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VTuber 2021.01.01

2021年はこの才能に注目! 期待のクリエイターVTuberまとめ

2020年はVTuber文化が定着してきたこともあって、精力的にクリエイター・アーティスト活動をする様子が多く見られるようになってきました。今回はこれまで目覚ましい活動を行い、今後に大きく期待が持てるVTuberを独断と偏見で選び、紹介していきます。もし知らないVTuberがいたら、年始のおせちのお供にアーカイブを見てみませんか?

物語映像VTuber

メトロミュー / ECLAIR GROOVE

宇宙を一人旅しながら歌を作るメトロミューの、ビデオログのような作りのチャンネル。ユニークな惑星に降りてその土地の空気を味わい、感情をエレクトロニカのメロディとウィスパーボイスで曲として紡いでいます。淡い色合いとビビッドなカラーをセンスよくまぜあわせた画面構成も魅力的。出てくるショート動画とMVのクオリティは上がる一方なので、一度ハマったら病みつきになること間違いなしのチャンネルです。

キトネ

元人間だったロボットが、かつての人間世界の風習を思い出すべくアミューズメント施設を訪れる……というシチュエーションのショート動画のオムニバスシリーズチャンネル。それぞれ1分くらいの短い動画作品なのですぐ見られるのが特徴。未来のロボット目線で現代人間社会を俯瞰して見ているような、不思議な感覚が感じられる独特な味わいがあります。ほんわかした人間のいない世界、ぜひ味わってみてください。

空想料理店 蟹

以前から独自の映像で人気のあったVTuber蟹も、2020年には空想料理店として唯一無二の制作スタイルと世界観が話題になりました。ローポリにこだわった3D映像をビデオテープにダビングして落とし、データとして取り直すLo-Fiスタイル。ゆるやかな独特な語り口と、奇妙な素材を組み合わせた空想料理映像は毎回想定外。VTuber界隈ならずとも珍しいスタイルなので、普段YouTubeを見ない人の間にも飛び出してほしい作家です。蟹の映像技術は、にじさんじライバー緑仙の「夜明けまで」のMVなどにも起用されました。

苺病くすり【MarbleCreators】

流浪するデザイナーの少女が運営するチャンネル。歌動画やASMR、配信コラボなども行っているものの、アップされる動画の数々やTwitterのショート動画はかなり不穏なものぞろい。かわいらしさを追求したポップなデザインと、その裏に潜む何らかの力、時折ボロボロと涙を流す姿の謎はいまだ解かれていません。果たして彼女は一体何者で、裏に何があるのか。画面全体のデザインはものすごく凝っており、なめらかすぎるほどよく動くモデルも必見。音楽面でも精力的に活動しており、ファッションやグッズデザインにも注力しているバーチャルクリエイターです。

イラスト・造形VTuber

粛正罰丸

様々な歌やコラボ配信でも活動している粛正罰丸。「イラストを描く」ことを軸とした動画制作は、長い活動の中現在も揺るがず続いています。メイキング配信のみならず、イラスト技術具体的な解説の動画もアップしているのが特徴で、絵は○○するだけで上手くなる、イラストの練習はこれをやったほうがいい、など具体的なアドバイスも動画内で実践。語りがうまいため「絵を描くこと」自体を動画化する中で見事にエンタメに昇華しています。2021年はさらにマルチな活動で人気上昇していきそうです。

ディープブリザード

2018年初頭のVTuber最初期から活動し人気を博しているディープブリザード。最近は「VTuber」という肩書にはこだわらなくなり、イラストの技法をしっかり伝えることをメインにした、見てすぐに役に立つアーカイブを多数アップし続けています。中でも2020年は週一の「Radio Closet」シリーズが話題。絵を描くのが好きな様々なファンからもらった悩みに対して、優しい姿のディープブリザードがプロの視点から丁寧に答えていくコーナーで、どうプラスにつなげるかの論理的な意見と、悩みに共感する姿の両方を見せてくれるので非常に参考になります。ワコムとの正式コラボも決定しており、2021年は「イラストの描き方と楽しさを伝える伝道師」としてさらに大きく羽ばたきそうです。

