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VTuber 2019.12.07

自ら道を切り開くVTuber名取さな 2019年の歩みを振り返る

名取さな」と聞いて、あなたはまず何を思い浮かべますか? ピンクを基調としたナース姿? かわいらしくもたまにあざとい声? 驚くほどインターネットミームに詳しい言動?

あまりに印象的なエピソードが多いため、“せんせえ”(※名取さなさんのファン名)が抱く彼女へのイメージはさまざま。なかには「ただ話してるだけでかわいい……助かる……ありがとうな……名取……」と癒やされている人も少なくないでしょう。

バーチャルナースの名取さなさんは、2018年3月の活動開始以来、VTuber界隈の中でも独特な存在感を発揮し続けています。2019年に入ってからもその人気ぶりは衰えず、普段のYouTube配信はもちろん「ニコニコ超会議2019」や「VTuberおしゃべりフェス」「超人女子戦士 ガリベンガーV」など、多方面で活躍していました。

本記事では、そんな名取さなさんの2019年に投稿した動画&配信の中から、特に印象深かったものをピックアップ。彼女の歩みを振り返りながら紹介します。

17才だよ?!さなちゃん祭り

17歳だった名取さなさんが、めでたく17歳に! 記念すべき誕生日配信が、3月7日に行われました。17歳が……17歳に?

本人によれば、「名取的には、せんせえたちに『名取さな』という存在を初めて観測していただいた『17歳』という歳をとても大切にしたいので、歳はとったけど……17歳? ……に、するというのは、いかがでしょうか!」とのこと。

配信ではそのままケーキを食べて、クイズを楽しみ、バスでイチゴ狩りツアーへ出発。まさかの展開ですが、名取さなさんの配信ではこういったことがしばしば。視聴者を楽しませるために、手の込んだ企画を用意してくれるのです。

後部座席にヤンキーくんを、前方にサーナくんを乗せたバスの中では、カラオケタイムへ突入。「ちょっとー、せんせえー、勝手に曲入れるのやめてよー」「ちょっとー、こんな古い曲、歌えないよー」と前フリもそこそこに、名取さなさんが歌い出したのは『ハッピー☆マテリアル』(2005年)でした…!

それにしても、このナース、ノリノリである。間奏でボソッと口に出した「おいこの曲、オリコンで1位にしようず」って、完全に“知ってる”人の発言じゃないですかー!(参考:「アニメソングをチャート1位に」ネット運動勃発 – ITmedia NEWS

実はしゃべフェスで「名取のお歌、好きだから聞きたい!」という声をせんせえたちからもらっていたことが今回の企画のきっかけになったそう。ファン想いで、身近な友達のように話せるバーチャルナース。誕生日配信は、そんな彼女の魅力を再確認できました。前もって準備していたであろうオチも完璧でした。

はじめまして!3D名取さなです!!!!!!!!!

かわいい(説明不要)

せんせえたちに深々と頭を下げておでこをぶつけたり、豊満なバディ(?)を見せつけたり、さえきやひろちゃん(パネル)の胸ぐらを掴んだり、ウッーウッーウマウマ(゚∀゚)したり、デンプシーロールしたり……全部がすばらしい。

そもそも3Dモデルは4月のニコニコ超会議で先行披露されました。当時は、普段特定のVTuberについてツイートしないようなせんせえたちまで、タイムラインで荒ぶり、涙するほどの盛り上がりようだったと記憶しています。

普段の2Dモデルも当然良いのですが、やはり立体的に「動く」彼女を見ると、可憐さが際立って感じられます……。「走馬灯が47分あるなら、俺はこの瞬間を選ぶ」とコメント欄で書いているせんせえに、強い共感を覚えました。

また「いろんな人に初めて頼った」と語り、協力してくれたクリエイターさんにも節々で感謝していました。彼女の生真面目さと誠実さが垣間見える配信として、記憶に残るお披露目です。

【Project Winter】えっ?名取また遭難するんですか?はい…。

普段からゲーム実況をしている名取さなさんですが、今年特に再生数が高かったのが「#V雪人狼」の企画です。8名のVTuberによるコラボ配信であり、Twitterでも話題となりました。

