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にじさんじ 2022.04.21

「にじさんじ」苦境の中での挑戦と拡大 事業統括プロデューサーが舞台裏を語る

2021年下半期も、新ユニット「ROF-MAO」のデビューや、年末年始の多種多様なイベント開催など、「にじさんじ」の活躍は続いています。しかし、2022年1月に開催予定だった4周年記念ライブ「FANTASIA」が開催中止。公式番組のいくつかは収録を停止するなど、新型コロナウィルスの感染拡大によって苦境が続いていました。

一方、4周年記念企画として日本各地で「ライバーが歩く」映像広告が公開されたり、往年の名番組「にじさんじのくじじゅうじ」が復活したりと、ファンを喜ばせる企画を続々と展開。3月半ばには新人3名のデビューも発表されるなど、苦境の中でも新展開が途切れることはありません。

今回、MoguLiveはANYCOLOR株式会社の国内VTuber事業統括プロデューサー鈴木貴都氏と、同社の技術スタッフである古藤氏にインタビュー。激動ともいえる最近の動向を振り返りながら、舞台裏ではなにが起こっていたかを語っていただきました。

長年準備した「FANTASIA」の中止。その裏でなにが起きていたのか

――まずは、残念ながら中止になってしまった「FANTASIA」についておうかがいします。このイベントの開催経緯や、率直な感想やお気持ちをお聞かせください。


(「FANTASIA」2月17日・18日に開催予定だった大規模音楽イベント)

鈴木:
そもそもこの「FANTASIA」は「共通のステージ衣装で立つライバーを見てほしい」という理由で開催を決定していました。にじさんじは所属タレントの多さから、一人ひとりに合わせた共通衣装を作成するコストが高く、当初は本当にやるべきか迷っていました。

しかし、シンプルなスタイルでの音楽イベントはすでに各所で開催していたのでインパクトに欠けてしまう。そこで「(観客の皆さんにとっての)新しい驚きとは何か?」を考えていくうちに、「ステージ衣装での集合ライブだろう」という結論に至りました。

――かなり大掛かりなプロジェクトだと思いますが、どれくらいの期間をかけて進めていたのでしょう?

鈴木:
2020年の年末には進行が始まっていました。そして話を進めている途中にも「“LIGHT UP TONES”」などが開催されていて、それも乗り越えてなんとかギリギリ間に合いそうだ……という状態にまで持っていけました。

――しかし、新型コロナウィルス感染症の拡大に伴い、残念ながら中止になってしまったと。

鈴木:
長い期間かけて準備していたものだったので、悔しいという気持ちが強かったですね。今回は通常のライブとは違い、AR演出や「ライバーカメラ(※)」などを現地で検証する必要があったので、仕込み日を水木金の3日間で設けていました。普通のイベントだと仕込み日は1日、あっても2日なので「FANTASIA」は特殊なケースでした。

(※ライバーカメラ:「FANTASIA」にて導入予定だった、特定のライバーにフォーカスした映像を楽しめる配信向けシステム)

――DAY2の開催中止が発表されたのは、1月20日(木)でしたね。

鈴木:
(出演者の)感染が最初に発覚したのが水曜日で、すでに興行が始まっている状態だったんですよ。スタッフや関係者はすでに動いていて、機材ももう会場に運び込んでいて、施工もすべて完了している。なのですべてキャンセルができない……心理的にもですが、金銭的なダメージもすごく大きかったですね。

――話を聞くだけで血の気が引きそうです……。

鈴木:
まぁ、前回のARライブの際にも、開始前日の夜までトラブルが起きていたりして、こういう事態に慣れてはいます(笑)。会期が一週間早ければ開催できたと思いますし、逆に一週間遅れていれば事前中止という判断もできたはずなので、本当にタイミングが悪かったですね。とはいえ、嘆いていても仕方ないですし、結果こうなったと言うほかないです。

――開催中止の発表に、ライバーだけでなくファンの方々からも「残念だ」という声が上がっていたと思いますが、同時に「リベンジ公演」の話も上がっていると思います。実際、いまは「リベンジ公演」の開催は考えているのでしょうか?

