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VTuber 2023.03.29

深夜の孤独に寄り添う歌姫・龍ヶ崎リンインタビュー「”自信のなさ”も活動のモチベーション」

VTuberプロダクション「ななしいんく」に所属している龍ヶ崎リンさんは音楽をメインに活動を行っているVTuberです。特にヒップホップ系統の音楽の造詣が深く、ラップアレンジを効かせたカバー曲なども投稿されています。

またASMR配信やラジオ配信などを深夜帯に行うことが多く、気さくなキャラクターがリスナーに親しまれているところも印象的です。今月活動3周年とセカンドシングルの発表を控えた龍ヶ崎リンさんに、これまでのVTuber活動や新曲「追熟」の制作について伺いました。

デビュー当時の心境「それが本当の自分じゃないのにな」

――今月で活動3周年を迎えられるということですが、VTuberデビュー当時を改めて今振り返ってみるといかがですか?

龍ヶ崎リン:
今まで、ななしいんくを引っ張ってきていた先輩VTuberの方々がいたからこそ、自分の初配信にあれだけたくさんのリスナーさんが興味を持って見に来てもらえましたし、先輩VTuberの皆さんには今でもすごく感謝しています。普段はあんまりこんなことは言わないんですけど(笑)。

――その初配信の頃は現在の配信とは違って、標準語で話されてましたよね?

龍ヶ崎リン:
そうですね、標準語でしたね。今は関西弁の方が多いんですけど。

――そういう風に自然体になって行くきっかけはありましたか?

龍ヶ崎リン:
最初は「既存のななしいんくファンに衝撃を与えたい」っていう気持ちと、「ななしいんくを知らなかった方にも存在を知ってもらうぞ」って気持ちがあってすごく意気込んでいたんですよね。そこで運営さんにも「いいね!今までこういう声質でボーイッシュな感じの子がいなかったから、そこを生かして龍ヶ崎リンのキャラクター性を確立していこう」って言われて、盛り上がったんですよ。でも実際のところ僕が中性的なのは見た目と声だけで、性格の部分は全然格好いい系ではなくて。

――しかもVTuberとして、”格好いいボーイッシュなキャラクター”を演じたいわけでもなかったという。

龍ヶ崎リン:
はい。でも最初は「それが本当の自分じゃないのにな」っていう感情すらなかったんですよ。意気込みが大きかったので、素直に「じゃちょっとかっこいい感じで行くか」って思ってたんですよね。でもやっぱりそれが性格と真反対だったので、いざやってみると気持ち的にどんどんしんどくなっていってしまったんです。 雑談配信とかも今はすごく楽しくて好きなんですけど、 当時はフリートークだと何を話せばいいかわからなくなってしまっていました。ありのままの自分じゃなかったから。それでそうなってしまった時に、自分が思っていた全てを打ち明けた配信があるんですけど。

――「本当の私はこうで……」みたいな。

龍ヶ崎リン:
自分の中でも「自分を偽ったこの状態のままじゃ長く活動を続けられないな」って気持ちがあったので、配信で全部言いました。「雑談配信が苦手で、なんで苦手なのかって言うと、これが本当の自分じゃないからなんだよね。ほんとは全然格好つけられない。」みたいな話をして。しかもその話をしながらすごく泣いてしまって、今となればめちゃくちゃ恥ずかしい配信なんですけど。

――その配信のアーカイブは今も残ってるんですか?

龍ヶ崎リン:
あ、残ってますよ。

――その日は配信前から「今日はこの配信でそういう話をするぞ」というつもりで枠を設けていたんですか?

