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イベント情報 2017.12.22

コーエー、ゲーセン用「VRセンス」稼働開始 発表会&体験レポ

2017年12月19日、コーエーテクモウェーブは新型VRゲーム筐体「VRセンス(VR SENSE)」の完成発表会を行いました。「VRセンス」は2017年12月21日より先行稼働、22日に本格稼働となる予定です。本記事では発表会の模様と、2つあるVRセンスのバージョンのうち「スパークリング・ブルー」に搭載されたコンテンツの体験レポートをお届けします。

コンテンツや導入店舗、ロケテストの結果なども明らかに

発表会では、まずコーエーテクモウェーブの阪口一芳代表取締役社長が登壇。VRセンスの最大の特徴である「五感を刺激する8つのギミック」について語りました。

VRセンスは「体験内容に応じて風が出る機能」や「暖かさや冷たさを表現する機能」、さらに「香りを発生させる機能」などが搭載されており、これらの機能によってVRでの表現力を高め、より体験内容をリアルに感じられるようになっています。

また、VRセンスには「スパークリングシルバー」「スパークリングブルー」の二種類の筐体があり、それぞれ搭載されるコンテンツが異なっています。筐体そのもののスペックは同じです。

筐体カラー「スパークリングブルー」搭載タイトル:
『超 戦国コースター』『3 Majesty × X.I.P. DREAM☆LIVE』『ホラーSENSE ~だるまさんがころんだ~』

筐体カラー「スパークリングシルバー」搭載タイトル:
『超 真・三國無双』『DEAD OR ALIVE Xtreme SENSE』『G I JOCKEY SENSE』

その後は新作タイトルの『超 戦国コースター』『3 Majesty×X.I.P. DREAM ☆LIVE』の紹介映像に続き、9月から宇都宮と新宿の店舗で行われていたロケテストの結果が公表されました。

こうしてグラフを見てみると、女性プレイヤーが多いことに気がつきます。さらに「普段ゲームセンターに足を向けない層が目立った」とのこと。VR体験用のヘッドマウントディスプレイ(VRHMD)の装着に対する違和感の声も少なく、次回アテンド(スタッフによるサポート)に関してもそれほど必要性を感じない(=一人で体験できる)という意見のユーザーが多く見られました。

この結果から、阪口氏は「VRセンスは、ゲームセンタービジネスにおける、次の一つのキーファクターになるのではないかという期待を持てた」と語りました。

新作コンテンツやキャンペーンについての追加情報も

続いて、コーエーテクモウェーブ・ゼネラルプロデューサーの襟川恵子氏が登壇。「VRセンスの最初の企画会議から約一年半、ようやく発表の日を迎えることができた」と完成の喜びを語りました。

また、本格稼働日である12月22日を「VRセンスの日」と定め、ユーザー向けに何らかのキャンペーン・イベントなどを行っていくと告知。今回は特殊加工のチャームをノベルティとして作成。各コンテンツの人気キャラクターはもちろんのこと、ホラーコンテンツのキャラクターチャームも準備し、神社でお祓いを済ませた「魔除けのチャーム」として配布します。

また、今回搭載されているVR向けタイトルは6本同時進行で開発され、新作『超 戦国コースター』『3 Majesty×X.I.P. DREAM ☆LIVE』については直前まで調整を重ねていたとのこと。今後の展開としては、現状の6本のタイトルに続く新作コンテンツとして、『進撃の巨人』『戦国無双』の投入が発表されました。

『進撃の巨人』は、来年2018年1月13日よりアニメ劇場版が公開。3月15日にはコーエー制作の新作ゲーム発売され、7月にはアニメのテレビ放映開始となっています。「また大きなブームを起こすことが予想される中、VRとしても大きな衝撃を与えるコンテンツを開発していきたい」とのこと。