鈴木:
過去に「東京リベンジ公演(※)」を実施していることもあり、「ANYCOLORならばやってくれるだろう」と期待してもらえているのはありがたいです。

(※東京リベンジ公演:新型コロナウィルスの拡大によって開催中止となった、「にじさんじ JAPAN TOUR 2020 Shout in the Rainbow!東京公演」を、「にじさんじ Anniversary Festival 2021」にて、2020年に出演予定だったメンバーであらためて実施した公演のこと)

鈴木:
ただ「開催したとして、中止になった分まで(費用を)回収できるのか?」という問題があるので、商業的には正直厳しいです。けれども、皆さんの期待に応えるべくがんばっています。おおかた調整はついたのですが、会場のキャパシティは小さくなってしまうので、返金まわりで大きく悩むことになりました。

もともと、カバーアルバム「Reflexion」の特典から抽選申し込みができたのですが、昨今の情勢から当選後にリセール(※公認でのチケット転売サービス)に出された方もいらっしゃったので、そうした方も含めてどうすれば最大限ケアができるだろうかと、1ヶ月ほど調整していました。システム等さまざまな制約があり、すべての方の希望にお答えすることが出来ず、ファンの皆さまにはご迷惑をおかけしてしまいました。

――非常に難しい判断が求められたと思います。この情勢下ということもありますが、リアルイベントの開催はほんとうに難しいですね。

鈴木:
実際、リアルイベントを開催するのは「お金儲けができるから」といった安直な理由ではないです。そもそもイベント単体で利益を出すというのは非常に難しく、グッズの販売も合わせてなんとか(回収する)、という考え方が今のエンタメ業界では基本かと思います。

それでも何故イベントをやるかと言えば、「楽しいから」というのもありますし、なにより「人前に立つ」ということをライバーたちに経験させたいからという思いが強くあります。ふだんは応援してくれているお客様の規模をテキストで表示される人数でしか推し量れない部分がありますが、ライブの表舞台であれば「1人ひとりが自分のために来てくれている」様子を直接見ることができるんです。

それに、10,000人に配信を見られるよりも、自分の目の前に生身の人間が1,000人いるほうが緊張すると思うんです。その経験が人間的な成長や、タレントやエンターテイナーとしてのキャパシティを広げるのに繋がると信じていますし、そういった瞬間を実際に何度も見てきています。

ライバーがこの姿で生きていると知ってもらうために

――年末ライブや「にじさんじのくじじゅうじ(※)」の限定復活、4周年記念広告の出稿など、12月年末~2月は大型の企画が相次いでいましたが、下半期から2022年はじめまでのANYCOLOR社は、その舞台裏でどのように動いていたのでしょうか? 全体的な流れをお聞かせください。

(※にじさんじのくじじゅうじ:2018年〜2019年に「ABEMA TV」にて放送されていた、にじさんじ公式番組。お笑い芸人のタイムマシーン3号をMCに招き、当時としてはめずらしい「VTuberの外ロケ」などの体当たり企画を実施し、話題となった)

鈴木:
2月はやはり周年月ということもあって、いろいろなコンテンツを出していきたいと思っていました。「2022年はなにをやるか」を考えた時に、最初に出たのが「にじさんじのくじじゅうじ」の限定復活だったんですよね。

弊社のスタジオの性能も上がったこともあり、アップグレードした姿を見せることが、昔から応援してくださっているファンの人たちにできる最大限の恩返しといいますか、我々からのサプライズになるかなと思い、仕込みを進めていました。

――実際、映像を見るだけでもかなりのアップグレードがあったなと一目でわかりました。収録はANYCOLORのスタジオにて実施したのでしょうか?

