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VTuber 2019.11.10

【VTuberデータ分析】「ゲーム実況」最もプレイされているゲームを調べてみた

myrmecoleonと申します。今回は自分の収集しているVTuberの動画・配信アーカイブのリストより、VTuberがこれらでよくプレイしているゲームとその変遷について紹介します。

VTuberの動画や配信は各種の企画や雑談、歌などさまざまですが、ゲームは中でも定番のひとつ。個人で攻略、一般のプレイヤーや視聴者とネット対戦、VTuber同士でコラボなどプレイもさまざまです。今回はその中でよくプレイされてるタイトルとプレイのされ方について紹介します。

VTuberのデビューが増加した2018年から前月10月までに投稿されたVTuberの動画・配信アーカイブからプレイされたゲームを集計。その結果が以下のグラフです。抽出は動画のタグおよびタイトルから行いました。ある程度の漏れや不足があり、正確ではないことをご了承ください。

定番のマインクラフト(Minecraft)がトップ。PUBGやAPEX LEGENDS(APEX)、Fortniteとバトルロイヤル方式のFPS・TPSシューティングゲームも人気があります。ほか主なタイトルとしては協力プレイ要素のあるモンスターハンター:ワールド(MHW)、オンライン対戦アクションのスプラトゥーン2やデッドバイデイライト(DbD)が挙げられます。

上位6タイトルを月別に見たのが以下のグラフです。APEX・MHW以外は2017年以前から人気の高いゲームで、2018年はじめからいくつかのVTuberにプレイされていました。VTuberが増加していく中でそれぞれのプレイ動画・配信も増えていきますが、ヒットの時期やプレイのされ方はそれぞれ異なります。今回はこちらについて代表的な動画・配信を挙げて紹介します。

VTuberのインフラとなったマイクラ

VTuberでもっとも投稿が多いゲームは「Minecraft」、通称マイクラです。投稿チャンネルも2000チャンネル以上で最多でした。土地を切り開いて資材をあつめ、自由に建物などを作れるのが魅力のゲーム。2011年よりリリースされ、バージョンアップを重ねながら長くプレイされています。

定番ゲームのためエイレーンやキズナアイ、電脳少女シロなど初期からよくプレイされています。シロちゃんの関連でアイドル部でよくプレイされたほか、ハニーストラップの島村シャルロットなどマイクラを継続的にプレイするVTuberもいます。なかでも、ホロライブの白上フブキはデビュー初期のエンダードラゴンRTAが代表的な配信のひとつです。

エイレーン IF MINECRAFT WAS A JAPANESE ANIME (Animated)
キズナアイ 【Minecraft】キズナアイランド建国の仲間急募しちゃいます!!!#0【マイクラ】
白上フブキ 【フブキch】Minecraft/エンダードラゴン討伐RTA.ver1.7

このように以前からVTuberのマイクラ動画や配信は見られましたが、特に増えたのは2018年8月頃から。この頃、「にじさんじSEEDs」や「仮想マイクラ部」など、各所でVTuber間のマイクラのコラボが現れました。個人VTuberでもマイクラ配信が次第に増えていきます。

12月から翌年に入ってさらに拡大しますが、大きな要因としては「にじさんじサーバー」などのVTuberグループのマルチプレイサーバの整備が挙げられます。

2018年10月、にじさんじSEEDs(当時)のドーラがライバー間のマイクラコラボ用にレンタルサーバを用意し、11月頃からにじさんじのバーチャルライバーに提供を開始。これが「にじさんじサーバー」(にじ鯖)の始まりです。静凛などが初期から継続的に利用し、少しずつ住人が増加します。

静凛 #しずくら 【マイクラ/20181110】
本間ひまわり・ドーラ 【LIVE】にじさんじ鯖OPENだーぃ【マインクラフト】

にじ鯖の誕生で、接点の無かったライバー同士が対面したり、それぞれの作ったものが配信に登場したりすることが増えていきます。当時にじさんじは1期生・2期生、にじさんじゲーマーズ、にじさんじSEEDsの区分けがありましたが、マイクラのにじ鯖はそうした世代・グループを越えた交流が自然に発生する場となりました。