龍ヶ崎リン:
いや!違います。デビュー3ヶ月目で企画した歌配信リレーが終わった後のお疲れ様配信の時に、その話に自然になった感じでしたね。

――デビューから3ヶ月目ってことは、早めにそこの方針転換をされたのですね。

龍ヶ崎リン:
そうですね。自分の中で「このままじゃダメだ」って危機感が早い段階からずっとあったので。そこでリスナーさんに話したら、案外みんな「え、別に自然体でいいよ?」「完璧よりもちょっと抜けてるぐらいの方がいいよ。」みたいな感じで。だから自分が考えすぎていたっていうのも、みんなに話してみて初めてわかった部分でした。そこですんなりみんなが「ありのままのリンちゃんでいいよ」って受け入れてくれたので、その後は自然と関西弁とかが出てきてるんだと思います。

VTuberという領域で音楽活動を始めようとした理由「シンガーとして有名になるための活動を始める時期が遅かったな」

――音楽活動ありきでVTuber始められたということですが、 VTuberという領域で音楽をやりたい理由はありましたか?

龍ヶ崎リン:
歌うことも音楽を聞くことも子供の頃からすごく好きだったんですけど、VTuberを始める前までは、魔界の方で普通に社会人として仕事をしてたんです(笑)。その仕事もすごく好きな仕事だったので天職だとも思ってたんですけど、でも心のどこかで「色んな人に自分の歌を聞いてもらったりだとか、音楽で何かを人に伝えるようなことが自分にはできるんじゃないか?そういうことをしてみたいな」って気持ちはずーっとあったんです。そんな時にたまたまYouTubeのおすすめに上がってきたMonsterZ MATEさんのMVを見て、「なんだこれ!こういう活動の仕方をVTuberっていうんだ…。しかも、 めちゃめちゃかっこいい音楽してんな!」って衝撃を受けたんです。

あとはその当時すでに「シンガーとして有名になるための活動を始める時期が遅かったな」っていう自覚もあったんですよ。「本当に歌手としてやっていこうとしてる人って、もっと早い時期から音楽活動をちゃんとやってるよな。」っていう、自分の中での引け目もちょっとあったんです。だから「VTuberになることで、自分の音楽を売り込める経験値や下積みを作っていこう」と思ってVTuberになりました。

――MonsterZ MATEきっかけで、最終的に774inc.に入るっていうのも面白い流れですね。

龍ヶ崎リン:
いや、そうですよね。(笑)そこで「VTuberになりたい」と思った時、VTuberの事務所の中でたまたま一番最初に自分の目に入ったのが774inc.だったっていうきっかけなんですけど。

――以来音楽を主軸にしたVTuber活動をされている中で、その「VTuber」という領域から音楽を発信することのやりがいや面白さってどういうところに感じていますか?

龍ヶ崎リン:
VTuberって特に僕が所属してるななしいんくでは、やっぱり生配信がメインの活動になるので、そういう生配信を通して、自分のバックボーンや人間性だったりとか、性格だったりとかを知ってもらった上で聞く音楽って、そこを知らないで聞く音楽とはちょっと聞こえ方が違うのかなと思っていて。

――たしかに。

龍ヶ崎リン:
それこそ僕が2月にリリースしたファーストシングル「Twilight Stream」も、歌詞の中に、実際に僕が深夜ラジオの配信をやっている「Thursday」とか、歌枠をしている「Friday」って曜日を入れていたりとか、僕のことを知ってくれているリスナーさんなら「わ、この歌詞はあれのことじゃん」っていう風にわかる。そのわくわく感は、普段の自分を知ってもらえてないと感じられないものだと思うので、そういうパーソナルな部分も知った上で曲を聴いてもらえるのは、VTuberの音楽の良さなんじゃないかなと思っています。

――逆にVTuberとして音楽を発信することの難しさや、大変さはありますか?