鈴木:
はい、弊社スタジオで収録しました。ABEMAさんや当時の制作会社さんにご尽力いただき、当時のアセット(※画像や3Dモデルなどのデータのセット)をそのまま使えたのは大きかったですね。ちなみにオープニング映像も撮り直していて「昔持っていた精神は忘れていない」ということをしっかりと示せたと思います。それから、うちも外ロケには慣れてきたなぁとは感じました(笑)。

――広告についてはいかがでしょうか? 4周年記念広告は渋谷駅、大阪梅田駅、名古屋駅、札幌駅に同時展開されましたが、それ以上に「ライバーたちが歩く」という映像広告となっており、大きな話題になっていたと思います。

鈴木:
今年度に入ってから弊社も広告を打ち出すようになっていて、ボードやビジョン広告などいろいろなところでやっていました。そんな中でも2月は大きなことをしたいと思っていたんです。

我々のVTuberに対する思想として「ライバーがこの姿で現実世界に存在するよう認知してもらいたい」というのがあって、その思想を上手く示せる広告とはなにかなと考えた時に出たのが「歩く広告」でした。

ライバーを等身大サイズで映して、道行く人たちに「この姿のまま、こう生きているんですよ」と示すことができたと思っています。

――実際、広告の評判はとてもよかったと思います。一時期のTwitterは「こんなの流れてた!」と多くの人が触れていたように見受けられたのですが、手応えはいかがでしたか?

鈴木:
手応えはかなりありました! ファンの人も楽しめるし、そうじゃない人の目にも留まったという意味では、広告が持つ意義をフルに発揮できたのかなと思います。

――にじさんじのことを知らない方々が、あの映像広告を撮影していたツイートも見られましたね。「STYLY(※)」を使って記念映像を表示できるという企画も話題になり、実際に試す方もかなりいらっしゃったようです。こちらはどのような経緯で実施されたのでしょうか?

STYLY:VR/ARコンテンツ制作や閲覧ができるサービス。Twitterで公開された記念ロゴを「STYLY」で読み込むと、にじさんじ4周年スペシャルムービーの名古屋ver)が楽しめる、という施策が実施された)

鈴木:
当初の目的は「密を避ける」というものでした。結果として、いろいろな人に楽しんでいただけたのはよかったですね。とはいえSTYLYさんも初日はサーバーが落ちてしまって。我々もサーバー負荷に対する準備は十分しているつもりですが、やっぱりファンの方々の熱量には負けることがありまして……ありがたい話ではあるのですが、反省点です。

――映像広告の収録はどのように行ったのでしょうか? すでに月ノ美兎さんが配信で「かなり思い思いに収録した」と話されていますが、実際どのように収録されたのか裏話をうかがってもよろしいでしょうか?

古藤:
全部話せるほど立ち会ってはいないのですが、示し合わせたものではなく、自分をPRするような思い思いの動きをしてもらっています。その上でたまたま、剣持(刀也)さんと月ノ(美兎)さんの動きがハマっていて(※)。「組み合わせたらいいんじゃないか」っていう話になったんですよね。

(※映像広告のなかで、剣持刀也さんが逃げ、月ノ美兎さんが追いかけるといったシーンが見られたが、これはお互いに示し合って収録されたものではなく、別々に収録したものを編集で重ねたとのこと)

鈴木:
収録やその後の映像制作は大勢の人が関わっていたので大変でした。ただ、その全ての工程を社内人員で対応できたので、社内で知見を蓄積することができました。あの渋谷の広告ビジョンは30メートルほどあったのですが、ファンの方の反応を見ていると「どうやってあのサイズのものを収録したんだ?」と不思議に思われている方が多かったなと思います。

――一辺あたり30メートルもあるスタジオとなると、かなりの規模ですよね……。

鈴木:
ちょっと話は変わってしまうのですが、2021年の10月にぴあアリーナMMで開催した「NIJIROCK NEXT BEAT(※)」と「initial step in NIJISANJI(※)」は、出演者が動けるエリアの全長が40メートル近くあったんですよ。

(※NIJIROCK NEXT BEAT:2021年10月30日開催の音楽ライブ。コラボ企画「にじロック」をライブイベント化したもので、生バンド演奏とともに出演者がライブパフォーマンスを披露した)

(※initial step in NIJISANJI:2021年10月31日開催の音楽ライブ。にじさんじ1期生8名が全員3Dで出演した)

イベントをご覧になっていた方は分かると思うのですが、出演者がサイドのモニターに移動するシーンが多くあったんです。イベント会場にあのサイズのモーションキャプチャエリアを作っていて、実際にそのエリアを自由に動いてもらっていたんです。

