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業界動向 2021.10.28

メタバースへ突き進むフェイスブックのカンファレンス「Connect 2021」朝2時から開催。注目の内容は?

日本時間2021年10月29日午前2時より、フェイスブックの年次開発者会議Connect 2021が開催されます。例年イベントの最初に行われる基調講演では、VRやARに関する大きな発表が多数行われますが、今年はひときわ“特別”なものになりそうです。

この「Connect」を2014年から追い続けている筆者が、過去の内容を振り返りつつ、今年はどのような発表が行われるのか予想してみました。

フェイスブックの「Connect 2021」とは?

フェイスブックの「Connect」は、2014年に「Oculus Connect」の名称で開催されて以降、毎年継続的に行われているイベントです。2020年には「Facebook Connect」に名称を変更、当初はVRが中心的なテーマでしたが徐々にAR/MR等の発表も増加し、フェイスブックによるXR分野への取り組みを示す総合発表会になっています。

■過去のFacebook Connect(Oculus Connect) 開催年・主な発表内容一覧

イベント名

開催年

主な発表

Oculus Connect

2014年

「Oculus Rift」製品版プロトタイプ「Crecent Bay」発表

Oculus Connect 2

2015年

ハンドコントローラー「Oculus Touch」の詳細が発表

Oculus Connect 3

2016年

一体型VRヘッドセットのプロトタイプ「Santa Cruz」発表 (※後の「Oculus Quest」)

Oculus Connect 4

2017年

199ドルの一体型VRヘッドセット「Oculus Go」発表

Oculus Connect 5

2018年

6DoFの一体型VRヘッドセット「Oculus Quest」発表

Oculus Connect 6

2019年

Oculus Questの新機能「Oculus Link」やハンドトラッキングなどを発表、「Facebook Horizon」発表

Facebook Connect

2020年

一体型VRヘッドセット「Oculus Quest 2」発表

2021年も告知の際こそ「Facebook Connect」でしたが、Webサイトトップの名称はいつの間にか「Connect」になりました(※他の箇所「Connect」のみの表記と「Facebook Connect」表記が混在している)

社名変更? 「メタバース」を軸にしてから初の発表会

フェイスブックは2014年、VRヘッドセットを開発していたOculusを買収。「VR/ARは次のコンピューティングプラットフォームになる」「10億人にVRを普及させるなど、XRを推進するにあたって数々のスローガンを力強く掲げてきました。

FacebookやInstagram等のSNSを運営する彼らの根源は「コミュニケーション」。そして、XRを通したコンピューティングプラットフォーム(ひいては、コミュニケーションプラットフォーム)として、にわかに話題となっているのが「メタバース」です。フェイスブックは2021年7月下旬にメタバースへの注力を発表、新部門を立ち上げるなど、非常に積極的な姿勢を見せています。

なおConnect直前の10月には「フェイスブックは、Connect 2021でメタバース構築に向けた社名変更を発表する」と米メディアThe Vergeが報道。個人情報保護や政治との関係など、米国を中心に多くの批判が続くフェイスブックですが、同社の“顔”として展開していたSNSの名称から、次世代のコミュニケーションの場である「メタバース」への社名変更を行うのは自然な流れでしょう。

果たしてConnect 2021で新社名が発表されるのか、そして彼らが新たな旗頭として立てるメタバースに関連したどのような発表が行われるのか――注目が集まるばかりです。

VRヘッドセットは新型発表?「Oculus Quest Pro」到来か

XRのイベントで最も盛り上がるのは、やはり新ハードウェアの発表です。フェイスブックは2021年初以来、一体型VRヘッドセット「Oculus Quest」シリーズの次世代モデルを開発中であることを様々な形でほのめかしてきました。ザッカーバーグ氏も、アイトラッキング(視線追跡)やフェイストラッキング(表情追跡)が搭載される可能性を示唆しています。

また既存デバイスのファームウェアに残された記述やリーク情報から、「Quest Pro」の名称、リングがなくなりRGBカメラを搭載した新型ハンドコントローラー全身トラッキング機能などの様々な情報が飛び交っています。

なお、フェイスブックの次期CTOであるアンドリュー・ボズワース氏は、新型デバイスは、2021年中には発売はしないと断言しています。本方針が継続しているかどうかは不明ですが、今回のConnect 2021で新デバイスが発表され、2022年上旬に発売される展開は十分ありえるでしょう。現にOculus GoやOculus Questはこのようなサイクルで発表・発売されています。

「Oculus Quest 2」のファクトデータ発表とアップデート

2020年10月に発売された「Oculus Quest 2」は、全世界ですでに500万台以上が売れていると推計されています。毎年フェイスブックは自社プラットフォームが好調なことを示すために、様々な統計・データを公開しており、今年も「売れたOculus系VRヘッドセットの台数」や「ゲーム・アプリの売上総額」などが発表される可能性は大いにありえます。

また、既存デバイスのアップデート発表も忘れてはいけません。既に無線でPCと接続できる「Oculus Air Link」やリフレッシュレート120Hzへの対応など、ロードマップで示されていた機能は相当数が実現していますが、新たな発表があるかもしれません。

さらにフェイスブックが自ら開発・展開しているアプリケーションやプラットフォームのアップデートも告知が行われるでしょう。VRシアターで音楽ライブなどを楽しめる「Oculus Venues」やVRミーティングツール「Horizon Workrooms」などのアップデート発表にも要注目です。

新作VRゲームの情報も

Connect 2021は開発者向けカンファレンスではあるものの、上述の通り、一般ユーザーに向けた情報発信も多数行われています。その筆頭のひとつが新作VRゲームの発表。Oculus Quest 2向けには大作「バイオハザード4」VR版が発売されたばかりですが、どのようなゲームが発表されるか期待したいところです。

未来がちょっと見えるかも。最新の研究開発の共有

Connnectの基調講演の華は新製品発表だけではありません。筆者が毎年楽しみにしているのは、R&D;部門のトップを務めるマイケル・エイブラッシュ氏によるXRの研究開発発表です。

例年、フェイスブックのVR/ARに関する研究開発の最前線をあらゆる角度から披露するこのパート。2020年はARグラス実現に必要なプラットフォーム構築・データ収集プロジェクト「Project Aria」の発表や、音や追加指など人間の知覚に関する研究、バーチャルヒューマンを思わせるリアルな外見のアバターに関する発表が行われました。今年もこのパートが行われることは間違いないでしょう。

「Connect 2021」基調講演は29日の午前2時から

駆け足で「Connect 2021」の内容を紹介・予想してきましたが、これはほんの一部に過ぎません。特に基調講演では、例年大量の新情報が明らかになります。開発者であればその後の各種講演も興味深いものが多くあるはず。英語の講演が大半を占めていますが、チェックしておくことで各種アプリケーションやハードウェアへの理解も深まることでしょう。

CEOのマーク・ザッカーバーグ氏みずから今年のConnectは特別なものになるだろう(This year’s Connect is going to be special)とコメントした「Connect 2021」。年1回のXR業界における一大イベントを楽しみましょう。

Connect 2021の基調講演は日本時間10月29日(金)午前2時から。Facebookで視聴可能です。


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