龍ヶ崎リン:
やっぱりまだVTuberというカルチャーが浸透していない部分も大きいと思っていて、それこそ自分の友達に話をする時にもすごくそれを感じるんですけど、「VTuberってアニメのキャラクターなの?」って言われたりとか。だからそこの理解がまだ追いついてない方もたくさんいる中で、きちんと自分をアーティストとして見せるのがなかなか難しいなと思うことも多いです。

あとは歌が上手いVTuberの方って本当にたくさんいる中で、自分の音楽を聞いてもらうことはすごく難しくて。だからこそ僕は3年間音楽以外のところでも自分を知ってもらえるようにと自分を売り込む活動をずっとしてきたんですけど、でもその音楽をやることと、エンターテイメントをやることのバランスに関しても、いまだに結構悩んでるところではありますね。

それから僕のリスナーさんは、僕を知ってくれた入口が結構みんなバラバラだと思っていて、例えば歌ってみたや歌枠からって人もいれば、ゲーム配信から、ASMRからって、色んなリスナーさんがいて、その色んなリスナーさん全員に僕の音楽まで辿り着いてもらうってことはやっぱりちょっと難しいんです。もちろん音楽に興味のないリスナーさんに対して、「絶対僕の音楽を聞いてね」って無理やり押し売りするつもりはないんですけど、とはいえ色んな形で僕を知ってくれたリスナーさんみんなに、義務じゃなく「この人の曲を聞きたい」と思わせたいという気持ちはずっとあります。

――リスナーさんに自分の音楽までたどり着いてもらうために、日々の活動の中で意識しているところはありますか?

龍ヶ崎リン:
そうですね。常々「難しいな、難しいな」と思ってるんですけど、やっぱりこう節目節目の配信、例えば誕生日だったりとか、周年だったりとか、何か大きなイベントが起きた後の配信では、絶対に音楽に対しての野望を話すようにしていて。そうすることによって自分に対してプレッシャーを与えられるっていうのもありますし、「龍ヶ崎リンがやりたいことは音楽なんだ」「これからリンちゃんはこうなっていきたいんだ」ってリスナーさんにも道が見えることは大事だと思っています。

みんなにも日々を楽しみながら一緒に目標に向かっている気持ちになってもらえたらうれしいし、「龍ヶ崎リンと青春をもう一回味わう」みたいな楽しみ方をリスナーさんにしてもらえたらいいなって気持ちもあるので。

「”自信のなさ”も3年間活動を続けてきたモチベーションです」

――活動当初から、音楽関係の活動に限らず、色んな企画配信も精力的に行われている印象があるのですがいかがですか?

龍ヶ崎リン:
そうですね、自分を知ってくれている人が多ければ多いほど、その中で「龍ヶ崎リンの音楽も聞くよ」って人も自然と増えていくと思っているので、音楽以外の企画配信も積極的にやっているっていうのももちろんあるんですけど、あとは単純に…アホなことをするのが好きなんです(笑)。リスナーさんと「ほんまに龍ヶ崎リンしょうもないな」みたいにガハガハ笑えるようなことが好きなので!(笑)。

――ちなみに「アホなことをするのが好き」というところから企画された配信でいうと、ご自身では特にどの企画が好きですか?

龍ヶ崎リン:
「きしょいこと言ったやつ優勝」ですね。

「セウトな性論大会 」とかも。

性の話について真面目に話すっていう、そういうのも大好きですね。

――そういうご自身発信の独自の企画配信も含め、常に受け身じゃない姿勢を活動全般から感じますが、その能動的な活動姿勢の背景にはどういう気持ちがありますか?

龍ヶ崎リン:
んー……、受け身だとつまらんですよね(笑)。「ただ与えられたものだけをやるのは嫌だ」っていう反骨精神もありますし、自主的な、自分から起こすアクションがないと、なんか自分の活動に血が通ってる気がしないというか。あと明確な目標があるからっていうのが、大きいかもしれないです。「音楽でこうなりたい」とか、「こういう音楽を作りたい」とか、目標がばばばばばって、自分の中で立ってて。 「その目標を叶えるために、これをした方がいい」って逆算して考えてるので、だからこそ「こういうことをしよう」とか、「運営さんにこういうことを伝えよう」って意見が自分の中にはっきりとあるので、自主的に見えるのかもしれないですね。

