4月18日(火)株式会社Nianticと、大手ゲーム企業CAPCOMが共同で「MONSTER HUNTER NOW」を発表した。あの「ポケモンGO」で知られるNiantic主導による新しい「モンスターハンター」シリーズということで、SNSでも大きな話題を集めている。
ゲームの内容は「ポケモンGO」「ピクミンブルーム」などと同様で、現実の地図とゲームのフィールドが同期しており、プレイヤーの現実の「移動」が、ゲームにアクションとして反映される、いわゆる「位置情報ゲーム」というジャンルのものだ。
今回の「MONSTER HUNTER NOW」では、現実世界と「モンスターハンター」の世界とが融合しており、通勤中や通学中などにスマートフォンを開いて、モンスターを気軽に“ひと狩り”するといった体験ができる。もちろん、これまでの「モンスターハンター」シリーズに登場した人気モンスターたちは多数登場。武器やアイテムも基本的に原作を踏襲したものとなっている。
ユーザーにとって気になることと言えば、やはり「『ポケモンGO』とはどのように違うのか?」だろう。今回、屋外での先行プレイを体験してきたので、著者の気づいたことを中心に、その違いをまとめていく。
予想以上に本格的な狩り、部位破壊や武器ごとの特殊技も再現
今作のメイン要素となる戦闘(狩り)を体験して感じたのは、予想以上に原作を踏襲したアクションゲームに仕上がっているところだ。基本操作はスマホのフリックとタップで完結するのだが、モンスターの動きをよく見て攻撃を避けたり、隙をついて武器を振るったりといったリアルタイムのアクションが重要となっている。
敵の特定の部位にフォーカスして、そのポイントのみを積極的に攻撃する、いわゆる「部位破壊」も可能で、これもシリーズファンには嬉しいところだろう。さらに、武器についても、それぞれによって使い心地が大きく異なっている。
戦闘中に攻撃を続けていると、大技を放つアクションが解放されるのだが、一度鞘に太刀の刀身を収めて一気に力を放つ居合系の技もあれば、両手剣でとにかく攻撃を連続で当てるといった技もある。敵の種類によって武器との相性の良さも変わってくるため、事前に装備を考えるのもゲームで必要なプロセスとなっている。こういったところもシリーズの特徴をうまく反映させている。
「ポケモンGO」は、出現するポケモンに対してボールを投げるというシンプルなワンアクションを繰り返しつつ、より多くの種類をゲットすることが大きな特徴となっているが、「MONSTER HUNTER NOW」の場合は、一戦一戦で可能な動作がとても多い。そのため、こまめに移動しながら遊ぶよりも、ひとつの場所に留まってじっくり戦闘に集中したほうが良さそうだ。ちなみに、ジャイロ機能をオンにして、スマートフォンを横にすると、「モンスターハンター」シリーズを遊んでいるときの構図とかなり近くなるので、おすすめしておきたい。
余裕がなければ、ひとまずペイントボールを投げるのもアリ
一戦一戦をこなす上で、かなり重要になってきそうな要素は「制限時間」だ。会見での情報によれば、ひとつの戦闘は最大75秒で、それまでに敵を完全に倒しきらなければ失敗となってしまう。そのためプレイヤーは、よりモンスターにダメージを与える効率的な動きを組み立てなければならない。さながら、タイムアタックに挑戦しているような緊張感があり、戦闘にメリハリを出している。こういった点は「ポケモンGO」のレイドバトルを体験しているときの感覚に近かった。
大きな違いは「ペイントボール」というアイテムの有無だろう。今作では、その場で倒しきれないと思った敵には、ひとまず「ペイントボール」というアイテムを使って、モンスターに目印をつけておき、自分の好きな場所、好きなタイミングで挑戦できる。「ポケモンGO」では(「リモートレイドパス」を使った戦闘など、いくつかの例外はあるものの)基本的にゲーム内のアクションは特定のスポットでのみ有効となっているが、「MONSTER HUNTER NOW」では、外出して目ぼしいモンスターにペイントボールを使って、自宅に戻ってから倒すといった自由さがある。