そして女性ユーザーの反応が非常に良かった『戦国無双』の新作に関しては、現コンテンツの稼働後一年を目処に新作を供給、PlayStation Storeにて現在のコンテンツを販売するという計画を立てているそうです。また『超 真・三國無双』に続く『三國無双』の新作も検討中です。

最後に、コーエーテクモゲームス・ゼネラルプロデューサーのシブサワ・コウ氏が登壇。 VRセンスは、コーエーテクモの精神である「創造と貢献」によって、ユーザーに新しい面白さを提供できると発言。日本全国、またアジアなど世界に向けても発展させていきたいとのこと。

コーエーテクモグループの経営方針「IPの創造と展開」にもふれ、多くのプラットフォームの中の一つとしてVRセンスを位置付け、多くのユーザーに楽しんでもらうために積極的に展開をしていきたいと語りました。

その実力はいかに? VRセンス・体験レポート

ここからは実際に「VRセンス」を体験した際のレポートとなります。1プレイは800円、今回は2カラーある筐体のうち「スパークリングブルー」の筐体となりました。コンテンツは『超 戦国コースター』『ホラー SENSE ~だるまさんがころんだ~』『3 Majesty×X.I.P. DREAM ☆LIVE」』の3つから選択できます。

コックピットを思わせる空間に足を踏み入れると、椅子はマッサージチェアのように座り心地がよく、足下には「貴重品入れ」が。VR体験中はプレイヤーの意識がおろそかになるため、プレイ中は貴重品入れが自動的にロックされるという安心設計です。

席に座り、筐体内に準備されているPlayStation VR(PSVR)を装着。ピントを合わせ、シートベルトを着用します。装着などの手順はコントローラのボタンを押していくだけでスムーズに表示されるため、続けてプレイをするのであればアテンドの必要はほとんどなく、初体験のプレイヤーでも最小限の説明で済むと感じました。

最初に体験したのは『超 戦国コースター』。城下町や城内、そして戦場……次々とステージが入れ替わる中をダイナミックに走行する、なんとも破天荒なジェットコースターです。プレイヤーは最初に「昼」か「夜」のステージを選択し、攻撃タイプ、回復タイプなど役割が異なるパートナーを「石田三成」「真田幸村」「井伊直虎」「茶々」といったキャラクターから選ぶことができます。

ジェットコースターはプレイヤーの視点が大きく動くため、VRに慣れていない場合は3D酔いを感じてしまうことも少なくありませんが、VRセンスの大きな特徴の一つである「多機能3Dシート」「風機能」の効果なのか、酔いはほとんど感じられませんでした。

ジェットコースターはVRコンテンツとしてはそこまで珍しくない題材ですが、「城下町の上などをコースターで駆け巡る疾走感」「襲ってくる敵を斬る」「回復アイテムやスコアアップアイテムを取得する」など複数の要素を加味したことで、飽きずに楽しめるゲームになっていました。VRセンスの能力を活かした、いかにもゲームセンターらしい、万人が楽しめるコンテンツと言えるでしょう

欲を言うなら、一緒に戦ってくれるパートナーはプレイヤーの横に座っているなど、声だけでなく存在を感じられるようにして欲しくもありました(ただそうなると、パートナーに見とれてすぐにゲームオーバーになってしまう可能性もあるので、これで良いのかもしれません)。

続けて体験した『ホラー SENSE ~だるまさんがころんだ~』は、個人的に一番没入できたコンテンツでした。さびれた廃校のような場所で少女の幽霊と出会い、「だるまさんがころんだ」を持ちかけられます。

最初のうちは周囲をキョロキョロ見回したり、動揺し始めるキャラクターの様子を観察するなどの余裕がありましたが、「少女が顔を隠しているうちは前に進めるが、顔をあげた時に動いたらゲームオーバー」という単純なルールに従って動いているうちに、気がつけば熱心にゲームをプレイしていました。少女のルールに従うことで一つの部分に意識が集中し、没入感が高まるという上手い仕掛けです。プレイヤーの移動は極めてゆっくりしか出来ないため、酔いもありません。

