手持ちのスマートフォンで手軽にVR体験を楽しめるスマホVR。しかし、Amazonで検索をかけても、また家電量販店の店頭などでもあまりにも多くの種類のスマホ用のVRゴーグルが売られている状況。実際に体験すると1つ1つのデバイスごとに使用感などが異なります。
Mogura VR編集部ではデバイスを実際に一つ一つ検証し、レビューしていきます。
第18回は「400-MEDIVR3」。発売元はPC周辺機器メーカーとして知られるサンワサプライです。
箱には大きく「VR SHINECON」と印刷されています。実際、第2回で取り上げたVRゴーグルと雰囲気が似ています。
なお、今回はスマートフォンは「Xperia Z5 Premium」と「isai LGL22」を使用しました。また、筆者の視力は0.01の近視です。
400-MEDIVR3の内容物、組み立てまで
箱もきちんとデザインされており、箱の内容物も丁寧に格納されています。
日本語の説明書も付属します。
内容物は上の写真の通りです。これらが箱の中に入っていますので、組み立てて行きます。
まず、ヘッドホンを差し込んでいきます。ヘッドホンは、イヤーパッドが下になる向きで差し込みましょう。
最後に、ゴーグルの上部に、ヘッドバンドを差し込みます。これらも、全て説明書に図付きで紹介されているため、迷うことはないでしょう。
これで完成です。
400-MEDIVR3の特徴
ヘッドバンドの後ろ、後頭部にあたるところには、調節ねじがついています。これを右にまわすと締まり、左にまわすとヘッドバンドはゆるくなります。
また、ヘッドホンの付け根も伸び縮みするようになっているため、ゴーグルをかぶった後、簡単に自分の耳の位置に調整することができます。
スマートフォンの装着は、ゴーグル前面のカバーをあけて、専用の留め具でスマートフォンを挟み込む形になります。
ゴーグル前面中央部には突起があります。
ゴーグルの下部分にあるボタンを押すことで、この突起が伸び、スマートフォンをタップする動作をします。
では、ゴーグル下部分に移りましょう。
先ほど紹介した突起を押し出すボタンです。ゴーグルをかぶった際の左側にあたるところにボタンはあります。これを押すことで、スマホをタップすることができます。
スマートフォンの音量調節ボタン(上のボタンと下のボタン)と、再生・ストップボタン(中央のボタン)となります。これらはスマートフォンまたはアプリによっては使用できない可能性があります。今回使用したスマートフォンは2台とも音量調節ボタンが使用できることは確認しました。
ゴーグル上部に移ります。IPD(瞳孔間距離)の調節は可能で、写真中央の横向きになっているダイヤルで調節ができます。また、ピントの調節もできます。ピントは左右の目で異なって調節することができ、写真左右の縦向きのダイヤルで合わせます。
また、ゴーグル前面のパネルは外すことができるため、スマートフォンのカメラを使用するタイプのアプリケーションの使用もできます。
なお、筆者のメガネは入りませんでした。しかし、小さめのメガネなら使用することは可能です。
400-MEDIVR3の優れている点
視野は没入感を妨げるほど狭くはなく、スクリーンが浮かんでいるように見えることはありません。満足のいくほどの広さです。
ピントを調節すれば筆者のような近視でも裸眼でピントを合わせることができます。そのため、乱視などのためにメガネが必要という人でない場合は、メガネが入るかどうかを気にしなくてもいいでしょう。
そして、このゴーグル一番の特徴であるヘッドホンは、簡単に装着することができる上に、音質も普通で、一体型VRゴーグルでありがちな気になるほどの音質の低さを感じませんでした。スマートフォンでVRアプリや、360度動画をVRで視聴する分には申し分がないと判断しました。
音量ダイヤルも使いやすく、「ちょっと音小さいな」と思ったときに、すっと操作できるためとても便利です。
400-MEDIVR3の悪い点
このゴーグルは、ヘッドバンドのおかげで、頭にしっかり固定できるかのように見えます。しかし、実際に使用すると、ヘッドバンドの固定はそれほどしっかりしていないため、ぐらぐらします。ただし、この点に関しては、説明書に「使用する場合はヘッドバンドまたは本体を手でもって使用してください」と書かれているため、元から固定するようにはできていないようです。
次に、アプリケーションとスマートフォンによってはヘッドホンの使用が物理的に難しいという点です。
というのも、このゴーグル、ヘッドホンに繋がっているミニプラグが、正面からみて左側にあります。
スマホ用VRアプリは画面が左に回転する形で横向きになるよう固定されます(下の写真のように、上にあるロゴが左にくるように端末を横向きに回転させる形になります)
そのため、ヘッドホン端子が端末の上部についているスマホでは、ヘッドホンのプラグがとても差しにくい状態になります。
筆者の「Xperia Z5 Premium」は、この状態になると、なかなかヘッドホンプラグを認識してくれませんでした。そればかりか、伸びたプラグのコードは、VRを体験する際の視界にも入り、邪魔をします。
端末の下部にヘッドホン端子があるスマホ(筆者の手持ちでは「isai LGL22」)では、プラグが差しにくい状態にはなりません。
そのため、端末上部にヘッドホン端子があるスマートフォンをお持ちの場合、体験するVR表示対応のアプリが画面回転に対応しているかを確認しましょう。
画面回転に対応していれば、スマートフォンの向きを逆向きにして、ヘッドホンプラグが接続しやすい体勢でスマートフォンを固定することが可能です。YouTubeアプリなどはVR表示の際の画面回転に対応しています。
しかし、自分の体験したいアプリが画面回転に対応しておらず、かつ、持っているスマホが端末上部にヘッドホン端子がある場合、本製品の一番の特徴であるヘッドホンを使用する際に手間どる可能性があります。
400-MEDIVR3の総評
PC周辺機器メーカーとして有名な日本の会社が販売しており、しっかりとした日本語の説明書がつき、しっかりとした保証もつく本製品。視野角も十分で、ヘッドホンの音質も良好と、一見するといいとこばかりのように見えます。
しかし、手持ちのスマホのヘッドホン端子の位置とアプリケーションによっては、一番の特徴であるヘッドホンが使えないなど、残念な点もあります。
オススメできますが、購入する前に一度自分のスマホの確認が必要な製品です。
デバイス名:400-MEDIVR3
発売元:サンワサプライ
価格:4980円(17/1/30現在 サンワダイレクト)
視野角:110度
IPD調整:可
眼鏡の使用:不可
対応スマホ:4-6インチのスマートフォン(ヘッドホン端子の位置が端末下部であるとなおよい)
良い点:ヘッドホン付きのモバイルVRゴーグル。ヘッドホンのクオリティもよい
悪い点:ヘッドホン端子の位置とアプリによってはスマホを選ぶ