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VTuber 2020.10.01

息が詰まる…深みへ落ちる…電脳少女シロ主演映画「白爪草」レビュー

電脳少女シロさんが主役を演じる、全キャストVTuberのサスペンス映画「白爪草」が9月19日(土)に公開されました。池袋HUMAXシネマズと109シネマズ大阪エキスポシティの2館のみでの上映にも関わらず、「興行通信社Presents 映画大好き!CINEMAランキング通信」にて掲載のミニシアターランキングでは4位にランクイン。池袋HUMAXシネマの週間映画ランキングでは1位を獲得しています。

双子の姉妹が再会する時、起きるのは

「白爪草」の物語は、花屋で働く主人公・白椿蒼に、服役を終えた双子の姉妹の白椿紅から6年ぶりに会いたいと連絡が来るところから始まります。カウンセリングを受けながら過ごしてきた主人公がカウンセラーの桔梗先生に相談し、意を決して姉妹の再会を決意。双子の姉妹が再会を果たした時、2人の人生が大きく動き出します。

「白爪草」の見所

双子の姉妹の運命に集約される物語

「白爪草」は公式が発表していた「ワンシチュエーションサスペンス映画」の通り、物語のほとんどが花屋における双子の会話によって進行していきます。

共演するアイドル部メンバーも声のみでの出演であり、直接姿を表すことはありません。一貫して画面を占拠するのは、大量の花と電脳少女シロさんが一人二役で演じる双子の姉妹。

作中の要素のすべてが、双子の姉妹の会話と、会話から読み取れる2人の心情・境遇・未来に意識を集中させるよう配置されています。

脚本の秀逸さ、そしてVTuberが演じることを織り込んだ演出

またVTuberは人間に比べ、繊細な表情の動きや仕草が困難な場合がありますが、本作はこういった課題を認識した上で、劇伴・効果音・カメラワークなどの演出が緻密に組まれています。

花屋で双子が会話するという冗長になりかねない画面に、息が詰まるほど観客を引きつける構成は秀逸の一言。そこに展開される、何段も加速しながら深みへ落ちていく脚本も見事で、「白爪草」の映画世界を確かなものとしています。

好きなVTuberの出演を見に来たファン向けには留まらない、サスペンスとして十二分に成立した魅力ある作品と言えます。

東京・大阪在住の方は早急に映画館へ

上映は池袋HUMAXシネマズと109シネマズ大阪エキスポシティの2館のみ、公開時期は10月2日(金)までですが、見る機会を作ることができる方には是非ともおすすめしたい映画です。また、エンタメ業界支援のため収益の一部の寄付を行うことも発表されています。

限られた人のみが見るには余りにも勿体ない作品であるため、Blu-ray・DVD化や再上映を期待したい所です。

©映画「白爪草」 製作委員会
執筆:佐藤ホームズ
(参考)白爪草 公式サイト公式Twitter


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