【体験レポ】普段着で宇宙へ行こう 日本SF大会でOculus Riftの展示

去った8月29日と30日、鳥取県米子市の米子コンベンションセンタービッグシップと米子市文化ホールで「第54回日本SF大会」が開催されました。会場ではOculus Riftの体験会も行われ、多くのSFファンがVRを体験しました。

日本SF大会は全国のSFファンが一同に会して開催される年に一度のお祭りで、毎年1000人規模のファンが参加します。

image201509110026382会場の米子コンベンションセンター「ビッグシップ」

会場では、一般公開プログラムとして「VR 宇宙戦艦ヤマト2199艦外ツアー」と題して、Oculus Rift体験会が行われました。

内容は、宇宙戦艦ヤマトの周囲をガイドの説明を聞きながら周遊するというもので、途中でハプニングが発生したりとスリル満点で盛りだくさんの約10分間。体験者は息をつかせぬ展開に興味津々の様子でした。

映像データは劇場版アニメ『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』でアニメーション制作協力をしているProduction I.Gから提供されているとの事。宇宙空間を浮遊する感覚に身を任せ、臨場感ある迫力のシーンの連続で10分はあっという間でした。人が体験しているのを待っている間は上映時間を長く感じましたが、自分で体験してみるとすぐに終わってしまうのでやはりVRの没入感は相当なものでした。

image201509110026383Oculus Riftを体験する参加者

このプログラム、大会公式サイトでの説明文にはこう書かれています。「宇宙戦艦ヤマト艦外ツアーをご用意しました。宇宙服は必要ありません。普段着で参加可能です」。手軽に非日常の体験ができるVRの特徴をよく言い表していますね。

体験者に話を聞いてみると、「元々VR関係に関心はあったが、今までこういう体験会だと数十秒とか短い映像しか見れない事が多かった。今回は10分ほどとたっぷり体験できて良かった。宇宙空間が舞台なので上下左右が見渡せて楽しかった」と満足そうに語っていました。

29日に星雲賞(※1)の授与式が米子市文化ホールで行われ、メディア部門で『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』の受賞が発表されたこともあり、この体験会も注目度は高かったようです。

※1)前年に発表されたSF作品の中から、日本SF大会参加者の投票により選ばれる賞。現在9つの部門がある。毎年日本SF大会において授与式が行われる。
http://www.sf-fan.gr.jp/awards/2015result.html

image201509110026381映像にあわせて顏をあちこちへ動かしてしまう、VR体験のよくある光景

スタッフによると、恐らく2日間で50人位が体験したのではないかとのこと。

また30日には分科会として「サイバーパンクの部屋」と題したパネルディスカッションが開催されましたが、その中でこのOculus Rift体験会についても少し触れられていました。

SF作家の藤井太洋氏(※2)はVR体験について、例えば断崖絶壁のような場面で横から誰かに押されると、本当に落下するような錯覚に陥ると言っていました。その際の「人間の精神なんていかにでっちあげられたものか」という言葉が印象的でした。

巽孝之氏、小谷真理氏、菊池誠氏ら他のパネリストも、もしそんな場面に遭遇したら本当に脳が勘違いして死んでしまうのではないか、なんて冗談を交えながら語っていました。

※2)SF作家。2012年、個人出版による電子書籍『Gene Mapper -core-』でAmazon.co.jpの「2012年Kindle本・年間ランキング 小説・文芸部門」1位を獲得。2015年『オービタル・クラウド』で第46回星雲賞日本長編部門(小説)受賞。また同書で第35回日本SF大賞も受賞している。
https://twitter.com/t_trace

大会の会場では他にも「手づくりプラネタリウムと3D映像」などVRに関わりのある出展があり、大人から子供まで賑わっていました。

SF大会は事前申し込みの会費制のイベントなので、参加するのは基本的にディープなSFファン。SFの世界では80年代頃からVRや仮想空間を扱った作品が増えていますから、ファンにとっては既にお馴染みの概念という事もあってかOculus Rift実体験の機会には多くの関心が寄せられているようでした。

フィクションの世界だったVRのテクノロジーも、もう手の届くところまで来ている事を多くの人が実感できたのではないでしょうか。

余談ですが鳥取県は、水木しげる氏や谷口ジロー氏、青山剛昌氏といったマンガ家を輩出しており、2012年には「まんが王国とっとり」建国を宣言しています。今回のイベントでも米子市出身でアニメ制作会社ガイナックスの立ち上げメンバーである赤井孝美氏が実行委員会に名前を連ねていました。

SFだけでなく人間ドラマから妖怪やミステリーまで、幅広いジャンルをカバーするマンガ・アニメは、これからもVRに豊富なコンテンツをもたらしてくれそうですね。

(参考)
・地元の新聞に掲載された、大会の模様を伝える記事
 県内外から多くのファン 米子で日本SF大会(日本海新聞)
 https://www.nnn.co.jp/news/150830/20150830003.html 

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