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テック 2022.02.14

スマートグラス・ARグラスの最新デバイスまとめ。映像特化から音声支援オンリーまで

2022年現在、「スマートグラス」「ARグラス」は一般ユーザー向けから産業向けまで、様々な種類のデバイスが登場しています。本記事では、スマートグラスやAR/MRグラスがどういったデバイスなのか、2022年2月時点ではどのような機種が発表・販売されているのかを紹介します。

「スマートグラス」と「ARグラス」の違い:企業によって呼び方にブレ

2022年現在、「これがスマートグラス/ARグラスだ」という共通見解はあまり出来上がっておらず、開発・販売を行う企業によって呼び方にブレが存在します。

販売されているデバイスとその呼称を見る限りでは、「スマートグラス」はおおむね「さまざまな機能を持つメガネ型のデバイス」程度の意味で使われるケースが多く、対する「ARグラス」「現実空間の物体や床、壁などを認識したうえで、バーチャルな物体や情報を、現実に重ねて表示できるメガネ型デバイス」という意味で使われるケースが多く見られます。また、「MRグラス」という言葉は、このARグラスの特徴をより強調する意味で使われることがあります。

現状を鑑みると、「スマートグラス」という大きなカテゴリの中に「ARグラス」「MRグラス」があると考えて差し支えないケースがほとんどです。しかし、企業によっては「現実の物体などを認識せず、画像や文字情報を表示するだけのデバイス」を「ARグラス」と呼ぶ場合もあれば、「現実の物体を認識できるカメラやセンサーが搭載されたデバイス」も「スマートグラス」と呼ぶケースもあり、業界全体での統一的な見解は出来上がっていないというのが現状です。

一般ユーザー向けスマートグラス

この項目では、一般ユーザー向けの「スマートグラス」「ARグラス」を紹介します。

Nreal Air

Nreal Airは、中国のNrealが2021年9月30日に発表したスマートグラス。映像視聴に特化しており、現実の物体を把握するためのカメラやセンサーは搭載されていません。「持ち運べる大きなスクリーン/ディスプレイ」として使うためのデバイスです。

Nreal Airの重量は76グラムと軽量、外観は通常のサングラス等によく似た違和感のないデザインです。使うには、AndroidまたはiOSを搭載したスマートフォンとの有線接続が必要となっています。

また、ひとつの仮想スクリーンを他のユーザーと共有できる「Watch Party」機能を搭載。複数人で、同じ仮想スクリーンに映し出されたコンテンツを、リアルタイムで共有・視聴することができます。

日本ではNTTドコモとKDDIがそれぞれNreal Airの取り扱いを発表しており、2022年2月現在予約を受付中。2022年3月に発売予定となっています。

Nreal Light

Nreal Lightは中国Nrealが開発・提供しているARグラス(公式の呼称では“MRグラス”)です。Nreal Airとは異なりカメラが搭載され、現実空間を認識することができます。日本国内では2020年12月にKDDIが取り扱いを開始しており、国内でも体験型イベントや展示会などで幅広く活用されています。重量は106gで、視野角は52度。日本でのNrealLightの価格は、一般向けが69,799円です。

動作には「Qualcomm Snapdragon 855」を搭載したAndroidのスマートフォンが必要です。iOSとの互換性は有していません。

MAD Gaze GLOW

MAD Gaze GLOWは、香港に拠点を置くスタートアップMAD Gazeが開発するARグラスです。2020年4月に販売を開始し、価格は59,800円。形状はサングラス風のデザインで、重量は75gという軽量設計で、視野角は45度。操作方法はスマートフォンでの操作、手での操作、音声認識に対応しています。アダプタを介して、Nintendo SwitchやPlayStation 4などを大画面でプレイすることも可能です。

GLOWには、体感スクリーンサイズを更に大きくした「GLOW PLUS」モデルも用意されており、視野角は53度で価格は68,800円となります。

Xiaomi Smart Glasses

Xiaomi Smart Glassesは、中国のハードウェアメーカーXiaomiが発表したスマートグラスです。視界にメッセージやナビゲーションを表示したり、目の前のテキストを翻訳したりといった機能を持ちます。表示は緑色単色で、片目にのみ表示されます。また、カメラが搭載されているものの、空間認識を行う機能は搭載されていません。


(目的地までのナビゲーションのイメージ)

スマートフォンとの接続が必要なく、バッテリーやタッチパッド等がグラス本体に入っているにも関わらず51gと非常に軽い点が特徴です。公式ブログや動画によれば、デバイスは着信などの通知、カメラを使った撮影、歩行・自転車走行時のARナビゲーション、テキストの翻訳等を視界に表示できます。また写真を撮影したり、搭載するマイクとスピーカーで通話を行う、音声をテキスト化するといったことも可能です。