1戦目からトレーター(裏切り者・人狼)になった名取さなさんは、途中からソロで行動。罠を仕掛けるなど裏で暗躍しつつ、「さなちゃん、ボクだけ逃がしてくれないか」と訴えるピーナッツくんを無慈悲にも倒して、つよつよナースっぷりを発揮していました。

瀕死のピーナッツくんを殴りながら「おはようございナース♪ おはようございナース♪ 」と繰り返す様子は、完全にキマっていました……。「戦争はなぁ!正義と正義のぶつかり合いなんだよォ!」という名言も飛び出し、好戦的な衛生兵を思わせました。

2戦目もトレーターとなり、相棒の剣持刀也さんと2人でピーナッツくんを襲撃するも失敗。しかし、月ノ美兎さんをうまくおびき寄せて剣持さんに倒させたり、裏切り者であることがバレて逃げる直前に妨害工作を仕掛けたりと、見事な立ち回りを見せていました。

そして、念願叶ってのサバイバー(生存者)になった3戦目。

ウッキウキで脱出に協力していたものの、本間ひまわりさんと月ノ美兎さんのトレイター2人組と行動し、孤立したところを倒されてしまいます。月ノ美兎さんがトドメを刺す際に発した一言、「にじさんじへようこそ」という発言に対しては「任侠団体か!?」とコメント。「にじさんじには……ぜったい入らないぞ……今日決めた……名取は、何があっても、にじさんじには、頭を垂れないぞ……!」と、震え声で話していました。

ちなみに、2019年に配信していたゲーム実況では、『Moon』をはじめ、『Minecraft』Cooking Simulator』『Silver Chains』『TETRIS99』などでも、悲鳴&絶叫する彼女の姿が見られます。

さなのおうた。

最後にやはりこの曲は欠かせません! 名取さなさん初のオリジナルソング『さなのおうた。』。もともと、せんせえの1人が作曲したイメージソングが公式化したものです。 マウスコンピュータとのコラボレーション企画として、MVがつくられ、制作過程がわかるメイキングムービーも公開されています。

まっすぐに「すきだよ」と歌うアイドルソングであり、「名取さな」らしさが詰まっています。普段の配信を思い起こすチップチューンの音色と歌詞に、彼女自身のイラストも盛り込まれた愛らしいMV。「ってね!」のイラストがめっちゃかわいい。

歌って踊る彼女の姿を目の当たりにして、ただそれだけで感極まってしまったせんせえも少なくないはず。ちなみに僕は、Cメロとその歌詞に泣かされてしまいました。VTuberが「うまれてきてよかった」と歌うのはエモすぎるよ……。

自ら道を切り開く、ば〜ちゃるな〜す

これまで紹介したように、配信ごとにさまざまな表情を見せる名取さなさんですが、もうひとつ彼女の魅力を示す表現として「これだ!」と感じたものがあります。『VティークVol.2』に掲載された「出張!さなねる診療所」の中で因幡はねるさんが話していた、次のコメントです。

「さなちゃんを見てさ、オーディションとか落ちても、頑張ってやってみればこんぐらい見返せれるんだって勇気づけられる人は絶対いると思う。さなちゃんは道を切り開く側だよね」(『VティークVol.2』P.55より)

この「道を切り開く側」という言葉からは、何事も単身で挑戦し続けた彼女の歩みが思い浮かばれます。過去にじさんじのオーディションに2回落選し、それでもVTuberをやりたいからと、すべてを自分で準備して、個人として活動を開始した名取さなさん。暗中模索しながら、自分だけが歩める道を見つけ、今やチャンネル登録者数17万を超える人気VTuberになっています。

配信も、企画も、企業案件も、イラストも、デザインも、すべてをほぼ自分1人でこなすのはとてつもなく大変なはず。しかし、それをおくびにも出さず、今もコンスタントに活動を続けている。はねるさんの言葉に応じて「お手本になれる強いVの者になりたいね」と話す名取さなさんの言葉からは、バーチャル活動を楽しもうとする熱量の高さと、たくましさを感じられました。

そんな彼女を想像しながら、あらためて『さなのおうた。』を聴くと、最後の歌詞「わたしここまでこれたよ 本当にありがとう」が胸を熱くしてくれます。

彼女の語る“ここ”が、いつも楽しくてあたたかな場所でありますように。そして、彼女の歩むその先に、もっともっと素敵な世界が待っていますようにと、そう願わずにはいられません。

執筆:けいろー


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