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テック 2018.09.01

「VRM」とは? そのメリットや対応アプリなど情報まとめ

ソーシャルVRアプリ「VRChat」やバーチャルYouTuber(バーチャルユーチューバー・VTuber)など、昨今では人が3DCGのキャラクターとなるための素体、すなわち「3Dアバター」を扱う需要が増えています。そんな中で株式会社ドワンゴは2018年4月、VRアプリケーション向けの人型3Dアバターデータを扱うための新しいファイルフォーマット「VRM」を発表、オープンソースでの提供を開始しました。

本記事ではこの「VRM」そのものや、対応アプリケーションについてご紹介します。

VRMとは?
VRMのメリット
VRM対応のアプリケーションやサービス
VRMデータを使ってみよう

VRMとは?

3DCGのモデルデータを扱うファイルフォーマットは、いくつかの標準規格やデファクトスタンダードはあるものの、アプリケーションごとの互換性が完全ではなかったり、モデリングツールや制作者ごとにデータの作り方に細かい違いがあったりと、「一度作ったデータをどのアプリケーションでも同じように扱える」までには至っていません。人型3Dアバターの扱いにおいて、こうした細かいモデルデータの差異を吸収・統一し、アプリケーション側の取り扱いを簡単にするために作られたのがVRMです。

また、技術的な側面に加えて、アバターの「人格」の扱いに関するライセンス情報をファイルに埋め込めるのもVRMの大きなポイントです。アバターを用いて暴力表現や性的表現を演じることの可否を設定できるなど、3Dモデルが単なるデータではなく、他者とコミュニケーションを取るキャラクターとして位置付けられる新時代に即したフォーマットと言えるでしょう。

VRMは標準規格のglTF 2.0をベースとしており、発表時点でVR関連のアプリケーションやサービスなどを手がける企業8社が賛同しています。ドワンゴからはUnity対応の標準実装が提供されていますが、フォーマット自体はプラットフォームに依存しないオープンなものです。

VRMのメリット

従来はVR空間でコミュニケーションを取ったり、動画を配信したりと3Dアバターを用いてさまざまな活動を行う際、それぞれを実現するアプリケーションごとのデータの扱いの差違に注意する必要がありましたが、VRM対応のアプリケーションが今後充実していけば、1つのVRMデータ(ファイル)をそのまま、チャットや動画配信、ゲームなどさまざまな用途に使えるようになります。

また、アプリケーションを制作する側にとっても、VRMに対応することで3Dアバター特有の情報を扱いやすくなるメリットがあります。現状ではVRM対応のアプリケーションは限られていますが、今後標準的なフォーマットとなることで、3Dアバターを利用したコミュニケーションがより容易になることが期待できます。

VRM対応のアプリケーションやサービス

VRM対応のアプリケーションやサービスは、ドワンゴが一覧を公開しています。ここではその中からいくつかをご紹介します。

VRoid Studio

人型アバター(キャラクター)の3Dモデルを作成できるアプリケーション。3Dモデリングの知識がなくても簡単な操作でオリジナルキャラクターを作ることができます。現在はまだベータ版ですがVRMデータの出力には既に対応しています。

バーチャルキャスト

VR空間のスタジオでリアルタイムにコミュニケーションしつつ、配信も行えるVRライブ・コミュニケーションサービス。アバターのデータ形式としてVRMが利用されています。

Vカツ

3Dキャラクターを簡単に作成でき、アニメーションや表情付けなども行えるバーチャルYouTuber支援サービス。利用自体は無料ですがVRM形式への対応は有料となっており、「キャラクターチケット」を購入することで作成したキャラクターをVRM形式に変換し、「バーチャルキャスト」で利用したり、ドワンゴの運営する3Dモデル投稿サイト「ニコニ立体」へ投稿できるようになります。なお、変換したVRMデータをローカルに保存することは現在のところできません。

cluster.

バーチャルキャラクターになってVR空間で人が集まることができるバーチャルイベントサービス。2018年4月より自作の3Dアバターを利用可能となり、このデータ形式としてVRMが採用されています。

3tene

Webカメラの顔認識により顔の向きとまばたきを、マイク入力からのリップシンクにより唇の動きを3Dアバターに投影できる、バーチャルYouTuber向けのアプリケーション。アバターのデータ形式としてVRMが採用されています。

Hitogata

Webカメラから顔を認識して3Dモデルに動きを反映させることができる、バーチャルYouTuber向けのアプリケーション。自前のキャラクターメイキング機能もありますが、VRM形式などのモデルデータを読み込んで使うことも可能です。

VDRAW

絵を描く、ゲームをするといった、PC上で行っている作業をバーチャルキャラクターの動作として表現可能にするアプリケーション。VR機器や高いスペックのPCがなくても、マウスとキーボードだけで3Dアバターによる配信など、バーチャルYouTuber的な活動が可能になります。バーチャルキャラクターのデータ形式としてVRMが採用されています。

VRMデータを使ってみよう

VRMデータは前述のVRoid Studioで作ったり、Unityを利用して既存の3Dモデルからコンバートすることもできますが(ドワンゴによるコンバート方法の解説)、既に公開されているデータを利用することもできます。ドワンゴの運営する3Dモデル投稿サイト「ニコニ立体」ではVRMデータの投稿に対応しており、VRMデータのみを絞り込んで一覧・検索することも可能です。

さらに、ニコニ立体のマスコットキャラクターである「ニコニ立体ちゃん」のVRMデータも公開されています。利用条件も比較的ゆるやかなので、まずVRMがどういうものか試してみたいという場合はこちらがオススメです。


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