この2イベントや「“LIGHT UP TONES”」の際に使用した仮設スタジオは、「VICON V16」を約100台設置しています。

――1台数百万円するはずの「VICON」が100台とは相当な規模ですね。

鈴木:
我ながら「ホントか?」って思うくらいです。でも、やれるだけのことを全力でやった方がおもしろくなるんですよね。
これだけの台数の「VICON」を用いて、リアルタイムでモーションキャプチャーとレンダリングを実施する会社はなかなか無いのでは、と思います。ライブなどのイベントでモーションキャプチャーをやっている社員と社内スタジオで配信を担当している社員は同じですので、圧倒的な経験値を積んでいると言えますね。

――ちなみに、今の社内スタジオの稼働(※取材は2月末に実施)は大丈夫なのでしょうか? 「にじさんじのB級バラエティ(仮)」が収録できない、という話が出ていたかと思うのですが。

鈴木:
スタジオについては、2月上旬から運用を止めていました。2月27日のChroNoiRのライブ(「ChroNoiR Winter Live -旅の終着点-」)から運用を再開する予定です。ひとつトピックを挙げると、運用を止めていた間に3Dスタジオを増設しました。

――3Dスタジオがさらに増えると。

鈴木:
「週7で365日稼働しても足りない」という状態だったので、光学式モーションキャプチャーのスタジオをひとつ増設しました。かなりの金額はかかりましたが、視聴者の方々からしても、ライバーからしても必要だと思うので、設備投資は惜しまず続けたいですし、スタジオのスタッフ採用も進めていく予定です。

「ROF-MAO」デビューに込めた「にじさんじの間口を広げる」という熱意

――半年前のインタビューから現在までのにじさんじの動きで印象的なのが「ROF-MAO」(※)の活躍です。どういった企画から彼らのグループ活動がはじまり、現在のような番組フォーマットになったのかお聞かせください。

(※ROF-MAO:2021年10月に結成された、加賀美ハヤト剣持刀也不破湊甲斐田晴で構成される男性ユニット。4人が無人島で生活するという企画動画を経てユニット結成が発表されるという、衝撃的なデビューを果たした)

鈴木:
「ROF-MAO」は、性別に関係なく多くのファンから人気の出るグループにしたいという思いで結成しました。なので、かっこいいパフォーマンスだけでなく、男性ファンの目にも留まりやすい体当たり企画もできそうなメンバーを選出しています。

ROF-MAOは「体を張ってなんでもやります、見た目だけじゃないカッコよさ」というキャッチコピーを掲げているのですが、アイドル要素が強くなりすぎないよう、バランス取りにはかなり神経を使っています。他社所属のVTuberさんや一般のタレントさんと比べても、そこを狙いにいけるのが我々の強みだと思ったので、そこを伸ばそうと。なので、無人島企画を実施しました。

――鈴木さんも含めてみなさんで行かれたんですか?

鈴木:
「本当に行ったのか?」「声だけあとで付けているんじゃないか?」なんて言われましたけど、本当に行きましたし、大変でした(笑)。

――「大変」なんてものではないと思います。実際、あの動画には私たちも大きな衝撃を受けました。

鈴木:
社内会議で話題に出たとき、これしかないよね、と満場一致で決定しました。実際かなり目立つ動画になったのでデビュープロモーションとしては成功したかなと感じています。ちなみに「ろふまお塾」(※)は、「にじさんじのくじじゅうじ」や「ヤシロ&ササキのレバガチャダイパン」と同じチームなので、VTuberロケにおいて守らなければならない当たり前のことを何も言わずともしっかりやってくれます。

(※ろふまお塾:「ROF-MAO」公式番組。メンバー4名が、毎回体当たりのチャレンジを実施するバラエティ番組。毎週木曜夜10時、「ROF-MAO」YouTubeチャンネルにて更新)

――たしかに、番組のテイストも共通するところはありますね。なにより、とてもリッチな番組づくりをされている印象があります。公式番組が続々と増えていますよね。

鈴木:
番組はライバー個人では取り組みづらいことなので、会社として注力すべきことだと認識し、取り組んでいます。弊社の中でもノウハウが蓄積されてきたなと感じます。ちなみに番組は、4月までに増える(※)予定です。

(※インタビュー実施後、3月14日に「ChroNoiR」公式番組「くろのわーるがなんかやる」がスタートしている)

――これからも番組が増えるのですか?