――その目標の内容についてもお聞きしたいです。

龍ヶ崎リン:
まず1番近い目標としては、 有料のオンラインソロライブをやりたいっていうのがあって。その次の階段を上がった先には、 全曲自分のオリ曲でやる現地ありのライブっていうのがあって、そこの階段の途中にアルバムのリリースとか、音楽関係の目標がぎゅっとあって。そしてそうやってライブの機会を重ねて行く過程で、どんどん会場のキャパを大きくしていきたいです。あと大きな目標と言えば、「VTuberで音楽やってる人といえば、誰々だよね」って話す時にみなさんいろんな方の名前を上げられると思うんですけど、その中に必ず自分が入りたいって目標があります。

――どれも明確な目標ですね。

龍ヶ崎リン:
でも、この明確な目標を作るのにも時間がかかりました。最初からこう思えていたわけじゃないですね。

――最初の頃はどうでしたか?

龍ヶ崎リン:
最初は正直すっごいふわっとしてて、なんか「色んな人に自分の音楽を聞いてもらえたらいいな」みたいな。あとそもそも明確な目標を立てられる材料が何もなかったというか、やっぱり何の実績も出せてないのに、「オリ曲出したいです。ライブしたいです。」っていうのは、企業所属VTuberとして活動している上では難しい部分もあるって自覚があったので。

――活動を継続していく中で、自分の置かれている環境が明確に把握できるようになってから、そういう具体的な目標も立てられるようになっていった感じでしょうか?

龍ヶ崎リン:
そうですね。自分でもそこの客観視を大事にするようになってから、 「今の自分のこのレベルだったらこれ」っていうのがわかりやすくなっていった感はあります。

――なるほど。そういう風に常にやりたいことや目標があって、しかも「受け身じゃなく、 常に自分やリスナーさんが楽しむために」というモチベーションをしっかり継続して持ち続けられているからこそ、ここまで3年間活動を続けることができたのでしょうか?

龍ヶ崎リン:
そういう目標や野心もあるし、「いや、これを叶えてないんだから、絶対にやめたくない」っていう意志が今日までの活動に繋がってきたのも大きいです。でも、野心とは真反対だと思うんですけど、”自信のなさ”も3年間活動を続けてきたモチベーションです。

――“自信のなさ”ですか?

龍ヶ崎リン:
はい。音楽をやるためにVTuberになったのに、自分が思い描いているような音楽活動は全くできなかった活動初期の頃に、「音楽をやるためにVTuberになったのに、面白いことだけを自分に求められるんだったら配信活動を減らしたい。その分音楽を制作する時間を作りたい」と運営さんに話してみたり、「音楽ができないんだったら、この事務所辞めよう」と思ってたりした時期すらあったんです。でも結局配信も事務所もどっちも辞めなかったのは、「え、じゃあ配信をやらずに、音楽だけで伸びる自信があるんですか?」「今の自分の状態でVTuberをやめて、環境を変えたからってそれで何が変わるの?」と自分で自分を問いただした時に、「いや、ない」っていう答えが出て。そこで自信が持てなかったからこそ、「より経験値を積んでレベルアップしていくために、ここは逃げちゃダメだな」と思って活動を続けてきたところもありますね。もちろん今でもそういう意味での自信はないんですけど。

――「とにかくもう逃げずに自分はここでやってやるしかない」という結論に至ったと。

龍ヶ崎リン:
至りましたね。

念願のシングルリリース「Twilight Stream」と「追熟」

――そういう経緯もありつつ、今年ついにファーストシングルとセカンドシングルと立て続けにオリジナル楽曲の制作機会が持てているということですが、活動を始めた最初から、当然「オリジナル曲を作りたい」とはずっと思っていらしたということですよね?