2019年に入るとにじ鯖で偶発的に起きたドラマがよく話題になり、2019年デビューの新人ではにじ鯖参加が交流を広める大きなきっかけとなっていきます。

【Minecraft】新天地のダイヤモンドも掘る【にじさんじ鯖】
配信の後半、突発コラボ中に装備を失った「宇志海いちご」に「ベルモンド・バンデラス」が代わりの装備をプレゼントするくだりが感動を呼びました。

【マイクラ】家をもう一度立てて全部爆破したい!!クリーパーで!!【にじさんじ】
前日の配信時の騒動で破壊されてしまった「エクス・アルビオ」の家が翌日元通りになっているという突発コラボによるサプライズの結果。

マイクラがコラボ会場として使われることも増えました。にじさんじのバーチャルライバーのほとんどは3D化しておらず、また大人数の3Dコラボはもともと技術的にも困難です。その点マイクラなら大人数の企画にも便利です。会場も自分らで作ったり、配布されたものを利用したりと勝手が良い点が特徴です。

にじさんじバトルロワイヤル
にじさんじ夏祭り
にじさんじ運動会

にじ鯖のような共同マイクラサーバや企画等のマイクラ使用は現在ではにじさんじに限らず行われています。VTuber全体でゲームの枠を越えてコラボや企画の場として活用されており、もはやマイクラはVTuberのインフラといって良いでしょう。

【1/31 20:00~】マイクラのホロライブサーバーを見学します!【…闇?】
【クソコラボ】マイクラの醍醐味といえば…【upd8】
【闘走中】どっとライブメンバーが繰り広げる“はんぱない闘走劇“が幕を開ける…【清楚の日】
建築王 -チーム対抗マイクラコンテスト- 審査会

PUBGからAPEXへ 根強い人気のバトルロイヤル

「PLAYERUNKNOWN‘S BATTLEGROUNDS」(PUBG)は2017年3月から早期アクセスが開始されているバトルロイヤル形式のTPSシューティングゲーム。2017年中からゲーム実況などで人気がありました。

こちらもVTuberでは早くからプレイされており、特に電脳少女シロや猫宮ひなたはPUBGのプレイ動画がブレイクのきっかけとなっています。初配信で8時間以上PUBGをしたにじさんじゲーマーズの叶など、ゲーマー系のVTuberといえばPUBGというイメージが定着しています。

電脳少女シロ 【神回】PUBGで女子が本気出したら奇跡が起きた!なんと‥!【PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS】
【Pick Up#1】雑談/PUBG▶ 「初放送!548分で分かる!叶!」

こうした人気もありPUBGの投稿は増加。2018年7月にVTuber限定のPUBG大会「VTuber最強決定戦」が開催された月には投稿が急増しました。

10月にはチーム戦の「VTuber最協決定戦」も開催され、この頃も投稿の増加が見られます。2019年に入って一端減少した後に増加した4月にも最協決定戦の第2回が開催されました。大会をきっかけに参加者の練習などでPUBGの配信が増えたものと思われます。

PUBGはさまざまなカスタムマッチの設定ができるため、大会企画や視聴者参加型の配信などで活用しやすい利点があります。

VTuber最強決定戦メイン会場
第1回 VTuber最協決定戦メイン会場
第2回 VTuber最協決定戦メイン会場

PUBGのヒットから似たコンセプトのゲームがその後よく発表されており、特に2019年2月に配信開始した「APEX LEGENDS」(APEX)は人気です。

APEXもバトルロイヤル形式のFPSシューティングゲームですが、統一された世界観で特殊能力を持つヒーローになって戦うことや(イベントなどを除き)必ず3人組のチームを組むことなどの特徴があります。

APEXは人気の高さから登場時には多数のVTuberが配信しました。同時期にPUBGの投稿が目に見えて減っており、プレイヤーがかなり共通するタイトルのようです。最近ではPUBGよりもVTuberのプレイが多く、特に10月は新要素の追加から特に投稿が増えました。またゲーム自体は無料で、PUBGよりも配信しているVTuberは多めです。

APEXは3人チームを作る必要からVTuber同士でのコラボが自然に促されるのも特徴です。一方でPUBGのように個人でも大会を主催しやすいような仕組みはなく、最強・最協決定戦のようなVTuber企画はまだ実施されていません。

