVARKを作ることに決めた……というのが大まかな経緯です。それが2018年7月のことですね。実際にVARKをリリースしたのは2018年11月です。

――いまでは思い描いていた場所になりつつありますね。

加藤:

何度もイベントに出演してくださるVTuberの方も多いので、出る価値を見出してもらえてるのではないでしょうか……皆さん、どうでしょう?(笑)。今後もそういった機会を作っていけたらと思っています。

それと、VR業界の生き残りのなかでも僕たちは古参になりつつあるので、この業界が大きくならなかったらVARKの責任だとも感じていますね。

――いきなり話題が重たくなりましたが……。

加藤:

僕のなかではそのぐらい重く捉えています。「この業界をどうにかして大きくしないと!」という想いで、いまVARKを運営していますね。

――なるほど。今後の展開が楽しみです! プラットフォームを立ち上げた当時は対応ハードウェアの選択肢として「HTC VIVE」や「Oculus Rift」が有力だったはずですが、VARKの立ち上げ当初は「Oculus Go」のみの対応でした(※現在は「Oculus Quest」にも対応)。なぜ「Oculus Go」に対応ハードウェアを絞ったのでしょう?

加藤:

会社を立ち上げようとした当時のトレンドはHTC VIVEやOculus Riftでしたし、よりリッチな演出を実現できるのも、それらのデバイスで間違いないでしょう。ただ、VRが広まるとしたらPCを介するハイエンドなハードウェアではなく、スタンドアロン形式の安価なハードウェアであると確信していました。

その理由の一つとして、若い子がVRを楽しんでくれないと市場は広まらないと思っていたからです。たとえば、PCに接続するタイプのハードウェアを利用したVRライブを観るためにはハイエンドPCと対応ハードウェアが必要ですが、それらを揃えるのに20~30万円近くはかかるじゃないですか。特にVTuberを好きな層は高校生や大学生の方も多く、一度のライブでそこまでの大金を使えるかと言われると……。

――厳しいですね。一から用意するとなると大人でも躊躇しそうな金額だと思います。

加藤:

それならば2万円台で買えてかつ、それだけで楽しめる「Oculus Go」のためのプラットフォームにしようと計画し、作り始めました。

――VARKのライブのためだけに「Oculus Go」を買ったユーザーも多かったのではないでしょうか?

加藤:

嬉しいことに、非常に多いです。アンケートの項目でも「Oculus Go」を購入した経緯をお聞きしているのですが、VARKの影響で購入したというユーザーが徐々に増えているのを実感しています。ありがたい限りです。

――「Oculus Quest」にも対応を開始しましたが、今後「Oculus Go」の立ち位置はどうなるのでしょうか?

加藤:

よりハイスペックな「Oculus Quest」に対応させたからといって、「Oculus Go」を切ることはまったく想定していません。今後も「Oculus Go」のユーザーさんが楽しんでもらえるようにはしていきたいと思っています。方針についてはまだ未定なので、これから決めていく予定です。

――何度かVARKでのVRライブを拝見しましたが、演出に相当力を入れているなと。

加藤:

……そうですね! どのライブでも準備に長い時間をかけて凝った演出を用意しています。なぜライブ一つ一つに時間をかけるかというと、大きく分けて二つの理由があります。

まず一つ目が、VRの空間にわざわざ遊びに来てくれるユーザーをガッカリさせたくないんですよ。体験してくださった人たちに「VRってこの程度なんだ……」と幻滅してほしくなくて……。そう思われてしまったら最後、今後一切VRに触ってもらえなくなりますし、身近な相手に薦めることはまずないと思っています。

二つ目はVTuberの方が表現したい世界を実現するための手助けをしたいからですね。言ってしまえばVRはどんな表現でもできるじゃないですか。VTuberの方から「こういった表現をVARKさんでやりたいんですけど」と伝えられたとき、その要望に応えられるプラットフォームでありたいと思っています。そのため、VTuberの方とユーザーの双方に満足してもらえるよう、頻度を落としてでも演出に力を入れてきました。

……とはいえVTuberの方からのニーズもだんだんと増えてきたので、できる限りVARKでライブを開催できるようにはしていきたいですね……(笑)。

――そこまでこだわって作られていると、現場は毎回大変そうな気がします……。

加藤:

VRという未開の地を開拓していくのはとても大変で、ライブを開催するたびに試行錯誤しています……開発体制を強化したいと思っても、VRの技術者が少ないんですよね。VRが盛り上がっていることに気づいていない人たちへ向けて、「VRの分野に来てください!」とアピールするのが特に苦労しますね。

――それで開発体制を強化するために資金調達をされたのでしょうか?

加藤:

それももちろん理由の一つとしてありますが、そのほかにも理由が二つほどありまして。これまでアニメキャラクターなど、会いたくても会えなかった存在と触れ合える機会はなかなかなかったじゃないですか。

――もしかして……?