龍ヶ崎リン:
最初から作りたいと思っていたからこそ、VTuberデビューの初日に自分でもオリジナルラップ作って投稿したぐらいだったんですけど、オリジナル曲は色んな兼ね合いがあって、ようやく今年っていう形になりました。

――ではもう、本当に念願のっていうことなんですね。

龍ヶ崎リン:
いや、本当にそうですね。

――2/5にリリースされたファーストシングル「Twilight Stream」を踏まえての今回のセカンドシングル「追熟」ということで、こちらはどういう流れで制作されていきましたか?

龍ヶ崎リン:
「Twilight Stream」と「追熟」は同時進行で作ってたんですよ。なので「Twilight Stream」と「追熟」、どちらをファーストとして出すかっていうのも、最初は悩んでたんです。最終的に「Twilight Stream」をファーストシングルにしたのは、「Twilight Stream」が3年間活動してきた今の自分の集大成だということと、「これからファンのみんなとこういう未来を作っていきたいよ」っていう、希望溢れるキラキラした世界観の楽曲だったことが決め手になりました。

そして今回の追熟は、曲のコンセプトとしては”応援歌”として、アザミさんに作っていただきました。アザミさんに「こういう楽曲にしたいです。」というメモを最初に送って、そこから色々イメージのすり合わせをしながらできて行った曲です。「Twilight Stream」も「追熟」 も、作家さんに全部丸投げじゃなくて、僕の「聞き手の人にこういう捉え方をしてほしい」とか、「心の底でこう思ってるこの気持ちを上手く歌詞に織り込んでほしい」みたいなところをすごく大事にしてもらっていて、曲調も、僕がブラックミュージックやシティポップが好きなので、そういう自分の音楽のルーツに沿った曲をイメージして作ってもらっています。

「追熟」の歌詞については、根本は僕のリスナーさんや大切な人、そういう愛する人達が困難や壁にぶつかった時に、「僕がいるよ」と手を差し述べられるような、絶対的存在としてありたいなとすごく思うんですよね。その思いを込めつつ、「不満や葛藤の中でもがき苦しんでる毎日の中で、今抱いているネガティブな気持ちもいつかは気に留まらないものになるよ」っていう、エールの気持ちも込めている楽曲です。

――今回、「アザミさんにお願いしよう」となったのは、龍ヶ崎さん発信ですか?それともスタッフの方ですか?

龍ヶ崎リン:
あ、僕です。

――楽曲制作をアザミさんにお願いしたかったのはなぜですか?

龍ヶ崎リン:
僕が毎週YouTubeでやってる深夜ラジオの中で、VTuberさんの楽曲を紹介するコーナーがあるんです。そこでリスナーさんから「アザミさんの曲を流してほしい」っていうリクエストがあって、楽曲の使用許可をいただくためにアザミさんに僕がコンタクトを取りに行ったのが直接的な出会いのきっかけです。ただその前から、アザミさんのことはもちろん知っていましたし、サウンドもそうなんですけど特にアザミさんの歌詞の比喩表現や世界観がすごく好きだったので、オリ曲はアザミさんにお願いしたいとずっと思っていました。

――今回、作曲はアザミさんがやられていて、作詞に関しても龍ヶ崎さんのイメージを元にアザミさんが書かれたという流れでしたか?

龍ヶ崎リン:
そうですね、僕がイメージを渡して、その言葉をこう、アザミさん節が効いた歌詞に書き換えてもらった感じですね。

――「追熟」で特に注目して欲しいポイントはありますか?

龍ヶ崎リン:
今までの自分の歌いまわしとはちょっと違うなと思っています。僕はアザミさんの歌い方や息を抜くタイミングとかがすごく好きなので、今回の楽曲に合わせてアザミさんの歌い方の良さと自分らしさをミックスさせたつもりです。そういう歌い方や声質とかの部分で、今まで僕が出してきた曲とは少し違った雰囲気を感じてもらえるんじゃないかなと思います。

「龍ヶ崎リンが早い時間から配信すると、いつもより夜が長い」

――歌声も話し声も、龍ヶ崎さんの声は人の深夜の孤独に寄り添う声だなと感じるのですが、実際深夜帯にラジオ配信やASMRの配信をされているじゃないですか。 「深夜に」というところにこだわりはありますか?

