スイスに拠点を置くARカンパニー「WayRay」は、MIT Media Lab が主催するReality Virtually Hackathonのスポンサーシップに就任し、多額の資金援助とともに、同社の独自のAR SDKを提供することを発表しました。
高いAR技術力を誇る企業「WayRay」
WayRayは、自動車でのAR利用に向けたヘッドアップディスプレイの開発を行う企業です。
同社の主要な技術は、自動車へのAR応用であり、「Navion」では車のフロントガラスにAR映像を提示します。
本技術では走行中に正面にあるフロントガラスを利用するため、従来のARで必要だったヘッドセットやグラスの装着は必要ありません。ガラスに速度やナビゲーションをリアルタイムに提示することができ、ドライバーに便利なアプリケーションとなっています。
情報やデータは、HOE(ホログラフィック光学素子)を介してフロントガラスに投影されます。同時に、自己位置推定しながら空間環境マップを作る技術「SLAM」を用いて、絶え間なく自車の位置を特定していきます。
同技術はすでにポルシェに採用され、AR技術を駆使したスマートなレーサーカーに利用される予定です。
ARハッカソンについて
Reality Virtually Hackathonは、アメリカのマサチューセッツ州ケンブリッジで開催され、MIT Media Lab が主催するVR/ARクリエイターのためのハッカソンです。
VR/ARの技術を駆使して最大限に新たな体験を生む、世界で最も白熱するハッカソンであると言われています。
ハッカソンは30を超える複数のカテゴリに分かれ、当日は各カテゴリにつき1つ最優秀賞が授与されます。
ハッカソンでは30個の賞が設けられる予定です。
賞金は、最低でも2,000ドル、各カテゴリーにつき最優秀賞には最高で5,000ドルが授与されます。
独自のARライブラリ「True AR SDK」の無料公開
WayRayは今回、本ハッカソンの自動車賞のスポンサーシップを行っています。ハッカソンには、開発用の「True AR SDK」が無料で提供されます。
本ハッカソンの開催にあたって、WayRayの自動車AR技術の開発用ライブラリ「True AR SDK」が、誰でもダウンロード可能になります。
このSDKは、自動車のARでの利用を想定した、安全アラートやナビゲーションツールなどのオブジェクトをパッケージ化したライブラリです。自動車のアプリケーションに限らずARのインターフェースに自在に利用することができます。
このAR SDKは元々、ラスベガスで行われたCES 2018で計画が初公開されたものです。
同SDKが利用された例に、2018年の「AR True Challange」があります。23ヵ国に渡る参加者の手によって、消防士が農家を助けるためのナビゲーションアプリが制作された事例です。
過去の受賞者も含め、多くのVRARクリエイターとの苦しい闘いが予想されますが、ハイレベルなコンペティションへ参加する価値は十分にあると見込まれます。
開催情報は以下の通りです。
開催日:2019年1月17-21日
最終締切日:2018年12月29日
場所:MIT Media Lab
(参考)https://vrscout.com/news/wayray-reality-hackathon-true-ar/