宮間めさの『テイコク立体』

大正・昭和期の建造物や軍艦や戦車を3Dモデリングし、それを3Dプリンターで出力、彩色するまでを、エンタメ要素満載の動画で撮影していくチャンネル。瓶底眼鏡の少女が3Dモデル作成の様子を楽しそうに語る様子がとても楽しく、思わずやってみたくなるほど。制作の際の値段等も話しているので、手を伸ばしたくなるかもしれません。モデル元の歴史的解説がしっかり入っているのみならず、各種3Dプリンターやレジンの比較検証のようなものもやっています。原型のための3Dモデリングも行っているので、見ればあらゆる知識が身につく技術系VTuberです。

エンタテイメント企画VTuber

三珠さくまるch

「モザイクを消すAIでVTuberを実写化する」などの意外な切り口のネタから、「VTuberの技術でひざまくらに命宿す」などの高いVR技術を無駄遣いする内容まで、ユニークな動画を追求し続けている三珠さくまる。注目したいのはVR技術と三珠さくまるのジャグリング技術を生かした「V道芸」の実践。現在は日本ジャグリング協会公認で活動しています。V道芸、技術は必要で簡単にはできないですが、ぜひ流行ってほしいエンタメジャンルです。

レオン・ゼロミヤ [Leon Zeromiya]

VR上で面白いことをするために、全力を尽くすレオン・ゼロミヤ。フルトラッキングのボディをいかした「細かすぎて伝わらないモノマネ」シリーズや、他のVTuberを集めて行った「ヤバいファンしかいない握手会対応バトル」などユニークな企画を次々実施しています。またVTuberのおすすめ動画をゲストと語り合う「V-Video Night」も月一で開催中。VTuberとしてどんな面白いことができるかを日々考え実施する、行動型なエンターテイナー魂が詰まった動画ぞろいです。

グウェル・オス・ガール / Gwelu Os Gar 【にじさんじ】

にじさんじオーディションに応募した理由が「人数が多くて企画ができるから」というくらいの企画屋、グウェル・オス・ガール。あまり類を見ない独創的な企画を、作り込んだ下準備で実施し、視聴者を楽しませ続けました。水に潜った瞬間自身も水に潜る「水中マリカ」シリーズ、分数ができない子に高校積分まで教える数学教育シリーズ、誰も言葉を発してはいけない「無言桃鉄」、にじさんじの意外と知らない知識を集めた「にじビアの泉」など、大掛かりな企画を連発中。2011年さらに多くのライバー、はたまた箱を越えた企画にも期待です。

怪談・伝承VTuber

噂ノのろいちゃんねる

デビューしてからずっと怪談の朗読動画を作りつづけており、今や70本近くもあがっているVTuberのろいちゃんチャンネル。ホラー、都市伝説を聞きやすい語り口で紡いでおり、動画の雰囲気作りの背景やBGM、効果音もかなり凝ったものになっています。恐怖心を煽る演技力も抜群。解説のアフタートークやイラストメイキングなども見ていて楽しいボリューム満載のチャンネルです。

花琴いぐさ【妖怪ちゃんねる】

妖怪の伝承は、調べれば調べるほどこんなにも面白い。自作の妖怪解説イラストと和製ファンタジー調の演出が印象的な動画シリーズがアップされており、キュートな解説口調としっとりした物語朗読のギャップも楽しい内容になっています。妖怪図鑑的な楽しみ方ができるので、子供にも特にオススメ。アーカイブが蓄積して一大妖怪絵巻になってほしいチャンネルです。