2022年2月現在、価格や発売時期、バッテリー寿命といった情報は公開されていません。

Ray-Ban Stories

Ray-Ban Storiesは、2021年9月10日にFacebook(現Meta)とレイバンが発表・発売した、スマートグラスです。写真および動画の撮影機能、電話を含む音声の再生機能を搭載しており、価格は299ドル(約32,800円)から。AndroidまたはiOSスマートフォンと無線で接続して使用します。2021年12月現在、日本は出荷対象国に含まれていません。

「Ray-Ban Stories」はディスプレイ等を搭載していないため、現実に情報を重ねて表示することはできません。レンズフレームの左右にカメラが搭載されており、2592×1944ピクセルの写真撮影、ならびに1184×1184ピクセル・30fpsの動画撮影が可能。写真・動画の撮影を行う際はLEDが点灯し、周囲に撮影中であることを知らせる仕組みです。

撮影した写真やビデオは、専用アプリ「Facebook View」を使用することで、グラスから取り込み、編集することができます。

アップルの「Siri」のような「Facebookアシスタント」も搭載されているため、音声でスマートグラスを操作することも可能。「Hey Facebook」と発話することでアシスタントが起動します。

「Ray-Ban Stories」のカラーバリエーションは5つ。さらにフレームの形状は3種類から選ぶことができます。

Echo Frames(音声のみ)

Echo Framesは、アマゾンのAIアシスタント「Alexa」を搭載したスマートグラスです。価格は249.99ドル(約2万6000円)。2020年11月には第2世代が登場し、一般ユーザーが購入できるようになりました(米国内限定)。


(呼びかけるだけでAlexaが起動)

第2世代の「Echo Frames」は、オーディオ品質の向上したほか、前モデルと比較してバッテリー持続時間が40%伸び、デバイスを逆さまに置いて3秒間後に電源がオフになる機能が搭載されています。

HUAWEI×GENTLE MONSTER Eyewear Ⅱ(音声のみ)

HUAWEI X GENTLE MONSTER Eyewear IIは、中国の大手通信機器メーカーHuaweiが提供する音声に特化したスマートグラスです。日本では2021年7月13日に発売され、価格は43,780円。指向性スピーカーとマイクを搭載、スマートフォンとBluetooth接続して使用し、音楽視聴や音声通話を行うことができます。


(つるの部分で音量調節可能)

メガネの左右のつる部分をタップすることで、音量調整や再生、一時停止などの操作が可能。日本では、サングラスタイプ「SMART LANG」と度なしメガネタイプ「SMART KUBO」の2種類が展開されています。

業務用

こちらの項目では、主に「業務用」「エンタープライズ向け」とカテゴライズされているスマートグラスを紹介します。

Glass Enterprise Edition 2

Glass Enterprise Edition 2は、Googleが2019年5月に発表した法人向けスマートグラスです。販売価格は999ドル(約11万円)。2020年2月に販売を開始、日本では2021年8月より、NTTドコモ株式会電算システムが代理店として展開しています。800万画素のカメラ、タッチパッド、電池パックなどを備えながらも46gと軽量。大手物流会社等で採用されています。

Vuzix製スマートグラス

Vuzix Corporationは、業務用のスマートグラス「M400」や「Blade」を展開しています。

M400

(左:M400、右:M4000)

MシリーズM400は、QualcommのAR/VRデバイス専用のチップセット「XR1」を搭載した、産業向けスマートグラスです。公式ストアでの価格は218,900円(税込)。遠隔作業支援や倉庫・空港での荷物搬入といった場面での使用が想定されています。OSはAndroidを採用し、USB-Cケーブルで接続できます。

(M400を利用した遠隔通話のイメージ)

(細やかな作業にM4000を利用する際のイメージ)

M4000は2020年1月に発表した新型のスマートグラスです。価格は295,000円(税別)。Vuzix社は本製品を「これまでで最もパワフルな企業向けスマートグラス」と説明しています。導光板ディスプレイが導入されており、現実のオブジェクトに干渉されずに様々なコンテンツや情報を画面に表示できます。ボイスコマンド機能なども実装されています。

Blade

Bladeは、産業向けとコンシューマー向けに展開されているスマートグラスです。公式ストアでの価格は90,000円(税別)。スマートフォンを介したデータの送受信と表示が可能です。メールや画像、テキストメッセージなどのデータを閲覧したり、道案内のガイドを使用したりといった用途に利用できます。

(Bladeで家族を撮影する際のイメージ)

また、アマゾンのAIアシスタントAlexaに対応。ハンズフリーで操作でき、音声と視覚で情報の受信も可能です。

「メガネそのもの」な新型スマートグラス開発中

現在、Vuzix社は眼鏡そのものな外見の新型スマートグラスを開発中です。一般ユーザー向けから法人向けまでのモデルがラインナップされる予定です。


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