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AR/MR 2023.04.01

秋葉原駅改札から徒歩10秒! MR技術やARコンテンツに無料で触れられるバーチャル体験施設「XR BASE」レポート

3月30日(木)、秋葉原の電気街口改札から徒歩でおよそ10秒(「みどりの窓口」横)のところに、「XR BASE produced by NTT QONOQ」(以下、XR BASE)がオープンしました。メタバースサービスから、MRデバイス、ARコンテンツなど、さまざまなXR系の技術に触れられる場所となっています。入場料は無料で事前予約も不要です。

今回は、オープンに先駆けて「XR BASE」を体験取材しました。

「XR BASE produced by NTT QONOQ」とは

「XR BASE」は、コノキュー、JR東日本、ジェイアール東日本企画の三社によるXR領域の発展を目指す取り組みの一環として設立された体験施設です。

施設の中には、本来は開発者向けに利用されているMRデバイス「Magic Leap2」や「HoloLens2」が一般向けに公開されています。また中央の大型スクリーンでは、バーチャルアーティスト「Tacitly」の楽曲MVなど、さまざまな映像が放映されます。さらに、PCやタブレットですぐに体験できるARコンテンツやメタバースサービスも用意され、気軽にタッチできる空間となっています。

下記では今回展示された個々のコンテンツについて紹介していきます。

普段触ることができないMR機器に触れられる!

何よりの目玉はMR(※Mixed Reality、複合現実)体験です。企業体験会以外ではなかなか触れられないデバイスを無料で体験できるので、興味がある方はこれだけで行く価値があると言えます。

MRデバイス「Magic Leap2」の展示場では、バーチャルな猫との触れ合いを体験できます。本体を装着して、コンテンツを起動すると、現実の何もない床に猫が出現します。猫はボリュメトリックビデオ(※実在の人やモノを撮影し、その画像から3D空間データを再構成する技術)で、再現されたものとなっています。

実際に著者が「Magic Leap2」を装着すると、目の前の床から猫が現れました! 両手を目の前に広げることで自分の足元に来て、触れ合ったりエサを与えたりできます。


(バーチャルな猫をヨシヨシする姿)
体験してみると、撮影されたものとは思えないぐらいに猫と自然に触れ合えました。猫に抱っこする際も、その場で動いているようにしか見えませんでした。

「MagicLeap2」越しに見えている景色は、ARコンテンツで体験するものをVRのディスプレイで見ているような感じに近いです。今回は「猫に触る」「猫に抱っこする」、「餌を与える」といったアクションができましたが、より触れ合える動作が増えれば、より楽しくなるであろうと感じました。

もうひとつ「NTT XR Real Support」というMR技術も体験できました。これはMR技術を使って、遠くの人でも作業支援できるように開発された遠隔作業支援ソリューションとのことです。

今回は「HoloLens2」を使って、スタッフの指示を受けながら、目の前に用意されたプラレールの組み立て作業に挑戦してみました。

実際は遠隔で通話を行いながら作業を進めるそうですが、今回はサポートスタッフがそばにいる状態で行いました。ですが、スタッフは作業中に一切こちらを見ずに「HoloLens2」のカメラから見える景色を参考にして指示を出すという流れに。そういった状態でも、問題なく作業を進めることができ、無事プラレールの組み立てができました。

デバイスを装着した状態では、マニュアルが空中に表示されたままになっているので、いちいち作業書を手に持たずとも作業を進められました。またスタッフが「HoloLens2」上で次に触るべき箇所を矢印で表示し、手順を教えてくれる場面もありました。口頭のみならず、視覚でも指示を表示してくれる点は、細かな手作業をやる上で、とても便利だと感じました。

「MR」といっても、文字だけではピンとこない人がほとんどでしょう。著者自身も今回MRデバイスに触れるのは初めての経験でした。実際に体験してみると、MRでは、現実の景色を確かめながらバーチャルでの視点を共有して、さまざまな指示出しができるといった「できること」が見えてきました。こうしたMRという言葉に対しての解像度を上げるには、実際に触れてみるのが1番です。

MR技術やビジネスに興味のない人でも「バーチャルの猫に触れてみる」という体験は興味を持てるかもしれません。猫アレルギーの方でも触れられるので、試してみてはいかがでしょう?