加藤:

ご想像の通りです! そういった存在と出会える場を僕たちはこれから提供していきたいと思っています。そしてもう一つがVTuberの方によるVRライブをいまよりもっと増やすためです。これまでライブ開催の打診を受けていたものの、お断りすることが多くありました。

なので、これからはいろんなVTuberの方にVARKを利用してもらえるような環境構築を進めています。この二軸でリアルとバーチャルの境目が無くなっていくような未来を目標に資金を使っていく予定です。

――そうなると余計に人が必要ですね……。ちなみにどんな人に来て欲しいですか?

加藤:

これからどんどん新しいことに挑戦したいと強く思える人ですね。VR業界に入りたいのならばそれが第一です! 技術面に関してはキャッチアップしていくしかないので、愚直に学び続けられるのも大事かと思います。いま株式会社ActEvolveには15人在籍しているのですが、みんなVTuberやVRが大好きな方ばかりです!

これまで見たことのない演出でユーザーに未知の体験を

――ここからは「Vサマ!」について伺いますが、イベントはいつ頃から立ち上げようと?

加藤:

これまで何度も単独のVRライブを開催してきて、そこで得た経験値がようやくフェスを開催できるところまで溜まったので、今年の3月末ぐらいからVTuberのみなさんにお声がけさせていただきました。

――チケット販売が始まりましたが、前評判はどうですか?

加藤:

良いですね! “演出よりも出演者がリッチ”とよく言われてます(笑)。

――(笑)。そもそもなぜ二公演制に?

加藤:

一公演じゃ満足できないじゃないですか(笑)。だから昼と夜の二公演制にして、たくさんのVTuberの方々に出てもらいたかったんです。

――先日公開されたセットリストの一部がどれもオリジナルソングで驚きました。

加藤:

こちらで歌ってほしい楽曲を指定したわけでもないので、セットリストを見たときは「新曲でいくの!?」と僕も驚きました(笑)。それだけみなさんがこの「Vサマ!」に熱量込めて取り組んでくれているということですよね。VARK関係者の代表としてとてもありがたいと思っています。

■公開されたセットリストの一部
8月24日(土)
YuNi:Write My Voice 他
AZKi:Fake.Fake.Fake. 他
Kotone(天神子兎音):フーアーユーなんて言わないで 他
おめがシスターズ:シンクロニティ 他
まりなす(仮):新曲発表 他
ときのそら:夢色アスタリスク 他
すーぱーそに子:新曲発表 作曲:ARM (IOSYS) 作詞:まろん (IOSYS) 他

8月25日(日)
ミライアカリ:ミライトミライ 他
燦鳥ノム:Life is tasty! 他
樋口楓:ReStart Line 他
東雲めぐ:そうさ!おんぷっコ 他
ピンキーポップヘップバーン:パフォーマンス内容未定
花譜:未確認少女進行形 他
富士葵:オーバーライン 他

8月24日(土)&8月25日(日)両日
初音ミク:こっち向いてBaby 他

――「ここに注目してほしい!」といったポイントなどあれば教えていただけますか。

加藤:

みなさんが期待されているよりもクオリティの高いライブになることは間違いないです! ただ一方で気合いを入れすぎたあまりどう受け取ってもらえるか未知数で、よく分かっていません。

――分からない、というのは……?

加藤:

これまで見たことのないような、攻めた演出を予定しているので……。その全貌は当日までナイショなんですけど、きっとみなさんに楽しんでもらえる内容になっていると思います。いままで以上のクオリティに仕上がっていると自信を持って言えるので、ぜひ遊びに来てください!

――「Vサマ!」の一つの目玉として、初音ミクさんがスペシャルゲストとして出演しますね。

加藤:

僕たち自身出てほしいという思いも強かったですし、すべてのVTuberの方にとっても目標となるべき存在で、その方とバーチャル空間で共演できるのはモチベーションにもなるはずだと感じていました。

ですので、それを踏まえたうえで「これから開催するVTuberの祭典に出演していただけないでしょうか?」とご相談させていただいたのが経緯になります。

先方もVARKのことをよく知ってくださっていて、これまでクオリティの高いライブを数々成功させているのならばということで快く引き受けていただけました。

なので、僕たちも出る価値があったと思えるライブに仕上げるため、現在調整している最中です。きっとファンのみなさんが見たかった光景が当日待っていると思います。期待しておいてください!

――ニコニコ生放送でもライブ中継が予定されていますが、ぶっちゃけVRで楽しむのとどっちがいいんですか?

加藤:

迷いますが、VRかなと思っています。ニコニコ生放送とは事前にカメラワークの練習をバッチリ行っていまして、最高の画角で最高のライブを提供させていただきます。たとえば、ライブが中継されたときに「うわ現地行けばよかった!これは現地(で観るべき)だわ!」と思うことも多いじゃないですか。そのような中継ならではの気持ちを抱くほどこだわり抜いています!

実際にこれまでニコニコ生放送でライブを観てくださった人からは「VRで観たかった!」というお声もいただいているので、中継でも十分楽しめるはずです。ただ、VRでのライブは中継以上の未知の体験を味わえると思います! 観た方にぜったい損はさせませんよ!


VR/AR/VTuber専門メディア「Mogura」が今注目するキーワード