その間、予想外の驚きをもたらす「タッチ機能」で身体の色んな場所に何かが触れてきます。ホラーコンテンツにはもってこいの機能と言えるでしょう(虫が苦手な方は、少しだけ辛いかもしれません)。

近づくにつれ少しずつ奇妙になっていく少女の動きなども良く、最後に登場した少年ともまた遊んでみたいと思えました。プレイ後には「成績表」が表示され、筆者は「淡々とプレイされていましたね。ホラーが得意な方なのでは?」とも評価が。

筆者は確かにホラーものには比較的強い方ですが、プレイ自体は少女に向かって前進する際にボタンを押すだけなので、「淡々とプレイしていた」というのはどういう要素から判断しているのだろうか? と少し気になりました。この続きをプレイしてみたいところです。

最後に体験したコンテンツ『3 Majesty×X.I.P. DREAM ☆LIVE』は、女性向け人気コンテンツ『ときめきレストラン☆☆☆』に登場するアイドルたちのライブを楽しめます。ロケテスト中、女性ファンからの「プレイ中に外から見えるのが恥ずかしい」という声を受け、VRセンスにオプションとしてカーテンを付けることが可能になったとのこと。こういった心配りはとてもありがたいものです。

コントローラでのペンライトの操作方法やライトカラーの変え方などの説明を終えると、正面または右手・左手のどの位置からライブを観賞するか選択できます(位置によってライブの演出は異なるそうです。筆者は正面を選びました)。

プレイヤーはライブ会場の2~3列目あたりに位置し、周囲には同じくペンライトを所持したファンたちが居ます。3D機能シートの動作により、ライブに参加している空気を味わえるようになっています。

曲のリズムに合わせてペンライトを操作すると、視界の左上にスコアが表示され、だんだんと数値があがっていくのが見て取れます。ライブ中には突然視点が変わり、ステージの上からアイドルを至近距離で見ることも。ミスト機能・風機能によるものか、ふわりと男性のフレグランスが香ります。また、炎を使った演出では、その熱さを感じ取ることもできます。

ペンライトの色を変えずに「推し」カラーでペンライトを振り続ければ、二人きりで彼と出会うことのできるというごほうび的な要素もあり、これは是非体験してみてほしいところ。総じてアイドル系VRライブでおさえておくべき要素はすべて押さえられていて、ファンなら何度も体験してみたくなるコンテンツに仕上がっていたという印象です。

あえて言うならキャラクターのモデルサイズが小さめで、二人きりになった時でも「身長の高いキャラクターの大きさを感じにくい」のは少し残念でした。また遠めの距離で見ることが前提のライブで使用されるモデルゆえか、全体的にローポリゴンで作られているため、近くに来た時は少し粗い部分が気になる部分がありました。特に二人きりで彼を目の前にした時、せっかく手の表情が目立つ動作をしてくれるのに、モデルの手の造形がややざっくり気味なのが気にかかりました。男性のたくましい手は女性にとって大きな魅力なので、こういったわがままな要求も、のちのち改善してくれるだろうと期待しています。

PSVRとVRセンスの組み合わせで、さらに広い層へVRを

今回VRセンスのコンテンツを体験してみて、普段ゲームセンターに馴染みのない層へも訴求しやすい存在になっているという印象を受けました。PSVRは他のハイエンドHMDと比較すると画質や没入感はやや劣りますが、その部分を「半密室のVRセンスで、様々な機能を用いて体験する」という形で上手く補っていました。さらにPSVRならではの着脱の容易さ、オペレートが簡素で済む点、貴重品の管理など細かな部分まで行き届いている点も高く評価出来ます。

今後も人気作品のコンテンツが投入される予定であり、全国の多くの店舗で体験できるという点からも、話題に事欠かない存在になりそうです。

VRセンスの導入店舗は以下の通りです。詳しくは公式HPを参照のこと。


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