これは、おそらく戦闘を屋外でしっかり遊べないタイミングでレアなモンスターに遭遇してしまったユーザーに対しての救済策でもあるのだろう。もちろん基本的には屋外へ出て遊ぶことが推奨されているゲームシステムではあるが、自分のプレイスタイルに合わせやすい設計と言えるかもしれない。
マルチプレイならではの楽しさもしっかり再現
ゲーム内のアイテムは金銭で購入したり、モンスターを倒したり、フィールドに点在する特定のスポットから採取したりで入手可能だ。素材を集め、武器や防具を強化し、より自分好みのプレイができるように成長させていく。当然、自分が成長するほどにモンスターを効率的に狩りやすくなり、より強大な個体とも渡り合えるようになる。
しかし、どうやら今作では一人で立ち向かうには厄介なモンスターも出現する。そういったときにマルチプレイを利用するのが良さそうだ。マルチプレイをする際は倒したい敵を指定して、一緒に倒してくれる協力者が集まるまで待機する(最大4名)。フレンドだけでなく、知らないユーザーともマッチングして強大な敵を倒せるのがポイントで、(「モンスターハンター」シリーズでのマルチプレイの多くがそうであるように)ゲーム体験を通じて様々な人と交流できるというところが魅力として強調されているようだ。
マルチプレイは、先ほど少し触れた「ポケモンGO」のレイドバトルにもある要素ではあるが、個人的には「MONSTER HUNTER NOW」の方が「他プレイヤーと一緒に協力して戦っている」という感覚が強かったと思う。なぜなら、戦闘中に他プレイヤーの姿はもちろんのこと、どんなアクションを放ったかなどが分かりやすく派手に演出で表示されるためだ。今回の先行体験は、ランダムに選出された4名と一緒に戦闘に挑み、結果として★3相当のモンスターを倒すことができた。このときに「一緒にやり遂げた!」という感覚がはっきりとあったことは書き記しておきたい。
「モンスターハンター」と位置情報ゲームの相性は?
先行体験のプレイはあくまでベータテスト版であり、本リリース時には、さまざまな仕様が変わっている可能性もあるが、ひと通り遊んでみて、「モンスターハンター」シリーズの特徴をうまく位置情報ゲームに落とし込んでいるように感じられた。特に戦闘の面白さはこれまでの位置情報ゲームにはあまり見られないタイプのものなので、それだけで他ゲームとの大きな違いと言えるだろう。
今回は詳しく確かめられなかったが、フィールドごとに出現するモンスターやアイテムなどにも違いがあるらしく、どういったエリアにどのようなモンスターが潜んでいるのかを確かめるべく、現実世界を探索する体験は、ハンターが狩りに向かうときと似た高揚感があると言えるかもしれない。
Niantic創業者のCEOジョン・ハンケ氏は、今回の「モンスターハンター」の位置情報ゲームの構想は、「自分の息子がゲーム機を壊しそうになるほどモンスターハンターに夢中だったこと」「日本の社員がカプコンのゲームの素晴らしさを熱弁してくれたこと」が、そもそものきっかけになったそうだ。記者会見では、「シリーズをリスペクトした作品であるとともに、シリーズを知らなかった人にも素晴らしさが伝わる作品になっていると確信しています」とコメントしていた。
ちなみに「モンスターハンター」シリーズプロデューサーの辻本良三氏に企画を持ち掛けた際は、たったの5分ほどで提案がまとまったと言う。辻本氏によれば、以前から「モンスターハンター」シリーズの位置情報ゲーム化という要望が多数のプレイヤーに寄せられており、実現できるのであれば、技術の蓄積があり、グローバル展開を得意とするNianticと共に動きたいと(実際の話が来る前から)考えていたそうだ。
正式リリースは9月だが、「MONSTER HUNTER NOW」は、より長期的にユーザーに遊んでもらうコンテンツを目指して、サービス開始後も継続的にモンスターや武器などを増やしていくそうだ。ゲームコンテンツが充実していくにつれて、より「モンスターハンターらしさ」も増していくはずである。ひとまず、クローズドベータテストに応募して、一体どのようなゲーム体験ができるのかを確かめてみると良いと思う。特に戦闘に関しては、予想以上のやり応えに驚かされるはずだ。
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