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VIVE 2018.06.25

“酔いにくさ”を追求したVRマルチプレイヤーFPS「Skyfront VR」

(※本記事は、2018年5月31日にHTC社公式ブログに掲載されたStephen Reid氏の記事を翻訳したものです)


空を飛びたい? ですよね。空中で敵を撃ち落としてみたい? ではどうぞ、空の上へ。この銃をお使いください。先に申し上げておきますと、「敵」はあなたと同じことを考えている大勢の人々です。ご武運を。

これが「Skyfront VR」です。「VR酔いしない無重力シューター」をめざすという本作について、開発元Levity PlayのIvar Jaanus氏にお話を伺いました。

——まずは「Skyfront VR」について簡単にご紹介いただけますか。現在アーリーアクセス期間中ですが、最終的にはどのようなゲームに?

「Skyfront」がどんなゲームか、例えば僕の祖母に説明するとしたら、「無重力ドッジボールみたいなものだ」と言うでしょうね。実際に飛び交うのは球じゃなくて弾ですが。

他の人なら――「VRで遊ぶ無重力FPS」と言うほうが分かりやすいでしょう。ハイペースなプレイ、種類豊富な武器、使いこなせば戦いを有利にできるクールな特殊能力が特長です。凝ったマップも、色々なチャレンジやイベントも用意しますし、すばらしいコミュニティもできています。

——バックストーリーはSF風ですね。着想を得たゲームや小説はありますか?それともVRそのものがインスピレーションに?

アイデアは主に、自分たちの好きなSF小説から取っています。「エンダーのゲーム」とか「デューン」とか。ゲームだと、僕たちはみんなハイペースなFPSが大好きなんです。「オーバーウォッチ」や「バイオショック」は何度プレイしても凄いと思ってしまいますから、間違いなくインスパイアされてますね。もちろんVRにもです。どの方向にも自由に動けるところから、無重力空間を飛び回れるものを作ろうということになりました。子供時代にそれが夢だったという人は多いでしょう。

——本作の大きな特長の一つは「VR酔いしない」ことだそうですね。企業秘密の部分もあるとは思いますが、差し支えない範囲でどのように実現したのか教えてくださいますか?

魔法です!

……真面目にお答えすると、VR酔いするかどうかは個人差が非常に大きいのですが、多くの人にVR酔いを引き起こしやすい要因を一つひとつ潰していって、できるだけ酔いにくくしたというだけのことです。

例えば、ゲーム内での移動はプレイヤーにとってなるべく直感的に、自然な感覚で行えるように工夫しました。僕たちは「ポイント・アンド・ムーブ」と呼んでいます。どこかを指させば、体はそこに向かって飛んでいく方式です。このゲームはFPSですから、プレイヤーは自然とエイムする方向を注視する。それを素直に利用したわけです。

このゲームがVR酔いを起こしにくいもう一つの理由は、そもそもゲームメカニズム的に、プレイヤーがマップ内の構造物にあまり近づく必要がないという点です。もちろん移動中に構造物にぶつかることはあるでしょうが、プレイするうえでそういう動きが要求されることは決してありません。だからVRが初めての人、酔いやすい人にも快適な空間になっています。


——開発を進めるうえで、いちばん大変だったのはどのような部分ですか?
たぶん、VR酔いのありとあらゆる要因をリストアップしたことですね。マップもゲームプレイも、武器もHUDも、すべてそれを基づいて配慮したデザインにしました。
それから、僕たちは元々カジュアルゲームを作っていたスタジオなので、VR開発への移行は驚きと発見の連続でした。

——マップは現在2種類ありますが、追加の予定は? あるいは逆に、数を絞り込んで競技性を高めることを検討されていたりしますか?

フルバージョン公開までに、あと2つマップを追加する予定です。Steamワークショップにも対応して、プレイヤーがコンテンツを作成できるようにします。無重力環境を活かしたどんな作品が生まれてくるか、今から本当に楽しみですよ。
ちなみに、次の追加マップは中世の城がテーマで、ゴシック風のスタイルになります。あと一つはまだ秘密です。もう少しだけお待ちください。

——多くの人に継続してプレイしてもらうために、どういう対策を考えておられますか。

いま隔週でやっているSkyfront Skirmishチャレンジというイベントを、今後も続けていくつもりです。アーケード施設でプレイしてくれている人たち向けにも同様なチャレンジを開催することを考えています。
Steamワークショップ対応が始まれば、自分で作ったものをこのゲームに付け加えるという楽しみも増えます。カスタマイズオプションやゲームモードも増やしていくつもりです。
他にも温めているアイデアはいくつかありますが、まだお話しできる段階ではないですね。

——現在どのようなゲームモードがありますか? 今後追加される予定は?

いまはDeathmatchとTeam Deathmatchの2種類です。フルバージョン公開前にはDominationモードを追加します。他にもEliminationやCapture The Flagなどを検討中です。

——移動手段として現在ジェットパックとグラップリングフックが用意されていますが、これについて追加の予定は? それとも、これ以上増やすとゲームバランスを崩すと思われますか?

追加予定は特にありません。Skyfrontの最大の売りはポイント・アンド・ムーブの移動です。今のところ非常にうまくいっていて、とても嬉しいです。

——ゲームバランスの調整はどのように行っておられますか。このゲームならではの困難はありますか?

ゲームバランスの調整は試行錯誤の連続です。新しい武器を投入したら、プレイヤーからは「強すぎる」と非難囂々だったこともあります。ですが、それはそれで一つの成果なんです。コミュニティのフィードバックは武器や特殊能力のバランスをとるうえで、かけがえのない価値があります。 
今のところ、大きな方針変更を迫られるほどのことも起きていません。一部の武器が構造物に当たったときの跳ね返りや、壁を貫通する能力を多少調整した程度です。

——今後の開発方針について教えてください。「Skyfront」と同じような、あるいは違うタイプのゲームを作るプロジェクトはありますか。

今は「Skyfront」の正式ローンチに全力を挙げています。他にもかなり面白いVRゲームの構想をいくつか温めてはいるのですが、今のところお話しできる段階ではありません。年内には着手したいと考えています。

——Ivarさん、ありがとうございました!


「Skyfront VR」は現在ViveportおよびSteamで配信中です。


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