Home » 【PSVR2 先行体験】6年越しに発表された新ヘッドセットは何が「次世代」だったのか?


PlayStation VR 2022.09.14

【PSVR2 先行体験】6年越しに発表された新ヘッドセットは何が「次世代」だったのか?

2023年初頭に発売を予定しているPlayStation VR2(以下、PSVR2)。PlayStation 5向けのVRヘッドセットとして発表されて以来、デバイスの外見やコントローラー、機能やスペックなどの詳細が徐々に明らかになっています。

9月15日から開催されるTOKYO GAME SHOW 2022では「バイオハザード ヴィレッジ」のVR版の初お披露目が予定されていますが、先立ってメディア体験会が開催。MoguLive編集部ではPSVR2を先行体験してきました。

PSVR2は、ソニーインタラクティブエンタテインメントにとって、2016年に発売されたPlayStation 4向けVRヘッドセットPlayStation VR(PSVR)から6年ぶりの新型VRヘッドセットです。

6年ぶりということもあり、公表されているスペックは4K・HDRやコントローラーの刷新など、あらゆる側面で”次世代モデル”と冠するに相応しいものとなっています。

メディア体験会は、PSVR2の使い方のレクチャーを受けたあと、2つのタイトルのデモを体験するというもの。いずれも本編ではなくデモコンテンツでしたが、それぞれ30分から1時間ほど試遊できました。

・「Horizon Call of the Mountain」
・「バイオハザード ヴィレッジ」

今回はプレイアブルなデバイスとタイトルを体験する場だったため、PSVR2の技術面への質問などはできず、VRヘッドセット本体の純粋なレポートとなります。

6年ぶりとなるSIEのVRヘッドセットはどこまで進化したのか? Meta Quest 2など他のVRヘッドセットとは何が違うのか? 各メディア1名という厳選された状況で、編集長のすんくぼが体験してきた生の感想をお届けします。

本当のファーストインプレッション:初代と同じ機構も踏襲し、次世代へ

ここから先のレビューで大前提になるので、最初に書いておかねばならないのが「PSVR2を何と比較するのか?」です。「2」と銘打たれているからには、2016年に発売された初代PSVRとの比較を行うべきなのかもしれません。

しかし、VRユーザーにとって6年という年月はあまりに時間が経ちすぎました。この間、Meta(当時はFacebook)は4モデル、HTCは9モデルを世に送り出しています。外にもValve、HP、Varjoなど2016年時点では参入していなかったメーカーも参入。1機種だけで姿を消した企業もあります。バリエーションも様々で、コンシューマー向けでなく、企業利用に特化したモデルも登場しています。

今回のレビューではコンシューマー向けのVRヘッドセットとの比較、特に現在かなりのペースで一般ユーザーに広がりつつある一体型VRヘッドセット「Meta Quest 2」との比較が中心となります。また、PS5との接続型であるという点でゲーミングPCと接続するPCVRも意識しています。

初代を踏襲した装着方法やイヤホンの取り回し

さて、本題に移りましょう。体験会でさっそく実機と対面したときに思ったことは「思っていたよりは小型化してない」という感想です。

初代と比べれば、だいぶスリムになったのですが、Quest 2と比べると「やや大きいかな」といったサイズ感。Meta Quest 2や初代PSVRを比較用に持ってくればよかったと後悔しました。バッテリーなどは搭載していないため、装着感は見た目のサイズほどは重くないといったところです。

そして、PSVR2の装着方法は1と全く同じです。リング状のヘッドバンドを引っ張って広げながら、頭に被り、後ろのリングを回して固定をしていきます。また、ヘッドセット上部にあるボタンを押し込みながら、ヘッドセットを前後に動かせるため、ピントの調整を行います。

PSVR2を快適に体験するためには、上下前後の位置が非常に重要です。ボタンを押しながらのヘッドセットの前後方向、さらにヘッドバンドを深く頭に載せてバンドを締める上下方向、いずれもズレると見え方がボヤけたり、色が綺麗に見えなかったりするので、しっかり装着する必要があります。

また、音に関しても初代PSVRを踏襲しています。正確には、PSVRの改良型で付属したのと同じような有線イヤホンを装着。Quest 2のヘッドバンドにスピーカーがある機構やValve Index、Reverb G2のような非接触のヘッドホンではありません。遮音性や没入感を重視したのでしょうか。

