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業界動向 2019.04.23

VR/AR関連特許、申請が多い企業はどこ?新しい市場ならではの課題も

VR/AR関連技術が進歩するに連れ、関連する特許の件数が急増しています。本記事では米国における特許の定義から、VR/AR関連特許の課題まで紹介します。

特許とは

特許制度は国により異なります。まずは米国における特許とはどのようなものか、改めて整理します。

米国特許商標庁における特許とは、特許を提出した発明者に連邦から与えられる排他的な権利で、最大20年間保証されます。有効な特許があれば、これに続くいかなる他者の発明に対しても、自分の権利を守ることができます。

特許には、1). 一般的な特許、2). 意匠特許、3). 植物特許の3種類があります。VR/ARソフトウェアは通常プロセスに関するもののため、1). 一般的な特許に分類されます。

VRに関する特許は、コンピュータープログラムにより設計される現実世界の人工的な再現(=バーチャル・リアリティ)を保護します。一方ARに関する特許は、動画、音、マッピング技術といった現実世界の体験を向上させる技術要素・データを保護します。

より実用的な特許内容に

近年のVR/AR関連特許の出願傾向を見ていきます。

大きな傾向の1つは、VR/ARを単純にエンターテイメント用途で利用するものから、より有用、包括的、実用的な用途に移行しているという点です。

たとえば包括性について例を挙げると、2019年4月に公開された株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメントの特許があります。これはVRヘッドセットと組み合わせて使用する、視線追跡(アイトラッキング)機能が実装されたメガネ型デバイスに関するもの。メガネを着用したまま、視線情報をVRコンテンツの質向上に利用する事が可能です。

また実用性については、配車サービスLyftの特許が例として挙げられます。ユーザーがARを使用して情報を収集することができるARシステムで、3D画像などを用いてベストなピックアップ場所を特定します。

この他重要なトレンドとして、VRの医療への活用が過去数年で増加していることも見逃せません。手術のシミュレーションや医療情報のビジュアル化などがその具体例です。

国別、企業別の最多申請は?

VR/ARに関する特許を提出している企業が最も多いのは米国で55%を占めます。中国、欧州がこれに続きます。企業別に見るとマイクロソフト、インテル、ソニーがVR/AR関連特許の3大ホルダーです。この他にOculus(フェイスブック)、ノキア、モトローラ・モビリティ、アップルも活発な動きを見せています。

VR/AR関連特許の課題

最後に、VR/AR関連特許の課題を紹介します。1つ挙げられるのが、技術が比較的新しいため方向性が見いだせていない点です。この結果、多くの企業は研究開発競争に乗り遅れないために特許の申請を続けています。

これらの特許は、しばしば企業が技術の製品化を決定する前に申請されています。他者が似たようなアイディアを考案することを防ぐ目的、いわば保険としての申請です。

ただしこうした動きが可能なのは、リソースが豊富な大企業のみ。小規模な企業やスタートアップは競争力をつけられません。

また特許の取得には、通常数年の年月を要します。VR/AR市場のような動きの早い分野では、特許を取得する頃には他社がその技術に関する権利を得てしまうケースもありえます。

こうした課題を克服するためには、将来的な採用の可能性が少しでも高い場合、できるだけ早く特許出願を行うことが推奨されます。申請が遅れれば、歴史を変えるチャンスを失う可能性すらあることになります。

2019年2月以降だけでも、MoguraVRでは下記のような特許の紹介をしています。

(参考)VRScout
Mogura VRはVRScoutのパートナーメディアです。


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