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VRChat 2023.04.08

VRChatへいつでも気軽に学びに行こう。学習・追体験系ワールド7選

ソーシャルVR「VRChat」には、数え切れないほどのワールドが日々公開されています。居心地のよいもの、エンタメを楽しめるものが多いですが、中には外国語や科学を学んだり、過去の歴史的事件を追体験できるような、なにかしらの学習ができるワールドも存在します。

こうしたワールドには、親しい友人と一緒に行くことも、自分ひとりだけで行くこともできます。複数人で行くことで理解が深まることもあれば、ひとりでじっくりと体験することでしっかり咀嚼できることもあるでしょう。いわば、自分のペースで体験できる教育コンテンツなのです。

本記事では、「VRChat」で公開されたワールドの中から、知識や知見を得たり、追体験を通して理解を深めることができるものを7つピックアップ。VRを通して、新たな知見や知識を得たり、学問的な理解を深めるきっかけのひとつとして、誰でも気軽に訪れることができる「学びの場」をご紹介します。

目次

1.【語学】わかりやすい展示で韓国語を学べるミュージアム
2.【数学】魔法陣から数学を学ぶ? 自分で魔法陣も描ける体験授業
3.【科学】「摩擦」の基礎を、読んでさわって理解しよう
4.【美術】名作西洋絵画を、わかりやすい解説付きで鑑賞できる美術館
5.【歴史】茶箱を自分で投げてみよう。「ボストン茶会事件」を追体験
6.【歴史】1972年に起きたテロ事件「ミュンヘンオリンピック事件」の現場を歩く
7.【環境問題】ツアーとゲームから学ぶ、電気自動車と持続可能な世界

1.【語学】わかりやすい展示で韓国語を学べるミュージアム

外国語を学びたいと思う瞬間は人生でたびたび訪れるもの。世界中から人が集まるVRChatは語学練習に最適な場と言われており、他言語交流を目的としたイベントも開催されているほどです。しかし、いきなりイベントに行くにはハードルが高い……と考える人もいるはず。

そんな人には外国語を学べるワールドがおすすめです。その中のひとつ「Korean Study Museum JPN」では、韓国語を基礎から学ぶことができます。ワールド内は韓国語、日本語、英語に対応しており、日本人でも最初の言語の障壁はありません。

ワールド内は大きめのミュージアムのようになっていて、内装までもよく作り込まれています。韓国にゆかりのある展示もいくつか見られます。

そして、韓国語の解説が非常にていねいでわかりやすい! 図付きのデザインは一目見てわかりやすく、まるで教科書を読むように韓国語を理解することができます。特に「韓国語と日本語の文法は似ている」というのは、知らない人にとっては大きな発見になるかもしれませんし、それが学び始めるきっかけになり得るでしょう。

基本的な文法のほか、韓国語最大の特徴であるハングル文字の解説や、発音例付きの単語紹介など、このワールドだけでかなりの範囲の学習ができます。「ミュージアムという形で立体化した教科書」として、順路をめぐりながら韓国語を学ぶことができる、外国語学習ワールドとしては特筆すべきクオリティのワールドです。

ワールド詳細

ワールド名 Korean Study Museum JPN
Quest対応
入場 入場URLはこちら

2.【数学】魔法陣から数学を学ぶ? 自分で魔法陣も描ける体験授業

2022年に開催された「バーチャルマーケット2022 Summer」の会場の一部は、現在アーカイブとして公開されています。その会場のひとつ「魔法学園グランヴェール」では、とある授業を受けることができます。

授業名は「魔法陣表現論」。魔法に欠かせない「魔法陣」を、数学の視点から解説していくというもの。4月特集でも取材した「理系集会」が手掛けた、コミュニティコラボ企画のひとつです。

この展示で取り扱われるのは「星形魔法陣」。星の形をしたおなじみの魔法陣のひとつです。これを図形として詳細に表現すると、円周上に等間隔に置かれた点の数・n=5、線で結ぶ頂点の間隔・k=2の、「(5,2)魔法陣」となります。本展示では、こうした魔法陣を「(n,k)魔法陣」と表現します。

展示エリアには、問題が表示された魔導書が置かれています。操作パネルを動かすことで魔法陣を描けるギミックが用意されており、これを活用して問題に答えていきます。

最初の問題はかんたんですね。頂点の数を5に、間隔を2に設定し、「回答する」を選択しましょう。

正解すると次の問題が登場します。こうした魔法陣にまつわる出題にひとつずつ答えていきます。難易度は徐々に上がっていき、後半はかなりしっかり考えないと正答できないようになっています。

すべての問題を突破すれば、「魔法陣表現論」の修了証書が贈呈されます。自分の名前入りの修了証書はぜひ写真におさめておきましょう。

魔法陣から数学について考えるコーナーだけでなく、実践編として自分で魔法陣を描くことができるコーナーも目玉のひとつ。魔法陣の直径や、頂点数と間隔、回転速度、属性(魔法陣の色)を自由に指定し、魔法陣を呼び出すことができます。

自分だけの魔法陣を作って記念撮影といきましょう!