PSVR2の設定は、接続中にのみPS5のホーム画面に登場するカードから行います。今回はその中でも見え方の調整とアイトラッキングの調整、エリアの調整を行いました。

見え方の調整

見え方の調整では、レンズの中心部分と目の中心の位置が、ある程度揃っているかを確認します。スクリーンショットがないので、文字での説明になりますが、目の前に黒い背景の中、ヘッドセットのレンズが並んだ図があり、いま目がレンズの中に入っているかどうかが表示されています。目がおさまっていたら青く、おさまっていない場合は赤くなり、正しい状態かどうかひと目で分かります。

赤い場合は、ヘッドセット下部にあるダイヤルを回してIPD(視点間距離)を調節します。多くの機種では「くっきり見えるかどうか」という主観的な判断でIPDを調節することがほとんどでしたが、PSVR2には視線追跡(アイトラッキング)の機能が搭載されているため、正しい位置を表示することができます。なお、Varjo Aeroなどアイトラッキングの機能を搭載したハイエンドな機種では、このIPD調整が自動で行われる機種もあります。

続いて、アイトラッキングの調整を行います。この後も登場するように、アイトラッキングの調整はPSVR2の体験を存分に堪能するためには必須です。

アイトラッキングの調節は2ステップ。両方のステップとも動く点をじっと目で追いかけるというもの。首を動かさないように慎重にする必要があります。

STEP1:黒背景で斜めに4点移動する点を追いかける
STEP2:白背景で縦横に4点移動する点を追いかける

この2つを完了すれば調整は終了です。

シースルーモードとゲームライクなエリア設定

次に、コントローラーを手に持って体験エリアを設定します。その際に使用するのが「シースルーモード」。

シースルーモードは名前の通り、ヘッドセット前部についている4基のカメラを通して周囲を確認できるモードです。Quest 2などと同様に白黒で周囲が見えるというもの。Quest 2でもエリア設定のために使用しますが、PSVR2はかなりクリアな印象。周りにいる人の表情や、スマホの画面を確認できる程度には解像度が高く、また歪みなどもないものでした。

置いてあるコントローラーを手にとって、ストラップに手首を通し、オーブに手を入れる感じで手に持ちます。

エリア設定は、Quest2など他のヘッドセットと若干異なる方法を採用。最初にヘッドセットを装着したまま、ナビに従ってグルリと回りを見ていくと空間が3Dスキャンされていく様子がやや近未来なエフェクトでマッピングされていきます。VRやARに詳しい人には、「HoloLens 2やMagic Leap 1のマッピングに似ている」というと伝わるかもしれません。

マッピングが完了すると自動でエリアの候補が表示されます。Quest 2などでは自分で地面に線を引いていくかのようにエリアを設定しますが、PSVR2の場合はシステムが自動でエリアを表示してくるという方法。あくまでも候補なので、エリアの拡大や縮小は、切って貼るような感覚で行う、少しゲームチックな方法でエリアを整えていきます。

今回の体験会では事前に設定済だったので、エリア設定の方法は説明時に眺めただけでした。候補を表示するときは、段差なども自動で判定してくれているので、危険性などを自分で判断しなくていいのは楽かもしれません。最低でも2m×2mは必要とのこと。

「大きい!」が、存在感のないコントローラー

本体の後はコントローラーです。初代PSVRは、PS4時代のトラッキングシステムだったため、ゲームコントローラーであるDualshock4を使うか、両手で操作したければ、PS3時代からのPS Moveコントローラーを使うか、といった選択肢しかなく、操作感と精度は正直あまりよくありませんでした。

PSVR2ではこの点が大幅に改善し、体感は雲泥の差。専用に設計されたSenseコントローラーはPS5向けのDualSenseコントローラーの要素が両手に持てるハンドコントローラーとして散りばめられています。

置いてある実機を見た時の第一印象は「大きい!」という点。特にトラッキングを行うための円形のオーブは手を通せるほどであり、巨大です。Quest 2など他のVRヘッドセットでもこの円形の機構がありますが、Senseコントローラーは2周りほど大きく、見た目の存在感があります。



こんな感じでストラップに手を通し、オーブの中に手を入れて持つ。プレイ中は周りに物がなければこの大きさは気にならないが、自室などの狭い空間で遊ぶ場合は壁などに当たらないように気を遣うことにはなりそう。

ボタンの配置は、Quest 2などと同じ。人差し指を引っ掛けるトリガーがR2・L2、中指を握り込むグリップボタンがR1・L1と、従来のPlayStationのゲームコントローラーとは上下が逆ですが、実際に操作するときの感覚としては自然です。

