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IMAX、VR体験施設の展開に苦戦 すでに2ヶ所が閉鎖

映画館で知られるIMAXがVRコンテンツを提供する施設「IMAX VR」のうち、2ヶ所が閉鎖されたことが明らかになりました。今年6月末にニューヨーク、そして7月初旬に上海の施設がクローズされました。同社のVR事業に何が起こっているのでしょうか。

世界展開からの方針転換

IMAXのCEO、リチャード・L・ゲルフォンド氏がVR事業の苦戦について触れたのは、2018年第1四半期の収支報告でした。「観客の反応はとてもポジティブです。しかし来客数は十分ではありません」と述べています。そして当時世界に7ヶ所あったIMAX VRの中で、財務計画を達成しているのはわずか1ヶ所だと打ち明けました。

またCFOのPatrick S. McClymont氏は、残る5ヶ所の閉鎖すらほのめかしています。同氏は第2四半期の収支報告で「新事業のコストダウンを継続するために、今後数ヶ月でVRシアターについての決断を行う」と述べています。

IMAXが最初にVR体験施設をオープンしたのは2017年1月。同社の広報担当はこのことについて、「全世界に展開できる施設なのか判断するための、トライアルだった」「(IMAX VRは)まだレビュー段階にある」としています。
これは確かに事実ですが、一方で同社は世界各地への施設展開を計画。昨夏にも、「確実なスタートを切っている」と公表していました。

課題1:VRコンテンツの確保

ではその後、どのような方針転換があったのでしょうか?市場関係者の話では、IMAXは観客を呼び込むのに必要なVRコンテンツを揃えるのに苦戦していたとのこと。解決策として5,000万ドル規模のファンドを設けましたが、これまでにVRコンテンツ制作に投じた資金は400万ドルにとどまるということです。

この資金で制作したのが、アメリカン・コミックスのスーパーヒーローチームこと「ジャスティス・リーグ」のコンテンツ、「ジャスティス・リーグ VR(Justice League VR)」でした。しかし昨年11月にIMAX VRで公開された後、わずか2週間後にはSteamなどでリリースされ、家庭でも手軽に楽しめるようになってしまいました。

課題2:家庭用ヘッドセットの差別化

家庭用VRヘッドセットとの競合が、もう1つの問題点です。IMAX VRは当初、ヘッドセットを持たないユーザーにVRを体験してもらう、という目的でオープンしました。現在IMAX VRで体験できるコンテンツは、全て家庭でも体験が可能なものです。

IMAXはモーションチェアーや広視野角が特徴のヘッドセットStarVRを用意するなど、施設ならではの体験を打ち出そうとしました。しかしわざわざ料金を払ってまで体験したい、と思わせるような差別化は、難しかったようです。

この対策としてセット料金を用意したり、今年はじめには1DAYパスを導入するなどの試みを行いました。ところが関係者によると、大手スタジオの反対を受け、対象コンテンツを減らすなどの対応に追われたとのこと。

映画館への観客誘導効果は?

また他にも、映画館とVRの組み合わせ、という考え方が現実にうまくいくのか、という疑問もあります。IMAX VRの狙いの1つは、VR体験によって若年層の観客を映画館に呼び戻そう、というものです。この計画が予定通りに運んでいない場合、IMAXにとってVR事業を続ける意義が薄れてきます。

8月現在、IMAX VRの施設はロサンゼルス、マンハッタン、トロント、マンチェスター、バンコクの5ヶ所となっています。

施設型VRに関しては、全体が落ち込んでいるかというとそうではなく、The Voidが展開を進めるスター・ウォーズがテーマの「Star Wars: Secrets of the Empire」は導入施設が増え続けているほか、日本のバンダイナムコエンターテインメントが展開する「VR ZONE」も国内外で人気となっています。

施設とコンテンツごとに早くも明暗が分かれている様相となっています。

(参考)Variety


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