このほか、展示エリアにはより詳細な解説や、過去の「理系集会」の特別講演スライドも展示されています。魔法陣というファンタジーなテーマから、意外な角度から数学のおもしろさを感じ取れる、おもしろい学習体験が得られます。

ワールド詳細

ワールド名 Vket2022S Granvale Academy of Sorcerers – Fantasia
Quest対応
入場 入場URLはこちら
ワールド名 Vket2022S Granvale Academy Of Sorcerers – Nocturne
Quest対応
入場 入場URLはこちら

※2ワールドとも、「魔法陣表現論」の展示内容は同一です。ワールドの雰囲気、「バーチャルマーケット」一般出展物の内容に差異があります。

3.【科学】「摩擦」の基礎を、読んでさわって理解しよう

「Tribology World」では、トライボロジー(摩擦・摩耗・潤滑に関する学問分野)について学ぶことができます。「理系集会」の主催で、トライボロジーを専門分野とするhinorideさんが作成したワールドです。

ワールドの主なコンテンツは、ものの摩擦に関する問題と解説、そして問題を実際に再現してくれるギミックです。例えば、まず最初に「同じ押す力(10N)で、質量の異なる物体をそれぞれ押すと、どの質量の物体が一番奥に進むか」という問題が出題されます。

この回答は「最も軽いものが一番進む」です。とはいえ、これを文面だけ見てもあまりイメージがつかない人もいるかもしれません。

ですが、自分で動かしてみれば一目瞭然です。

重いものはあまり動かず、軽いものは遠くに動く。「摩擦力は垂直荷重に比例する」という、トライボロジーの基本法則を目の前で「体験」することで理解できます。

こうした摩擦に関する様々な法則を、出題と解説を交互に織り交ぜることで学んでいくことができます。まさに実物提示教育そのものであり、VRならば「自分で触れる」という能動的な行動もあって、授業をただ聞くよりも積極的に学べるはずです。

このほか、動画を通した学習コーナーや、より発展的な領域の話を解説するコーナーもあります。「摩擦」と聞くと地味な印象を持つかもしれませんが、トライボロジーは宇宙に関わる現象や技術にも発展する、とても重要な分野だったりします。その基礎を知ってみる機会を気軽に得られるワールドです。

なお、hinorideさんによれば、本ワールドは春ごろに大幅リニューアル予定とのことです。学べる内容を追加し、遊べる要素もあるワールドになるとのこと。リニューアル後が心待ちなワールドです。

ワールド詳細

ワールド名 Tribology World
Quest対応
入場 入場URLはこちら

4.【美術】名作西洋絵画を、わかりやすい解説付きで鑑賞できる美術館

芸術を学ぶ上で、やはり実際に目にすることは大切です。「VR Art Museum 西洋絵画美術館」では、様々な西洋絵画を鑑賞することができます。


展示されているのは、古典から19世紀頃までの、パブリックドメインの西洋絵画。すべて原寸大で展示されており、大きな絵画は専用の空間で原寸大サイズで見ることができます。


絵画を鑑賞するだけでもおもしろいですが、各絵画やコーナーごとに解説文が添えられています。作者や描かれた時期、内容の詳細など、知っていればより深く作品を理解できる情報が記されています。

さらに、各絵画には動画のリンクも添えられており、入口で手に入る携行動画プレイヤーで動画視聴ができます。「山田五郎 オトナの教養講座」といった動画から得られる知識も組み合わせて、西洋絵画について幅広い知識を得ることができるでしょう。見るだけでも楽しく、学べばさらに深く楽しめる、学びの場としてもおすすめな美術館です。

ワールド詳細

ワールド名 VR Art Museum 西洋絵画美術館 v2․0
Quest対応
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5.【歴史】茶箱を自分で投げてみよう。「ボストン茶会事件」を追体験

「アメリカ独立戦争」の転機になったとも言われる歴史的事件「ボストン茶会事件」。船に積まれた茶箱を全部海に投げ捨てた、というインパクトからおぼえている人が多そうな事件でもあります。

そんな「ボストン茶会事件」を追体験できるワールドが「BostonTeaParty」です。ワールドの内容はシンプル。船に置かれた茶箱を片っ端から海に投げ捨てる。以上です!