戸惑うのは親指で操作する部分にある、PlayStationの顔とも言うべき「◯✕△▢ボタン」。左手に△と▢、右手に◯と✕が割り振られています。Quest 2などのボタン配置と同じなので、VRを遊んだことがある人には自然な配置ですが、これまでPlayStationのゲームコントローラーに慣れていれば慣れているほど、どのボタンがどこにあるのか戸惑ってしまうかもしれません。これまでのどのPlayStationのゲームコントローラーでも4つのボタンは右側に配置されており、全て右手の親指で操作してきました。左手にある△ボタンや▢ボタンを押すときに、筆者も最初は右手の親指を必死に動かして、存在しないボタンを探してしまっていました。

SHAREボタン、OPTIONボタン、そして2本のスティックはそれぞれ左右に割り振られています。なお、ボタンにはセンサーが配置されており、ボタンの上に指を置くだけで、押し込まなくてもジェスチャーが反映される点もQuest 2と同じです。


横からみた様子、トリガーは柔らかく、グリップは握り込み用なので硬め。なお、トリガーはアダプティブトリガーが組み込まれており、押し込みの硬さを変更することが可能だ。

VRのコントローラーというと、HTC VIVEのワンド(棒状のコントローラー)、Oculus QuestシリーズのTouchコントローラーのように、「棒状の握りをしっかりと持つ」ことで、常に”何かを握っている感覚”があります。一方、PSVR2のSenseコントローラーは、重心の設計的にも、実際に持ったときの感覚として、見かけほどの重さは感じません。印象としてはMetaがFacebook時代の2016年に発売したVRヘッドセットOculus RiftのTouchコントローラーに近い、何も持っていない感覚がありました。PS Moveコントローラーと比較としては劇的な改善と言えるでしょう。

また、きめ細やかな触覚フィードバックはPSVR2の大きな特長になりそうです。触覚を伝えるのは、埋め込まれているハプティク機能ですが、こちらもDualSenseと同様コントローラー全体に複数の振動機構が備わっています。通常のVR向けコントローラーよりも多い印象で、体感がかなり異なります。「Horizon Call of Mountain」で矢をつがえて弓矢を引くときに、弓を持っている左手のコントローラー内部の数カ所がキリキリと振動し、矢の末端を持っている右手のコントローラーはまた違う感触を伝えてきました。

また、トラッキングエリアは視野よりも広いため、範囲外に手があっても気づかず、範囲外に出した手を戻すときはちゃんとその方向から手が現れます。Quest 2などでも当たり前に搭載されていますが、PSVR2でも問題なく動作していました。

4KHDRで実現した”普通”のグラフィッククオリティ

実際に体験するグラフィッククオリティはどの程度なのか。公称値では2000×2040の有機RLパネルを2枚使用し、実質4KHDRを謳(うた)っています。

第一印象は「普通に綺麗」。2つのデモコンテンツの中でも、もともと8K解像度にすら対応していた「バイオハザードヴィレッジ」のVR版を体験したときに感じられました。ゲーム序盤の舞台であるドミトレスク城の周囲の村で雪が積もっている様子は、かつて筆者がテレビの画面でプレイしたときの記憶を呼び起こすには十分なものでした。そして、城の内装や調度類の細かな表現がクリアに確認できました。文字はクリアに読め、草が揺れる様子が確認できました。そして120Hzで秒間120回描画されるため、非常にヌルヌルと違和感なく動きます。

筆者は”普通に”という言葉をポジティブに使っています。VRでは”普通に”綺麗な画質を実現するには一筋縄では行きません。基本的には、とにかく描画の処理負荷が高いため、グラフィックのクオリティを落とさなければなりませんでした。

しかし、PSVR2ではハードウェアのスペックが高くなったこと、さらにアイトラッキングを使って処理を最適化し、負荷を軽減することで、体験時にはグラフィックの劣化をあまり感じさせない「フォービエイテッド・レンダリング」が機能しています。フォービエイテッド・レンダリングでは、アイトラッキングで眼球の動きをセンシングしてから描画処理を行うわけですが、その処理に遅延はなく、眼球を動かしても遅延を感じることはない自然な体験でした。

PSVR2では、多くのVRではヘッドセットが液晶を採用する中で、相対的に発色が良く、黒の見え方が良い有機ELを使い続け、HDRにも対応することで、ビビッドな表現ができているように感じられました。

家庭用のグラフィックにこだわったゲームだからこそ、VRでも劣化を感じることなく、そのこだわりを見られることで、画面の中のゲームの中の世界に入り込んだような”普通に”綺麗なVR体験が実現しているのです。

他のVRヘッドセットと比較すると……?

