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VTuber 2022.06.06

VTuber職業意識調査 平均月収や専業割合、収入源などの回答結果から分かること

YouTubeを中心に華々しく活躍するVTuberを見て、「自分もVTuberになりたい!」と思われる方は多いはず。しかし、趣味ならばともかく、仕事として取り組むならば、どのように活動するか、収益をどう得るか、考えるべきことは非常に多くあります。

そこでMoguLiveでは今回、Twitter上にて「VTuber職業意識調査」というアンケートを実施。「月収はどのくらいか」「収益源はどうしているか」「専業化しているか」「知人に『VTuberでお金を稼いで生活したい』と相談されたらどうするか」といった質問を、現役で活動されているVTuberの方に回答いただきました。

以下では、全67名に回答をいただいた「VTuber職業意識調査」の結果を掲載しながら、「職業としてのVTuber」の実態を考察していきます。

アンケート設問一覧

Q1.これまでのVTuberとしての活動歴をお聞かせください(例:1年。3ヶ月など)
Q2.活動のメインとなるプラットフォームは何ですか?(複数回答あり)
Q3.メインの活動形態は以下の内どれでしょうか?
Q4.現在、VTuberを専業としていますか?
Q5.VTuberで収入を得て、生活をしていきたいと思いますか?
Q6.VTuber活動で得た平均的な月収をお聞かせください(例:月収20万)月収の無い方は「無し」とお書きください。
Q7.現在の主な収益源をお聞かせください。(複数回答あり)
Q8.収益を得るにあたって、ご自身で工夫したり努力していることはどういったことでしょうか?(例:動画企画を工夫する、ファンとの交流を積極的にする)当てはまらはない方は「無し」と回答ください。
Q9.今後どれくらいの期間VTuberを続けていたいと考えていますか?(例:4年)
Q10.もし、ご自身の知人が「VTuberでお金を稼いで生活したい」と相談してきた場合、デビューをおすすめしますか?
Q11.VTuberを職業とする人に必要な資質はどういったものとお考えですか?(回答必須ではなく、自由回答です)

アンケート結果


回答から分かること

メインは「YouTubeの生配信」か。回答者の活動歴・形態について

まずは今回ご回答いただいた67名のVTuberの活動年数を見てみます。最も多いのは1〜2年目、次点は活動期間1年以内のVTuberです。2年目以降と回答した人も数値的に大差はありませんが、4年以上と回答した人は3人でした。

活動プラットフォームはYouTubeが63%と大多数を占めます。続くのはTwitch、niconicoとなっており、「VTuber」カテゴリも新設されたTwitchが注目されていることの現れと思われます。この他のプラットフォームはほぼ横並びです。活動形態は生配信がおよそ63.2%、動画が27.9%という結果となり、配信が優位となっており、「YouTubeで生配信を行う」という活動スタイルが現在の主流であることがうかがえます。

専業はおよそ1割。半数はまだ収益を得られていない

「VTuberを専業としていますか?」という質問に対し、専業と回答した人は11.9%、兼業は37.3%となり、半数近くとなる50.7%の回答者は「VTuber活動で収益を得ていない」と回答しています。専業と回答した人でも、「黒字化はしていない」「家族の支援を得ている」といった回答も見られ、「専業VTuberとして食べていく」ことのハードルの高さがうかがえます。

それを裏付けるように、VTuber活動による月収についての質問では、10万円以上を得ている層は13.5%、20万円以上は6%という結果が出ています。確認できた最大収入は50万円でした。最も多い収益金額の範囲は、1万円〜10万円でした。

「VTuberで収入を得て、生活をしていきたいと思いますか?」という質問に対しては、「はい」「どちらかと言えばはい」が合わせて68.6%を占めており、VTuberで収入を得て生きていくことには前向きな姿勢が強く見られます。別の設問の回答と照らし合わせると、「収益を得るためにいまがんばっているVTuber」が多く見られる印象です。

収益のカギは有料コンテンツ提供か?先人の収益事情と合わせて考える

収益源のトップ3は、有料コンテンツ提供、視聴者のギフティング、グッズ販売、となっています。生放送や動画広告の収入はこれらに続く形となっており、多くのVTuberが活動拠点をYouTubeとしながらも、広告収入からの収益は強く見込めないという現状が見えてきます。

「有料コンテンツ提供」は、「pixiv FANBOX」といった定額の有料会員限定コンテンツ提供、音楽などのデジタルデータ販売、といったものを包括した回答です。YouTubeのスーパーチャット(投げ銭)が次点とはいえ、多くのVTuberは「動画や配信でファンを作り、ファンクラブ支援やグッズ・コンテンツ販売で収益を得る」というスタイルが主流となっているものと思われます。

収益を得るにあたって大切なことは?