夜桜たま・金剛いろは 【APEXコラボ】アイドル部1の清楚を決める闘い【アイドル部】
【後日談あり】プロゲーマーに ふぇありすショックしてみた
勇気ちひろ 【APEX】夜見れなちゃんとちゃんぽん食べるんだ!!【(゚∀゚ )≡ モヒョヒョヒョヒョ】
葛葉 【Apexlegends】黄金色の雑魚【With 黛灰 獅子神レオナ】

現在はAPEXが人気ですが、PUBGの長所も依然あります。今後も新しいゲームが開発され、あるいは既存のゲームがアップデートされていく中で、どのタイトルが注目を集めるかは変わっていくでしょう。

新展開を前に人気再燃したモンハンワールド

「モンスターハンター:ワールド」(MHW)はちょうど2018年1月に発売されたゲーム。巨大なモンスターを狩る人気ゲーム「モンスターハンター」の新作で、従来タイトルと同様にマルチプレイにも対応しています。発売直後なことからVTuberでも初期からよくプレイされていました。また8月のPC版発売で一時投稿が増えました。

ミライアカリ 【MHWベータ版】モンハンワールドの世界で大暴れしてきた!
卍1【MHW】バーチャルおばあちゃんがはじめてモンハンワールド 【キャラメイク編】
電脳少女シロ 【MHW】おほー!今日も可愛いね♩【ランス】
白上フブキ PC:MHW。キツネハンターがゆくモンスター狩り

その後は他と比べればVTuberで投稿が顕著なタイトルではありませんでしたが、2019年5月以降投稿が増加します。きっかけとしてはにじさんじの本間ひまわりが5月末にMHWを始めたことが挙げられ、これ以降にじさんじのバーチャルライバーが少しずつMHWを始めています。9月には大型拡張コンテンツ「アイスボーン」が発売されて劇的に投稿が増加していきました。

#1【モンハンワールド】目指せ!一流ハンター!モンハン生活始まりの日【森中花咲/にじさんじ】
群道美玲 【MHW #1】一狩り行こうぜ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!【初心者/にじさんじ】
【MHW】モンスターハンターワールドやってみる!【にじさんじ/椎名唯華】

本間ひまわり自身も「アイスボーン」のCMをきっかけにMHWを開始しています。ゲームの新規展開のプロモーションがVTuberの配信を促した一例といえるでしょう。MHW自体、初回配信でリスナーと一緒にするキャラメイクや素材集め等の協力プレイで他のVTuberやリスナーと交流するなど配信に向いた要素があったこともヒットの要因と思われます。

一方で10月以降は目に見えて投稿が減っており、マイクラやPUBG・APEXのような定着はまだ先のようです。

スプラトゥーン2とDbD 交流を促すネット対戦ゲーム

「スプラトゥーン2」は2017年に発売されたアクションシューティングゲーム。殺し合いでなく互いの色でステージを塗って勝敗を決める独特のシステムで人気のタイトルです。VTuberではゲーム部の道明寺晴翔やアイドル部の金剛いろは、にじさんじゲーマーズ(当時)の笹木咲などが初期からよくプレイしていました。

今回紹介した中で唯一PC版が無くNintendo Switch限定のタイトルです。配信環境が必要なためプレイヤーを選びますが、豊富なマッチ形式で協力・対戦プレイができるため、VTuber間のコラボにもよく使われます。9月に行われた道明寺・笹木のコラボは当時ゲーム部のコラボ企画が珍しかったこともあり話題になりました。

https://www.youtube.com/watch?v=KgnM16AFaXA

【スプラトゥーン2】バーチャルYoutuber『道明寺晴翔』イカの世界へ【Splatoon2/実況プレイ】
【スプラトゥーン2】ガチマッチ最強ブキはローラーだ~!【ウデマエX】
【Splatoon2】いろはtoon#01【アイドル部】
【スプラトゥーン2】1対1のガチバトル! VS にじさんじゲーマーズ笹木咲【道明寺晴翔/笹木咲】

投稿が増えた2019年4~7月頃はホロライブで「ホロライブすぷら部」の活動が活発でした。また人気のあった毎月のフェスマッチの最終回が7月に開催されています。

【スプラトゥーン2】ほろらいぶ すぷら部ー!!ᔦꙬᔨ三ᔦꙬᔨ✧‧˚ᔦꙬᔨ三ᔦꙬᔨ✧‧˚
【Splatoon2】ファイナルフェス!楽しんでいこおおおおお!!!!!
【耐久】Splatoon2 えいえんになるまで終われない【#ギバライカ】