筆者の場合、他の各種VRヘッドセットもほとんど体験したことがあるため、特にハイエンドのVRヘッドセットと比較してしまうと「上には上がある」と思ってしまいますが、比べるVRヘッドセットはいずれも高性能なゲーミングPCを揃わねばならず、本体も数万円から数十万円とまさにハイエンドにふさわしいお値段でした。

数万円の家庭用ゲーム機と価格は未発表ですがおそらく数万円のVRヘッドセットで、ハイエンドの入り口とも言えるクオリティのVRが体験できるのは新たな展開と言えるでしょう。

ちなみに、Meta Quest 2は画質のスペック自体は近いですが、一体型であり処理を行うコンピューティングパワーが全く異なるため、単体動作の場合、グラフィックはPSVR2が圧倒的に美麗です。

なお、VRで画質が上がった結果、逆に気になることも増えるという現象が起きます。たとえばNPC(ノンプレイヤーキャラクター)が綺麗に見え過ぎているがゆえに、表情などの動きが少なかったり、髪の毛が揺れなかったり、すると違和感があるなど。開発の難度も上がるためコンテンツによってはPSVR2のポテンシャルを活かせないこともあると考えられます。理想のVRに近づいていることでもあるので、今後は開発技術の進化にも期待したいところです。

コンシューマー向けVRヘッドセット ディスプレイ性能比較

デバイス名(メーカー) 発売時期 ディスプレイ種別 解像度 フォービエイテッド・レンダリング
初代PSV(SIE) 2016 有機EL
(フルRGB)
960×1080×2
Valve Index(Valve) 2018 液晶 1440×1600×2
Meta Quest 2(Meta) 2020 液晶 1832×1920×2
PSVR2(SIE) 2023 有機EL
(フルRGBと推測)
2000×2040×2
Reverb G2(HP) 2020 液晶 2160×2160×2
VIVE Pro 2(HTC) 2021 液晶 2448 × 2448×2
MeganeX(Shiftall) 2022
(予定)
マイクロOLED 2560×2560×2
Varjo Aero(Varjo) 2021 デュアルミニLED液晶 2880×2720×2

VRヘッドセットの振動は意外と優しかった

今回、PSVR2で搭載されているユニークな機能に「VRヘッドセット自体が振動してよりリアルな体験ができる」というものがあります。

内蔵モーターが振動することにより触覚要素が追加され、プレイヤーがゲーム内のアクションから受ける感覚を増幅させます。

緊迫した場面でのキャラクターの脈拍の上昇や、頭の近くを物が通過したときの衝撃、スピードを出したときの車の振動などをリアルに体験できます。

「Horizon Call of the Mountain」では巨大な機械獣が頭上を歩いているとき、「バイオハザード ヴィレッジ」ではドミトレスク三姉妹に倒されたまま廊下を引きずられるとき、ヘッドセットが振動します。ただ、筆者が体験した限りでは、振動は優しい感じでやや弱め。臨場感豊かなほどかというと、たしかに「エッセンスとしてはあるといいのかな」という程度。VR酔いの防止にも繋がる効果があるようなので、ただ没入感を高めることに繋がるだけの機能ではないようです。

同じくコントローラーのトリガーの硬さを調節するアダプティブトリガーについても、体験したデモではあまり感じられず。こうしたPSVR2固有の機能は、フルに活用すると体験の質が上がる一方、どこまで活かすか開発者任せとなるため、各タイトルでどこまで使われるか気になるところです。

総評:次世代機にふさわしいデバイスだと思うが……

ここまで、現地での体験を通じたPSVR2のレポートをお送りしてきました。ハードウェアとしては圧倒的な進化を遂げており、競合デバイスと比べても特長が多いデバイスであることは間違いありません。

一方、対応コンテンツがどこまであるのかまだ不明なこと、価格が不明なこと、PS5含め在庫状況に不安があること、などまだ未確定な情報も多くあります。ハードウェアとしての総合評価を下すにはまだ後続の情報等を待つ必要がありそうです。

MoguLiveでは、メディア向け体験会で体験できた2タイトルの詳細な体験レポートと開発者インタビューも随時掲載していきます。


VR/AR/VTuber専門メディア「Mogura」が今注目するキーワード