かすみ みたまの現世幻談チャンネル

大人びた声での怪談語りがぞくりとさせてくる、現代的な怪談が多数アップされているチャンネル。現世で起きた怪談奇談を紹介のため収集することで、幽霊であるかすみみたまがこれからの活動の参考にしているようです。実際に視聴者から寄せられた怪談の朗読は、なかなかヒヤヒヤするものぞろい。怪談に対する感想の動画もアップしているのが特徴で、怪談への愛情が感じられます。

ゲーム制作VTuber

包帯少女makoちゃん

STEAMで発売されている「VR包帯少女」は、包帯でぐるぐる巻きの少女が包帯を伸ばして遠くをつかみ、瞬時に移動する爽快移動アクションゲーム。VTuberとしての活動では、「VR包帯少女」のゲームについての解説の他、Unityを使った様々なゲーム制作の様子を撮影しアップしています。技術面での話を具体的に語っているので、ゲームづくりに興味がある人にはオススメしたいチャンネルです。

市松寿ゞ謡/ItimatuSuzuka

多くのVTuberやゲーム実況者を驚かせたゲーム「GOHOME」は、少女が家に帰るだけのはずなのですが、そこに至るまでのギミックや街のデザインなどが非常にサイケデリックで悪夢的だったため、大変話題になりました。その作者である市松寿ゞ謡は映像も音楽もすべて自身で制作しているマルチクリエイター。中でもオリジナル曲MVの和風狂乱スタイルは他に類がなく、いずれもインパクト抜群。この独自のセンスを生かした楽曲やゲームが今後も作られることに期待してしまいます。興味がある方はぜひいくつかアップされている歌動画からぜひ。

音楽VTuber

おつかれベイビーズ

VTuberの青春ありかたが、ここにある。ナナメ、レグナ、桜葉どらいぶ、樫野創音、鷹森ツヅルという、個人でVTuber活動をコツコツ続けてきた面々がバンドを結成。音楽が大好きな仲間が集まって深夜音楽談義をするような楽しそうな姿は、青春期にバンド経験をした人にはたまらないものがあるはずです。「大好き」を伝えるメンバーの楽曲は非常にみずみずしい。個人VTuberで音楽を続けるのは本当に今は大変ですが、こういう形での新たな活動スタイルを楽しく送れる可能性を見せてくれました。おつベビの活動はもちろん、2021年はバンドスタイルで活動する他の個人VTuberの出現にも期待したいです。

SHiNO/雨ニマケテモ

音楽グループ「雨ニマケテモ」のボーカルVTuber SHiNOの歌声は、明るさと切なさが混じり、聴き終わった後に残る余韻が特徴的。オリジナル楽曲をいくつか発表しており、それぞれテーマも季節も違うはずなのに一貫して聴こえるのが雨ニマケテモイズム。爽やかながらも人の心の繊細さを曲で描くのがうまいため、腰を据えてじっくり味わってほしい作品ばかりです。2021年も自分のペースでじっくり等身大のエモを聴かせてほしいアーティストです。

AMOKA

主にVRChat内で活動し、MVもバーチャルワールド内撮影をしているVR MUSIC GROUPのAMOKA。あいぽ、もいさん、からし明太子の3人組で、オリジナル曲ではバーチャルリアリティの世界で生きることと存在意義を伸びやかに歌い上げているのが特徴。あいぽの、新たな価値観の楽しさを高らかに掲げる歌声が非常に心地いい。ポジティブで力強い曲で元気になりたい方にオススメしたいユニットです。

ViANKiE – virtual singer –

幅広い曲のレパートリーの中、洋楽も好んで歌っているViANKIE。特徴的なのは普段のアバターMVだけではなく、前衛芸術的イラストMVでの動画も多数アップしていること。またひとりアカペラ多重歌唱や多数のミニライブも披露し、多角的なスタイルでの音楽活動をしている。パワフルでたっぷりの声量と力のこもった音の響きが特徴で、一時期は毎日Twitterでボーカル動画をアップしていたこともあるほど精力的に活動をしていました。ボーカリストとしての実力と独自の音楽へのこだわりが見られる、これからがますます楽しみなVシンガーです。

