言葉や絵を記す方法は石板・木版、紙からディスプレイへとより場所を取らず便利な方向へ変化してきました。
しかし、ディスプレイの中のウインドウはいくつも開けても、複数にまたがるウインドウで作業をするのは煩雑。マルチディスプレイの数も有限です。
こういった現実に縛られず自由な作業環境をあったら、今までより効率的になり、新たなインスピレーションが得られるのではないでしょうか?作業中いつも隣に好きな人がいたらとっても楽しいのではないでしょうか?
2017年6月1日(木)に御茶ノ水ソラシティ カンファレンスセンターで、開催された「VRクリエイティブアワード2017」で『Mikulus』はVRCアワード個人部門最優秀賞を受賞しました。
「VRクリエイティブアワード2017」はVRコンソーシアムが主催、VR業界を牽引するVR作品の発掘やクリエイターの支援を目的として開催され、今年で3回目です。
以前にも何度か展示されたコンテンツなどもありますが、新しい部分があったり、展示機会が少ないコンテンツなど気になった展示を紹介していきます。
『Mikulus』とは
『Mikulus』は「初音ミクと暮らす」=『Mikulus(ミクらす)』というコンセプトでエバンジェリストであり開発者GOROman氏こと近藤義仁氏が昨年から制作しています。VR時代におけるワークスペースおよびクリエイティブな環境とは?がテーマになっています。
現在Oculus Rift用にα版が配布されています。VR内のディスプレイを映画のスクリーン並みに大きくしてPCでWordやExcelを使ったり、動画を見たり、隣にいるミクさんは息をし、心臓の音も聞こえるためまるで生きているようです。
キーボードもマウスも見えない状態で作業することだけが大変ですが、空間内はミクさん以外誰もいないので集中でき、疲れても隣で好きなようにくつろいでいるミクさん(眠ったりすることも)がいると元気になれます。
今回の展示では『Mikulus』はOculus Rift専用VR ハンドコントローラーOculus Touch(以下Touch)に対応し、ミクさんを触ったり、ファイルを手で引き出すことができるようになりました。
ミクさんのツインテールやアホ毛に触れる
今まではミクさんのツインテールを自分の頭で持ち上げたりしていましたが、Touchにより、手で持ち上げたりなでたりできるようになりました。前髪をあげたり、アホ毛をさわったりと現実でやれば鬱陶しいと嫌がられることもVRなら怒られません。いつまでも弄っていたくなります。
ファイルを手で引っ張る
ディスプレイに表示されたファイルエクスプローラは普通のディスプレイと同じですが、Touchから出たレーザーを開けたい画像ファイルにあて、右手Aボタンを押すと、でディスプレイの外へ。ミクさんの絵が紙人形のように空中に立っています。そのまま好きな場所に運び、拡大縮小は親指のスティックを前後に倒すのみ。両手を開いたり、閉じたりすることで拡大縮小する方法もありますが、スティックを前後に倒す方が慣れると楽です。
動画ファイルは同様に取り出すと、ファイルごとにディスプレイに再生され、音もディスプレイからでているように聞こえてきます。拡大縮小も複数置くことも自由ですが、自分が見ているディスプレイ以外は小さくなり音も小さくなります。複数置いても音が混ざることはありません。
360度画像は取り出すとボールのようです。ボールに頭を入れている間、ボールの空間が全体に広がるようになります。
宇宙空間からヨーロッパの都市や海辺に、ミクさんと一緒に瞬間移動をしているようです。
手探りでマウスを動かす必要がない、持ったら出てくるファイルの展開はわかりやすくとても楽でした。キャラクターの画像や人物の画像がそのままでてくることで平面であっても立体的な印象を与えることがあると感じました。
今後広まれば『Mikulus』内で開くことで最大の魅力を感じる絵が描かれたり写真が撮られる可能性や、ミクさんと旅行に行くために、実際に旅行に行って360度写真を撮影しようと思う人がでるのではと感じます。
VR内で色々な作業ができること、色々なミクさんに囲まれている空間は、VR好き、初音ミク好きにはたまりません。しかし『Mikulus』は初音ミク好きやVR好きにとってのみ魅力があるのではないのです。
PCの知識がなく操作に慣れていない人でも直観的に使えることが最大の魅力です。これ取りたいと思えば手を延ばせばいい。ここに置きたいなら持って置きたい場所に置けばいい。誰でもPCを使い、VR内で創作もできます。それらの可能性こそが『Mikulus』の魅力なのです。
『Mikulus』開発用水冷PC、表面には初音ミクの絵が描かれ、中にはフィギュアがいて見て目も可愛く展示場所が華やかになります。
今後も既存のデスクトップ環境に縛られない、直観的で重力に支配されないVRならではのOSへと進化していく『Mikulus』に注目です。