龍ヶ崎リン:
元々「オールナイトニッポン」とか、深夜ラジオがすごく好きで。その深夜ラジオっていうか、深夜に誰かの声を聞くっていうことが好きだなと思った理由が、夜寝る前とかって割と僕、なんか考えがちなんですよ。

――どういったことをですか?

龍ヶ崎リン:
余計なこととかを結構考えがちで、なんかそういう時に安心する声だったりとか、 「この人の声好きだな~、何喋っててもいいわ」って思える声の人がぼそぼそ喋っているのを聞くとすごく安心するんですよ。なのでそういう僕みたいなタイプの人がリスナーさんの中にもいたら、今度は僕がみんなを安心させられる側になれたらいいなっていう気持ちもあったり。あと「この人の声はこの時間帯に聞きたいな」みたいなのってないですか? 僕は割とあります。(笑)

 ――ありますよね。

龍ヶ崎リン:
明るい時間は元気な声というか、明るい感じの声が聞きたくて、夜はちょっとダウナーな感じというか、まったり喋るような雰囲気がある人の声を聞きたいっていう、自分の中でのジャンル分けがあって。そこで「自分の声の場合は夜だな」と思ったっていうのがありますね。なので、リスナーさんが寝る前とか、一日を終える時間の生活の一部に自分がなれてたら嬉しいなと思ってます。

実際にリスナーさんからも、僕が深夜の配信を長くやってきているからか、たまに早い時間から配信すると、「龍ヶ崎リンが早い時間から配信すると夜が長い」「いつもより夜が長く感じる」ってよく聞きます。

―― 龍ヶ崎さんの配信を拝見すると、ファンの方との関係性が「愛でる・愛でられる」の関係というよりは、いい意味でのプロレスっぽさがある印象でした。ご自身も配信でリスナーさんとの関係性を「悪友」と例えられていたり、また「そういう関係性になれるように自分から(ファンの方を)誘導していった」ということも配信でおっしゃっていましたが、そういう関係性をファンの方と築いていきたいと思った理由はありますか?

龍ヶ崎リン:
単純に「褒められるのが苦手」っていうのが1番大きくて。本当になんて返せばいいかわからなくなってしまうので。(笑)あと「僕たちって、昔からの知り合いじゃないけど、昔からの友達みたいな感じだよね。」みたいな話をリスナーさんによくするんですけど、「昔から本当に友達だった」と錯覚するぐらいの関係性って自分にとってもすごく心の拠り所になるなと。僕は初対面の人には話せないような内容の話もリスナーさんには話しているので、リスナーさんにも心を開いてもらって、本当に居心地よく友達の家に遊びに来たみたいな、リラックスした状態で僕の配信を見てほしいなって気持ちもあります。僕にとっても、ふざけ合ったりとか、リスナーさんにちょっかいかけたり、かけられたりっていう関係性は、本当に理想の友達関係って感じでとても好きです。

――最後にお聞きしますが、龍ヶ崎さんにとってファンのみなさんはどんな存在ですか?

龍ヶ崎リン:
リスナーさんが日常で嫌なことがあった時に、僕の配信や音楽を聞いて、その気持ちがふっと軽くなってもらえたらいいなと思っているので、ってことはやっぱり愛する人なんでしょうね(笑)。ちょっとこっぱずかしいんであんまりこういうこと言うの苦手なんですけど(笑)。

龍ケ崎リン「追熟」概要

発売日 2023.3/28(⽕)
 Lyrics / Music アザミ
Guitar サカモトコウタ( from Narco-lepsy )
収録 M1. 追熟
M2. 追熟(Instrumental)
(Digital Release / YouTube)

龍ヶ崎リン 2nd Single「追熟」
https://linkco.re/b901hZH0

「追熟」Music Video
https://youtu.be/hA4Jy5DHtfM


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