鈴木:
番組の企画自体はいくつも出ているので、バランスを調整しつつ、といったところでしょうか。番組のいいところは撮り貯めができるところなんです。「ろふまお塾」も10月に収録したものでだいぶ食いつないでました。コロナ禍のような状態で収録不能になった際にコンテンツが途切れるのを防げるので、ある種のリスクヘッジにもなっています。

――「にじくじ」復活の時にも思ったのですが、番組自体の人気も高い印象があります。実際に手応えはありますか?

鈴木:
そうですね。ありがたいことに、多くの方に観ていただけているなと。ただ、もう少し上を目指せると思っており、プロモーションなどは今後の課題ですね。生配信よりも動画のほうが尺も短く後から追いかけやすいので、入口としても良いかと思っています。

ハードルの低い入口を多く提供することで、新規のファンの方々だけでなく、周囲に広めたいと考えてくださっている既存ファンの方々にもプラスになるかと考えています。

自分たちでコンテンツを生み出していけるように。2022年の展望を聞く

――今後の新しい取り組みなどあれば教えて下さい。

鈴木:
新しい取り組みでいうと、「バーチャル・タレント・アカデミー」の1期生が春にデビューする見通しで、2期生もオーディションを実施中です。NIJISANJI ENも先日「Noctyx」がデビューしましたし、タレントの新規デビューは今後も続く予定です。

(※バーチャル・タレント・アカデミー:2021年6月に発足された、ANYCOLOR株式会社運営のタレント育成プロジェクト。同年11月にはアカデミー1期生9名が発表され、2022年3月16日にはこの1期生より3名が、にじさんじ新ユニット「Ranunculus」としてデビューしている)

鈴木:
直近では来栖(夏芽)さんが書いたライトノベル(※)が刊行されましたが、今後も本人たちのやりたいことを叶える機会を作れればと思いますね。

(※『人外教室の人間嫌い教師 ヒトマ先生、私たちに人間を教えてくれますか……?』著:来栖夏芽 イラスト:泉彩/株式会社KADOKAWA刊:© 2022 ANYCOLOR, Inc.)

――体感ベースではあるのですが、にじさんじではライバー本人の夢が叶うという場面が、昨年の下半期から特に増えている印象です。

鈴木:
弊社も社員が増えてきて、できることが以前よりも増えました。そして、できることが増えて、1〜2年前の目標を叶えられたことで、「じゃあ新しい夢はなんだろう」と考えているフェーズに入っているのではないかと思います。

――たしかにライバーさんたちも、これから先のことについて考えるような場面が増えている印象です。

鈴木:
ただ、今はコロナが流行っていることもあり、「充電期間」として配信に専念して、新しいファンを増やしたり、ずっと応援してくれているファンのためにコンテンツを届けているライバーが多いのかなと思います。

――2022年の目標はどういったものでしょうか?

鈴木:
コンテンツ制作力を強化していかねば、と思っています。今年度から、音楽まわりでは楽曲制作ディレクターの採用を強化しており、より良い楽曲を作れる体制構築を進めています。

番組制作も内製化をより進めるべく、ディレクターを中心に採用を進めています。自社で制作できたほうが番組作りを作る上でのルールや作法は徹底しやすいですし、クオリティにこだわることができるので。

――実際、内部で積み重なっていった技術や経験がコンテンツに反映されていくような過程を見てきていたので、今後の成長が楽しみです。

鈴木:
これは私の持論ですが、魅力的なコンテンツを生み出している企業は自社内で完結するほどの制作能力を持っている傾向にあると思うので、今後も「最後の1秒までこだわれる体制」を作っていきたいですね。

――ありがとうございました。今後の展開に期待しております。

執筆:浅田カズラ
編集:ゆりいか


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