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VTuber 2023.05.03

AIとVTuber本人が対面でトークを展開!? 茨城県の挑戦的な試みを体験取材

4月29日、30日に幕張メッセで開催された「ニコニコ超会議 2023」は、多くの人が来場し、コロナ以前のような活気を感じられました。また、AIやVR技術を使用したブースが多数出展されていたのも印象的です。
中でも注目度が高かったのは茨城県ブース。茨城県公認VTuberの茨ひよりさんと、AI化した茨ひよりがトークをするという斬新な試みが行われていました。現地の模様をレポートします。

AI茨ひよりVS茨ひより!?


AI茨ひよりは、VTuber茨ひよりの外見に「ChatGPT」と連携したAI音声対話アバター「AI Avatar AOI」のシステムを組み込んだものです。このAIは、VRChatで開催された「バーチャルマーケット2022 Winter」で、企業ブースの接客対応NPCとして導入されたことで話題となり、無人会場での接客対応に利用できるという点で注目されています。


今回の「AI Avatar AOI」は、茨ひよりさん本人の話し方を再現しており、専門用語や固有名詞を高精度で認識する辞書登録機能を使って「茨城県」に特化した回答ができるのが大きな特徴と言えます。

茨ひよりさんと言えば、茨城県の魅力を動画で紹介する県公認のVTuberとして知られ、動画では、地元特産品を使った食品のレポートや、茨城県のあるあるネタを紹介しています。つまり「茨城県に絡めたネタ」をどれだけ話せるかが「茨ひよりらしさ」に繋がる大きなポイントと言えるでしょう。
実際に話しかけてみたところ、「いばらぎ県」と話すと「いばらき県だよ」とユーモアたっぷりの回答をしてくれたり、果物について聞いてみると「茨城県はメロンがたくさん取れる」と教えてくれたりしました。茨城県に関しては、かなり細かい部分まで詳しく回答してくれる印象です。

今回はそんなAI茨ひよりとVTuberの茨ひよりさんが対話するイベントも開催されました。はたして、モデル本人とAIが実際にトークしてみると、どうなってしまうのでしょうか……?
さっそく茨ひよりさんは、AI茨ひよりに質問してみることに。AI茨ひよりが「うーん、ちょっと待っててくださいね」と返事をすると、ご本人はその返答をそっくり真似ていました。その際、AIの返答と自分の返答が似ていることに驚いた様子でした。筆者も、AI茨ひよりの音声合成はかなり自然だと感じました。「ちょっと待っててくださいね」のような定形句は特にクオリティが高く、違和感がありません。まだ鋭意開発中だということを考えると、今後ますます再現度が高まることに期待が持てます。
以下の動画でも、会場の雰囲気を感じ取れるでしょう。

AIの回答に会場が拍手した理由とは?

中盤からは、茨ひよりさんとAI茨ひよりが、イベント参加者のお悩みに回答するコーナーに。まず、声優の金沢まいさんが「声優として9年目となった今、これからどうすればいいのか?」という人生相談を持ちかけました。
茨ひよりさんは「筑波山に登って、茨城県の絶景を見て落ち着けばいい」と、茨城県の知識を盛り込んだ答えを提案。対するAI茨ひよりは、これまで声優として仕事してきたことを褒め、不安だと思うことに共感を示したうえで、「刺激を受けるために茨城県のアンテナショップで働いてみたらいかがだろうか?」と提案しました。また「仕事をする上で何に熱中できるかしっかり決めた方がいい」というアドバイスも送りました。
そんな茨城県というトピックも絡めつつ「茨ひよりらしさ」も見せた予想外の回答に、会場は思わず拍手。茨ひよりさんも驚いていました。
他にも、イベント参加者からの「郷土料理をもっと知られてほしい」という質問に、両者とも「その美味しさをSNSで発信すればいい」と回答をする場面も。最後には「AI茨ひよりを『茨ひより』と名乗っていいのか?」という問いに対して、本人が許可を出したところで円満に終了しました。
個人的には、AI茨ひより側の人生相談の回答は非常に建設的な意見ではありましたが、もう少し「茨ひより」らしさを見たいという気持ちもありました。ただ、全体的にみると、キャラクターが大きく崩れることなく、個々の会話にも柔軟に様々な質問に答えていたため、AIもまた「茨ひより」と認めて良いという意見には同意できます。
VTuberとAIがコミュニケーションするというケースは、今回の茨ひよりさんだけでなく、さまざまなところで見られるようになりつつあります。おめがシスターズは、今年3月に新メンバーとしてAITuber「おめがちゃん」を発表し、個人チャンネルを開設。また、埼玉ギャルVTuber春日部つくしさんは、自身のモデルとして制作された「春日部つむぎAI」と対話してみるという動画を発表し、注目を集めました。また「ChatGPT」と音声合成ソフトとVRMモデルを組み合わせたトークアプリ「おしゃべりAI」といった新サービスも登場しており、「アバター×AI」という試みも増えつつあるのが現状です。




今回のように、キャラクター性を保持したままでリアルタイムでの返答のできるAIが増えていけば、観光案内や店頭サービスなど、さまざまなシーンでの活躍が見込めそうです。また面白いコミュニケーションをしてくれる「話し相手」という面でも、重要な存在になってくるかもしれません。

まずは、一度AIを搭載したアバターに、自分の質問や意見を投げかけてみませんか?


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