「Dead by Daylight」(DbD)は2016年発売の対戦アクションゲーム。ホラー調のドロケイに似たルールの鬼ごっこのゲームで、追う殺人鬼か逃げる生存者かを選んでプレイします。
他タイトルと違い特定の時期に流行したわけではなく、2018年10月頃から安定してプレイされ続けています。

PCゲームで、1人から5人まで柔軟に協力・対戦プレイが可能なことから好んでプレイされています。代表的なVTuberとしては初期から投稿している電脳少女シロ。長時間ソロ配信している静凛、頻繁にコラボDbDをしている癒月ちょこなどが挙げられます。

ゲーム実況の中でもホラーゲームは声の反応を引き出しやすいことから昔から人気があり、また繰り返しプレイできる点(ネタバレの危険もない)からも、配信映えしやすいといえます。ソロ配信では(運が良ければ)視聴者もゲームに参加したり、コラボなら協力して殺人鬼から逃げたり、一人が殺人鬼になって他のVTuberを怖がらせたりと、さまざまな配信が楽しめます。

ストレンジャーシングスきたー!!しずりんのデドバイ!【DeadbyDaylight/20190918】
【御伽原江良/癒月ちょこ】お口の悪いいきり美少女を生徒指導いたします【Dead by Daylight】
【DBD】初対面からめちゃくちゃ怒られるんですけど!【デッドバイデイライト】【にじさんじ】

スプラトゥーン2とDbDはテイストが大きく異なり、それぞれに魅力がありますが、どちらも柔軟に数名でのオンライン対戦をプレイでき、VTuberやファンとの気軽な交流を深めるのにうってつけといえます。VTuber関連で大きなイベントはありませんが、愛され続けているタイトルです。

まとめ

その他、1チャンネルあたりの投稿が少ないため投稿数は多くないものの、チャンネル数で見るとVTuber初期で話題になった「Getting Over It」や、キズナアイ杯などで使用された「マリオカート8DX」も人気の高いゲームです。ほか同様の傾向のあるタイトルとしては「Project Winter」や「Outlast」、バイオハザードシリーズなどが挙げられます。

【Getting Over It】月ちゃんおこだよ!!!!!おこ
【LIVE】キズナアイ杯本戦&決勝!ついに初代チャンピオン決定!
【Project Winter】にじさんじプロジェクトウィンター!裏切り者を探せ!【人狼×雪山サバイバル】

今年の10月投稿が多かったのは紹介した6作品です。11月に入って以降もマイクラ・APEXは人気が高く、DbDもハロウィンイベント中のため、多くの投稿が見られます。

また投稿数はそれほどではないですが、目新しいタイトルとしては9月発売の「CODE VEIN」や「DAEMON X MACHINA」、10月発売の「リングフィットアドベンチャー」などが挙げられます。

特に「リングフィットアドベンチャー」の配信は普段バーチャルなVTuberの身体を感じられる魅力から話題になっており、11月に入ってさらに配信者が増えています。継続的にプレイされるかはこれからですが、期待のタイトルといえます。

【筋肉】(筋肉)リングフィットアドベンチャー(筋肉)【筋肉】
【リングフィットアドベンチャー】鈴原、筋力強化するッッ…!!!!!!【鈴原るる/にじさんじ】
【リングフィットアドベンチャー】聞いた?これめっちゃしんどいらしい【御伽原江良/にじさんじ】

インフラとなったマイクラをはじめ、定番ゲームとなったPUBGやAPEXなどは、VTuberの文化とよく噛み合い、欠かせないタイトルとなっています。スプラトゥーン2やDbDもVTuberが交流を広めるツールとしてよく活用されています。

VTuberがゲームイベントなどのゲストとして呼ばれることも多くなりました。多くのライトユーザーにゲームの魅力を伝えてくれるVTuberの存在は、ゲームビジネスの広報上少なくない影響を与えていると思われます。最近ではMHW配信の増加などにその様子が感じられます。

好奇心旺盛でゲーム好きなVTuberたちにより、今回取り上げられているものだけでなく、日々新たなゲームが発掘されています。そうした中から、取り上げたような定番となっていくタイトルも出てくるかもしれません。今後も注目していきたいと思います。

執筆:myrmecoleon


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