「XR World」をはじめとしたサービスに触れられる

MRデバイスにも、ARコンテンツやメタバースサービスなど、さまざまなものが用意されています。

例えば「XR World」。専用デバイスやアプリが不要で、パソコンやスマホから遊べるサービスです。施設では、「ゴジラコロッセオ」や「AKB48 SURREAL Theater」などのコンテンツをパソコンやタブレットで体験できます。

また「XR City」というARコンテンツもタブレットから体験できます。タブレットのカメラ機能を利用して、何もない平面の床を指定すると、ARコンテンツが表示されます。今回は、オリジナルコンテンツ「LOST ANIMAL PLANET」で、古代の生き物を表示してみました。大きさや角度なども変えられ、自由に見回すことができます。


(古代の生き物をARで表示可能に)

他にも「360Media」(スリーシックスティメディア)というアウトドアに必要な道具やアクティビティを360度の空間で立体的に表現し、現実のキャンプに必要なものをビジュアル的にわかりやすく紹介してくれるサービスや、さまざまなバーチャル空間にPCやスマホからアクセスできる「DOOR」などのコンテンツが展示されていました。

今回のARやメタバースサービスは(「360Media」以外)自宅でも体験できるコンテンツです。とはいえ、自宅で1人で知らないコンテンツに触ってみるのも勇気がいると思います。

メタバースのことが、いまいち分からない人に、すぐに触れて体験できるのが今回の展示のポイントです。まずは「XR BASE」で、気軽に触れてみませんか? 興味を持てれば、家でもう1度触ってみるのもよいでしょう。

リアルタイムで行われるライブも開催! 今後様々なライブを予定

「XR BASE」の中には、一際大きな大型LEDモニターがあります。
今回の事前体験会では、バーチャルアーティスト「Tacitly」による特別トーク&ライブも実施されました。施設内中央にある大型LEDモニターに、リリアとシエルの2人が登場。バーチャルライブシステム「Matrix Stream」を利用し、リアルタイムでのパフォーマンスが披露されました。

関係者の方の施設に対しての簡単な説明が終わると、「Tacitly」がラジオブースのような空間とともに出現し、「XR BASE」施設の内容を紹介してくれました。冒頭のあいさつから、「XR BASE」の人たちが見えていることを伝えつつ、施設紹介では椅子に座っている様子が事細かに伝わってきました。リアルタイムで伝えていることもあり、2人のたどたどしいトークが、とてもかわいらしかった印象です。

後半では、バーチャルライブが開催。リアルタイムで振り付けを踊りながら1曲披露していました。先程のたどたどしい印象から一転して、歌唱力を全開に活かしたパフォーマンスを披露。映像と合わせて施設のライティングが連動しており、リアルとバーチャルの境がない演出となっていました。

今回のパフォーマンスは、この日のための特別な企画でしたが、今後もTacitlyをはじめとしたアーティストによるライブが行われるかもしれません。VTuberカルチャーの発信地のひとつでもある秋葉原にあるため、今後の展開に期待です。

秋葉原がメタバースの情報が発信される拠点に

今回の「XR BASE」はNTTドコモとJR東日本の連携のこともあり、駅構内に設置されました。「XR BASE」担当者山下智正によれば、今回の体験施設オープン理由は「多くの人にXRに触れてもらうため」であるとのこと。また秋葉原を選んだ理由として「サブカルチャーや機械に精通している人々が多く集う街であるため」と答えていました。

駅構内にあることで、多くの人がXRコンテンツや最新の技術に触れられる機会が今後より増えることになると思います。先ほどMRデバイスの体験でも語った通り、こうしたコンテンツは「実際に触れてみないと分からない」ところも多いため、「知ってもらう」という目的を実現する上では、理にかなった立地になっていると言えます。

また、JR東日本は、メタバースサービス「Virtual AKIBA World」を展開しており、秋葉原駅のワールドがすでにバーチャル空間に存在しています。今後、ドコモサービス「XR World」と「Virtual AKIBA World」が提携するとの告知もあり、これを機に「XR BASE」も新たな展開を見せるかもしれません。

今後、秋葉原を拠点とする「XR BASE」がリアルとメタバースの架け橋になるかどうか注目です。

施設概要

アクセス:JR秋葉原駅 電気街改札 みどりの窓口隣
営業時間:10時~20時
※一部イベントは20時以降に実施(事前抽選制)
※メンテナンスによる不定期休業あり
入場料:無料
予約:不要
※一部イベントは事前に抽選を実施

公式サイトはこちら。
https://www.nttqonoq.com/xrbase/


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