PSVRの発売まで残り2ヶ月を切り、ローンチタイトルや体験に必要な部屋のスペースなど、様々な情報が出揃っています。今回は、PSVRを体験する上で重要になってくるヘッドホンについてご紹介していきたいと思います。
なぜVRでヘッドホンが重要なのか
VRを体験するとき、プレゼンス(実在感)というものが重要になってきます。プレゼンスとは「自分がそこにいる」という感覚のことです。それを高める要素として、グラフィックスや操作性などがよく挙げられますが、その中には音響も含まれています。物を落としたときにおかしな位置から音が聞こえるなどすると実在感を削ぎ、逆に感覚に合った音響はプレゼンスを高めます。
VRのコンテンツでは、360度見回したり、動くことができたりと「見る」要素が重視されがちですが、実は”まるでその場所が聴こえてくるように音が聴こえる”3Dサウンドも非常に重要な要素とされています。
そこで体験の際に気になるのがヘッドホン。音響は再生するための機器によってクオリティーが変わってきます。そこで今回は、PSVRと合わせて用意するヘッドホンはどういうものがいいのか紹介します。
PSVR用に専用のヘッドホンは必要?
3Dサウンドを再生するために、それに対応したヘッドホンを購入しなければいけないのでは?と考える方も多いと思います。しかし、その必要はありません。PSVRに付属するリンクボックスが3Dサウンドの出力に対応していて、PSVRの公式ブログによると「独自の3Dオーディオ技術により、手持ちのヘッドホンで立体的なサウンドを実現」します。PSVRには標準でイヤホンもついてくるので、それを使っても3Dサウンドを体験できます。
では具体的にどんなヘッドホンがいいのか
もちろん音質が良いにこしたことはありませんが、他にも
・大きすぎるものでないか
・ワイヤレスかそうでないか
・サラウンドヘッドホンでないかどうか
などがポイントになってきます。
ヘッドホンの大きさ
PSVRの頭への固定方法は、Oculus RiftやHTC Viveなど他のVRHMDがゴム製の薄いヘッドバンドなのに対して、プラスチック製のヘッドバンドをダイヤル式で締める形になっています。よって、ヘッドホンのイヤーパッド径が大きすぎるとヘッドバンドに干渉してしまう現象が起こります。
ソニーが公式の体験会で使用していることが多いのは、ソニー製のMDR-ZX660です。イヤーパッド部分が小さめのもので、干渉することは無いでしょう。公式の体験会で使用しているということもあって”鉄板”といったところでしょうか。
また、PlayStation Blogに掲載されている「【PS VR】いま知っておきたい”PlayStation®VRの10のポイント”」を見てみると、CUHJ-15001というPS4向けのヘッドセットが紹介されています。
ワイヤレス接続は有用?
頭を動かすVR体験には、コードはわずらわしいもの。しばしばBluetooth接続のワイヤレスヘッドホンが重宝されます。しかし、PSVRに限った話ではワイヤレスが使用できません。PSVRの3Dサウンドはリンクボックスから出力されるもので、ヘッドホンを有線でリンクボックスに接続しなければ正しく出力することができないからです。
先ほど紹介したCUHJ-15001は”ワイヤレス”サラウンドヘッドセットです。これだけ見ると使えないように見えますが、CUHJ-15001は有線接続に対応しているため、問題ありません。特に一般的なBluetooth接続のヘッドホンなどは有線接続に対応していない商品も多く、購入時には注意したいポイントです。
サラウンド機能の有無
サラウンドとは3ch以上のチャンネルを有する音声形態で、一般的にチャンネルが多いほど音を細かく描写ができます。ゲーミングヘッドホンは高価なものになるとサラウンドのch数が増え、より臨場感のある音になっていきます。
しかし、PSVRに限ってはサラウンドならいいかというと、そうではありません。
PSVRのプロセッサーユニットの機能「3Dオーディオプロセッシング」によって変換された3Dサウンドを、さらにヘッドホン側のサラウンド機能で変換することになり、3Dサウンドに最適とはいえません。
先ほど紹介したCUHJ-15001は、サラウンド機能が搭載されています。しかし、CUHJ-15001に搭載されたサラウンド機能はワイヤレス接続時にのみ働くため、有線接続時には普通の普通のステレオヘッドホンとして利用することが可能です。そもそも3Dサウンドを利用する為に有線接続が必須なので、こちらも大丈夫とのこと。
ここまでをまとめると、PSVRには
「大きすぎず、有線接続に対応し、サラウンド機能の付いていないステレオヘッドホン」
が適しているということになります。また、周囲の音を遮断して没入感を高めるという観点から、密閉型のヘッドホンが良いでしょう。長時間の使用もありうるため、締め付けの強さにも注意してください。
なお、ボイスチャットなどに利用できるマイクはPSVR本体に内蔵されているため、考慮する必要はありません。
PSVR公式の体験会で使用しているモデル、公式のブログで紹介しているモデルは
・MDR-ZX660
・CUHJ-15001
です。
もちろん今回紹介した2つのヘッドホンのみが適しているという訳では無いので、こうした条件を踏まえた上で、PSVRに最適なヘッドホンを探し、没入感たっぷりなVR体験を味わってみてはいかがでしょうか。
PSVR専用に設計されたHMD一体型のヘッドホン「Mantis」のレビュー記事を本誌に掲載いたしました。こちらもご参考ください。