MiCosmiC baby /ミコズミック ベイビー

バラード曲の音の機微の表現が非常に印象的な MiCosmiC★baby。かわいい声から大人っぽい声まで見事に使い分け、ハイトーンの決めもばっちり。パワフルなロックも疾走感抜群です。そして英語曲の発音のかっこよさをしっかり自分のものにしているのが、彼女の武器のひとつ。デビューしてまもない現時点ですでにモリモリとファンを集めている彼女、オリジナル曲にも期待したいミュージシャンです。

BOOGEY VOXX -official-

力強く通るCiの歌声と、自身の思いを爆発させるFraのラップが熱い二人組BOOGY VOXX。ものすごい頻度とクオリティの音楽動画と、それを合理的に行う「音楽を聞いてもらう」ための確固たる信念に基づいた活動にファンは急増中。今では発言と行動から様々な音楽VTuberに影響を与えている、着火剤のような存在になりつつあります。中でも個人VTuberがいかに生きていくかを語った配信は大いに話題を呼びました。ホットな感情論と、ミュージシャンとして生き抜くための考え方や視野がしっかりしており魅力的な、注目されているVアーティストです。

ヴィヴィアン・ケンジントン

音楽動画の量がすさまじく多い! ヴィヴィアン・ケンジントンはクリアでリズミカルなギター演奏技術と、柔らかくキュートながらもしっかりと言葉を捉えるボーカルで、全く手抜きなしの弾き語りをかなりの頻度で動画にしてアップロードしています。どの作品もしっかり作られている上に曲の幅が広いので、まずはアーカイブから好みの曲の動画を探して、彼女の技術を見て、聞いてみてください。

アザミ

大人びた歌声のVシンガーが好きなら文句なしにオススメできるのがアザミ。少しけだるげ、少し儚げ、そして一歩ひいた大人目線と静かな情熱。ちょっぴりシニカルに心の内を突きつけてくるような歌声は、夜の空気感がよく似合います。隣町本舗、BOOGEY VOXX、esora umaなど多様な音楽VTuberとのコラボを行っていたり、オリジナル曲アルバムを制作していたり、ソロライブを行ったりとかなり精力的に活動しているので、2021年も注目株になることは間違いなさそうです。

2021年は「VTuber文化」を活用した表現に注目

VTuberでの創作活動はアバターの使用を前提としているので、今まではアバターの外見に基づいた性質を活かす作品が比較的多めでした。例えば、科学的解説動画を作る時には理想の博士の格好で説明するといったことです。これは、どんなキャラクターにでもなれるVTuber文化ならではの特徴であり利点です。

しかし最近では「あくまでもアバターは自分自身のアイコン」であり、VTuberとしてのキャラクターとクリエイター活動が必ずしもイコールではない、という事例も増えてきました(上記で紹介したViANKIEさんもそうしたタイプのひとりです)。そういったケースの方々は「音楽やイラストなどを発表する際、自身の匂いを極力消して作品だけ純粋に見てもらいたい」という目的でアバターを使用していることが多いです。今まで顔出ししづらかったクリエイターがVTuberという手段を得て作品を発表できるようになった現状は「よい土壌が育ってきた」状態と言えるでしょう。

さらにVTuber文化が豊かになったことで「VTuberだから見る・聞く」という視聴者が増えています。作品を見てもらう入り口が広くなるのは、クリエイターにとって、とても大きな利点です。

「VTuber」という語の境界線がかなりあいまいになってきた2020年。2021年はさらにあいまい化して、バーチャルとリアルの境界線を壊した創作活動が生まれるかもしれません。そんな経緯で発表された作品にも注目したいところ。

一方で「バーチャルであること」への追求もかなり深まった2020年でした。VTuber・バーチャルの住人にしか味わえない楽しさを表現する作家がどんどん増えています。特にVRChatやClusterを独自文化として発展させているクリエイターが見せてくれる作品にも期待できそうです。

執筆:たまごまご


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