フェイスブックから発売されている一体型VRヘッドセットOculus Quest 2は、価格的にも気軽に手に取りやすいVRヘッドセットですが、デバイスの利用に“Facebookアカウントが必須”なことが気になっている人もいることでしょう。
Facebookはポリシー上、実名での利用が原則です。そのため、Oculus(VRヘッドセット)とアカウントを結びつけたくない。VR側で本名を表示したくないという人は少なくありません。
本記事では「Quest 2を使いたいけどアカウント面の諸々が不安…」という人向けに、アカウントの扱いや本名の“隠し方”、トラブルが起きた際の対策など、実際の仕様を解説していきます。
アカウント自体は必須
結論から言うと、Oculus Quest 2を使いたい場合、Facebookアカウントを“回避”する方法はありません。初回設定時にログインを求められるので、アカウントを作らない(あるいはログインを拒否)した場合はデバイスが実質的に利用不可能になります。
2020年10月までは、OculusアカウントというFacebookとは異なるアカウントを使っての利用が可能でした。もしOculusアカウントを2020年10月以前から所有していた場合、両アカウントの統合が求められます。
Facebookが過去に発売してきた他のVRヘッドセット(Rift、Rift S初代Questなど)でも、2020年10月以降新規に購入した場合はFacebookアカウントでのログインが必須です。
Quest 2を含むFacebook製のヘッドセットを以前から所有しており、かつ既にOculusアカウントでログインしていた場合、設定によってはアカウントの“独立”状態をキープできますが、有効期限は2023年までとなっています。
公式サイトでは説明されていませんが、期間終了後は、アカウントの統合が必須になると思われます。
なお、Oculusアカウントを使い続けた場合、Quest 2は利用できないことに加え、Riftや初代Questでもソーシャル機能や一部アップデートに制限が課せられます。
VR側でハンドルネームを設定可能
それでは、実名を常に表示しなければOculus Quest 2 を利用できないのかと言えば、決してそうではありません。個別の”VRプロフィール”を作成すれば、VR内で別の名前(ハンドルネーム)を表示させることができます。
ハンドルネームは、初期設定時のほか、Oculus公式サイトのプロフィールページから編集可能です。
(Oculus公式ページでのハンドルネーム変更方法)
- secure.oculus.comに移動し、アカウントにログイン。
- 左側の[マイプロフィール]をクリック。
- [ユーザーネーム]の横の[編集]をクリック。
- 新しいユーザーネームとパスワードを入力。
- [保存]をクリックして、[確認]をクリック。
VRプロフィールのハンドルネームは、すべてのOculus系デバイスで共有されます。変更は、6ヵ月(半年)に1回しか行えないので注意してください。Oculusアカウントで事前にユーザー名を設定していた場合、その名前を引き継ぐことも可能です。
大事なのはプライバシー設定
紐づけられた本名を他人に見られたくない場合、公式サイトやスマートフォンアプリから設定を変更できます。まずは、同アプリのプライバシー設定に移動。「Facebookでの名前をOculusで表示する相手」を“自分のみ”に切り替えれば、Quest利用時に他人に本名を見られる心配はなくなります。
(公式サイトのフェイスブック関連設定ページ。サイト右上からプロフィールに飛び「プライバシーセンター」を選べばアクセス可能)
なお、Quest(VRプロフィール)のフレンドリストでは、Oculus側で個別にフレンド登録も可能。“Oculus友達リスト”の公開範囲も、プライバシー設定から変更(公開/Oculusの友達のみ/自分のみ)できます。
過去にはFacebookアカウントが即時凍結される事例も
Quest 2のリリース直後、ログインに使用しようとしたFacebookアカウントが、不明瞭な理由で即時凍結。Quest 2が“文鎮化(使い物にならなくなる)”する事案が発生していました。
詳細は不明ながら、フェイスブックからは、問題が生じたのは少数だったことが報告されています。また発売当時は、新しくアカウント登録を申請した人たちが比較的多く凍結される傾向でした。
フェイスブックは、凍結を避けるための予防策として、Facebookアカウントの登録名を「日常生活で使用している名前(=実名)」に設定することや、正しい生年月日を入力することを推奨しています。ただ2021年5月現在、新たに「凍結された」という報告は、ほぼ行われておらず、問題はほとんど解決していると思われます。
もし凍結が発生した場合は、Oculusサポートに連絡を行ってください。公式サイトによれば、サポートを受けるにあたって、以下の情報が必要になると解説しています。
・Facebookへのログインに使用するメールアドレスまたは電話番号
・Oculusの注文番号
・Oculusのシリアル番号
まとめ:本名必須だが“隠す”ことは可能
まとめると「Oculus Quest 2の利用には、本名登録したFacebookアカウントが必須。ただ、VR側ではハンドルネームを設定可能で、本当の名前の公開範囲は厳しく制限できる」と言えます。
なお、Facebookアカウントは説明した通り必要不可欠なものの、同SNSの“利用”は必須ではありません。最低限の情報(本名など)の入力に留め、SNS機能は使わなくても、Quest 2は問題なく利用できるのです。筆者はQuest 2の購入時に、OculusアカウントとFacebook(完全放置)を統合し、今日まで使い続けていますが、問題はまったく発生していません。
完全に本名を分離させることは不可能ですが、“隠す”ことはできるのが現状です。「同デバイスを使う=本名が絶対に露出してしまう」と悩んでしまっていた人は、今一度ヘッドセットの購入を再検討してみてはどうでしょうか。
Oculus Quest 2はOculus公式サイトやAmazonなどで販売中。価格は、64GBモデルが33,800円、256GB版は44,800円(いずれも税抜)となっています。
執筆:井文