けっこうな数の茶箱を投げ捨てると、海が紅茶色に染まります。実際にこう染まったかはわからないですが、そこまで至るまでにかなりの数を投げ捨てないといけないので、人数がいないと割と大変です。「3時間で342箱捨てられた」とも伝えられており、それだけの量を投げ捨てる感覚を味わえるでしょう。

なにゆえそこまでの行動に及んだのか……そこまでの経緯を学んでみると、「茶箱を投げ捨てる」という行為が、また違った見え方をするかもしれません。歴史を学ぶ一つのきっかけとして、茶箱を実際に捨ててみる、というのもおもしろいでしょう。

ワールド詳細

ワールド名 BostonTeaParty
Quest対応
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6.【歴史】1972年に起きたテロ事件「ミュンヘンオリンピック事件」の現場を歩く

歴史の中でも、近現代史において大きな衝撃をもたらした事件のひとつに、「ミュンヘンオリンピック事件」があります。「München 72」では、この「ミュンヘンオリンピック事件」について、ドキュメンタリーのように追体験することができます。

「ミュンヘンオリンピック事件」は、1972年のミュンヘンオリンピックにて起きたテロ事件。パレスチナ武装組織「黒い九月」が選手村を襲撃し、イスラエルの選手団を人質に取った後、交渉や警察による突入が試みられたものの失敗。イスラエルのアスリートら11人が死亡する惨事となりました。

ワールド内はミュンヘンの名所や、オリンピック開催直後の人々の雰囲気などを、再現された空間からたどっていくことができます。随所に、当時のテレビの映像なども流されており、1972年当初はオリンピックムードの陽気な雰囲気であったことが伝わるでしょう。

しかし、事件発生後は雰囲気が一変。警察車両などが集まる道路からは、命のかかる緊迫した状況が伝わります。突入前後の状況を映したテレビ映像からも、オリンピックという祝祭の最中に起きた事件を前にした衝撃が感じられるはずです。

「ミュンヘンオリンピック事件」の衝撃は大きく、ドイツではその後対テロ特殊部隊「GSG-9」が設立され、以後も対テロ特殊部隊の設立が続くなど、世界全体にも大きな影響をもたらしました。様々な転換をもたらした事件の空気感を知ることができる、ぜひ訪れてほしい追体験コンテンツです。

ワールド詳細

ワールド名 Munich 72 – München 72
Quest対応
入場 入場URLはこちら

7.【環境問題】ツアーとゲームから学ぶ、電気自動車と持続可能な世界

日産自動車の公式ワールド「NISSAN ARIYA "Global Warming & Our Future" Tour」では、日産の電気自動車「日産アリア」に乗り、地球温暖化と電気自動車のある未来について学ぶ環境ツアーに参加することができます。

ツアーは銀座の「NISSAN CROSSING」からスタートし、海沿いの道、ピラミッドも見える砂漠、動物も隠れ住む冬の森を経由して、「北極と南極が同時にある場所」へと移動。VRでしか実現できない場所で、北極と南極のそれぞれにある氷の違いを解説してもらえます。


北極の海氷は海が凍ってできたものなので、温暖化によって溶けたとしても水位は変わらない。逆に、南極の氷は長い年月をかけて降り積もった雪が圧縮されてできた「氷床」と、そこから海に流れ出た「氷山」が主なため、溶けると一気に水位が上がる。そういった、地球温暖化にまつわる豆知識を、「目の前で北極・南極の氷を溶かす」という見せ方でいっしょに学ぶことができます。

そしてツアーは宇宙へと飛び立ちます。そこで待ち受ける「未来からやってきた存在」から、地球温暖化が進行した悲惨な未来が語られます。こうした演出も挟むことで、ただ教えられるだけでなく「体験して考える」機会が与えられます。VRだからこそできる演出も相まって、一味違う環境ツアーとなっています。

また、同じく日産自動車が公開したワールドNISSAN EV & Clean Energy Worldでは、電気自動車がある暮らしをゲーム形式で体験できます。


ゲームの内容は、寂れたキャンプサイトを、電気自動車「日産サクラ」の蓄電池を駆使して復興するというもの、クリアまでの時間を計測しているためタイムアタックにも挑むことができます。


電気自動車は「電気を使って走る車」として知っているものの、「走る蓄電池」として災害発生時などにも活躍することは、知らない人も多いはず。リアルな値で設定された電力消費とにらめっこしつつ、様々な再生可能エネルギーともふれあい、電気自動車のある持続可能な生活を体験しながら知ることができるワールドとして、こちらも環境問題を考える上でおすすめです。

ワールド詳細

ワールド名 NISSAN ARIYA "Global Warming & Our Future" Tour
Quest対応
入場 入場URLはこちら
ワールド名 NISSAN EV & Clean Energy World
Quest対応
入場 入場URLはこちら

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