では、収益を得るにあたって大切にすべきことはなにがあるのでしょうか? 自由筆記項目のひとつ「収益を得るにあたって、ご自身で工夫したり努力していることはどういったことでしょうか?」の回答を見てみます。

回答を大まかに分類すると、「収益源の作成・誘導」と「ファンとの交流」の2つの流れが見られます。「収益源の作成・誘導」について、ある回答者は具体的な戦略を記してくれました。

ファンボックスやメンバーシップなど固定部分を増やし安定した収益を得る(熱量の高いリスナーを作る努力)+グッズ販売やイベント出演などを1~2ヶ月に1回程度行いリスナーがお財布を開くタイミングを意図的に作っている

上記回答以外にも、「”お祝いごと”を定期的に設け、スーパーチャットを投げやすくする」「自分の売りの部分はメンバー限定・イベント限定にする」「月1でメンバー限定コンテンツを投稿する」といった工夫も見られました。収益を得られるタイミングを増やすこと、そして収益源となるコンテンツをしっかり用意することは、比較的採用しやすい戦略かもしれません。

一方「ファンとの交流」としては、「交流を欠かさず積極的に行う」に加えて「Twitterなど動画・配信の外でのコミュニケーションを行う」ことを挙げている人がいました。ある回答では、そうしたファンとの交流に加えた、配信や動画の総合的な戦略が記されています。

毎日定時に配信を行う。ストーリー物はアーカイブを見やすいように余分な部分は裏で進める。無駄なコラボを乱発しない。黙らない。配信開始時、終了時は視聴者の名前を呼ぶ。資産となる動画と配信は別物で考える。

VTuberは続けたい?「仕事」としておすすめできる?

Q6の月収の回答を見る限り、VTuberとして収益を得て生活していくことはかなり難しく見えます。しかし、「Q9.今後どれくらいの期間VTuberを続けていたいと考えていますか?」の回答では、回答者の76%にあたる48人が、期限を設けずに活動を継続したい旨を記しています。
「文化が廃れるまで」「体力がもつ限り」といった条件も見られますが、中には「一生続ける」という回答もあり、「VTuberを続けることにはかなり前向きな人が多い」と思える結果となりました。

一方で、知人から「VTuberでお金を稼いで生活したい」と相談を受けたらどうするか、という質問に対しては、「知人の性格やタイミング、周囲の環境などを元に判断する」が40.3%と最も多く、次いで「強く勧めない(止める)」が23.9%、「どちらかと言えば、勧めない」を回答する人が22.4%と、「収益を得る目的」として人に勧めることには慎重な姿勢が多数を占めました。中には「勧めはするが『Vtuberでお金を稼いで生活したい』には期待するな、と言う」という回答も見られました。

「収益なし」ながら「活動を一生続けたい」と回答する人の存在を踏まえると、VTuberを「生活するための仕事」ではなく、なにかを発信・創造したり、人と触れ合ったりすることを目的としたライフワーク、あるいは趣味として捉えている人が多いのかもしれません。仮にそうであるならば、お金稼ぎの手段としてはオススメできない、という見解にも納得がいきます。

VTuberを職業にできる人はどんな人か?

最後に、任意回答項目として「VTuberを職業とする人に必要な資質はどういったものとお考えですか?」という質問を設けました。

頻出する要素として、「コミュニケーション能力」「タレント性」「トーク力」「メンタルの強さ」「自己プロデュース能力」などが見られました。特にメンタル面に関しては、「草を食っても泥すすっても生きるという鋼のメンタル。かつ苦しくても折れずに楽しみを見いだせるドMの根性。」とコメントする方も見られました。

お金に関する意見としては、「お金儲けと考えないで楽しめるかどうか」と回答する人もいれば、「資金」「マネタイズのノウハウ」と回答する人も見られ、人によって見解が分かれている印象です。ここはどちらが正しいと言えるところではなく、本人の活動スタンスによって変わりそうです。

また、本人の資質や配信中のふるまいだけでなく、活動の準備に関わる作業をこなす実務能力を挙げる回答も見られました。

他人に頼る能力。絵師バフであったり、イラスト制作依頼であったり、歌のmix等をプロに依頼し、高品質なコンテンツを提供できること。

同じ業務を毎日、毎週、毎月、毎年やり続けるのが苦痛でない人。

しかしながら、「職業」としてこなすのとは別に、「伸びるVTuber」としての素養は別にあるという見解も。

VTuberを職業にしたいと考えてる人は正直全員頭おかしいやつだと思っているので「まともな感覚でない人」が伸びるとは思っています。ただ【職業】という観点で見るなら個人勢の場合、自身でスケジュール管理やお金周りの計算や外部との打ち合わせなども含めた一般常識的なところが判断ができる人ではないと厳しいと思います。

その一方で、以下のような長期的な視座を提示する回答もありました。

息をするように創作活動を継続している人と考える。VTuberはあくまで配信スタイルの1つ(流行り)にすぎないと考えている。面白そうなので自身もVを始めたが、元々はニコニコ動画以前からネットで創作活動をやっていてブログ→動画投稿者→生主と10数年を経て今がある。Vとして収益をあげることを検討したが本来自身がやりたいことから逸れてしまっては意味が無いと思い、補助的な位置付けでVTuber活動をしている。

この回答者は(コメントを見る限り)長く様々な活動を続けており、趣味やライフワークとして発信活動を展開しているように思われます。収益を得ることを目的とする場合も、しない場合も、「自分がなにをしたいか」という軸を持つことは大切かもしれません。


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