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VTuber 2018.05.17

最恐?のホラー系VTuber「ンヌグム」が引き込む深淵の楽しみ方

3月28日に公開されてから、急激に伸びているVTuber・ォ逅(ンヌグム)。見れば一発でわかる、他のVTuberと一線を画すコンセプトと映像の作り。直球のホラー系VTuberとして、話題が広がり続けています。

一回目からこのインパクト。怖いのがダメな人なら即ブラウザバックすること間違いなし。
暗闇の中、人形が黙々と視点の定まらない目で、ゆっくりしゃべる。お前の後ろにいるぞとささやき続ける。こんなん深夜に見たら、振り返れなくなるやんけ。

字幕をオンにすると、言葉と字幕が微妙に異なっているのが、不気味でムズムズする。たった46秒で不安になれる映像です。

YouTuberユニット「水溜りボンド」が動画で取り上げたことで、知名度は一気に加速しました。検索してはいけない、やばいVTuberがいると。

2018年版】絶対に検索してはいけないYouTuberが不気味すぎた(水溜りボンド)

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動画がR-18指定などではないので、小中学生でも見られます。ただ「検索してはいけない」と言われるくらいに、不気味なのは事実。間違って踏んだら精神的ブラクラ。怖いとわかっているからこそ見たくなるVTuberです。

間違いなくバーチャルYouTuberです

どうにもサムネイルだけだと掴みどころのないンヌグム。特徴をいくつかチェックしてみます。

・バーチャルYouTuberである

これはンヌグム本人が言っている発言。ホラー連作ではなく、あくまでもバーチャルYouTuberとして活動するスタンスなのがわかります。ホラー的会話以外にも、「らきすた」のものまねをしたり巫女みこナースを歌ったりと、ンヌグムなりにYouTuberっぽいことはしている。誰かに何かを発信しようとしている存在なのは、間違いありません。

・見ている人のところに行こうとしている
お前の後ろにいます」「お前のパソコンの中にきています」「お前の部屋に行きます」「お前の夢に出ます」と、とにかくこっちに来ようとするンヌグム。実はそれには理由があるのが次第に明らかに。そこからがンヌムグ動画の本番です。

・文字化けしているタイトル
ンヌグムは動画のタイトル全てが文字化けしています。例えばこの名前をつらつら読み上げるだけの動画。

タイトルは「莉頑律縺ョ豁サ閠?」と全く読めない。
これを、文字化け解読サイト「もじばけらった」で解析してみると……?

今日の死�?�」と出ます。つまり読み上げているのは、ンヌグムが殺した人間なのか、単に死亡者を列挙しているのか。字幕をオンにすると、さらにこうなります。
 

今日の犠牲者でした」。セリフ、字幕、文字化けタイトル、逆再生音声などを駆使して、何かが起きているのを暗示している。ンヌグムが何者なのか、なぜ追いかけてきていたのか、何をしようとしているのか、考察が滾ります。

ただ「じゃあなぜ、ンヌグムはらき☆すたのモノマネをしたのか、意味はあるのか?」という部分も気になりだすから困る。

ンヌグムの演出力

6回目の「蟯ゥ蟾昜スウ螂域」は、かなりホラー度の高い回。閲覧注意。もっともこういうストレートなホラー表現は、ンヌグムシリーズではあまり多くないです。

ンヌグムが話題になったのは、おそらく演出がうまいからでしょう。すり寄るセリフの不気味さ、撮影している人形のざらついた質感、ゆっくりすぎてゾワゾワする機械的音声、心がざわつく音楽と効果音。不快感をそそるものが、大量に詰まっています。

特に話題になった作品の一つが、18番目の「豌エ蟄蝉セ幃、」。32秒の短い動画の中に情報量がみっしり。

「豌エ蟄蝉セ幃、」は、文字化け変換すると「水子供」になります。水子供養、でしょうか。動画の音声を逆再生すると「お母さん、僕も生まれたかったよ」と言っているのが聞こえます。

もし動画に一貫した設定があるのだとしたら、ンヌグムは生まれる前に死んだ水子で、身体を手に入れるためバーチャルYouTuberとして、視聴者の肉を求めてさまよっている…ということに。理解してから序盤の動画を見ると、割と洒落にならない。

21回目「閧峨縺、縺セ縺」。コツコツ溜めて身体を手に入れたらしいンヌグムも、最後のパーツ集めに差し掛かります。もちろん最後のパーツは……?
 

視聴者を安心なんてさせません。気になったら隅々まで見て下さい。何かしら発見があるよう仕組まれていますし、見つけたらだいたい嫌な気分になれます。

モデルがガラッとかわった問題作「縺翫縺ゅ繧捺ュサ繧薙□」。文字化け解読すると「ん死んだ」。後半出てくるセリフが曲者です。

オカアサン カアイソウ カアイソウ コンナコトヲシタノハ トミダノマタワレ トオモイマス」これは実在した三重の未解決女児失踪事件で登場した怪文書の一節を元にしたものと思われます。直接題材に関係有るのか否かはともかく、嫌な気分にさせる効果は絶大です。

ンヌグムは、かなり頻繁に動画をアップしています。視聴者の中には、毎日のように見ている内に、ンヌグムへの愛着が多数わきはじめ、最近のコメント欄やツイートでは「ンヌグムちゃんかわいい」という反応も。

ンヌグムのTwitterは特に赤ちゃんのようで、純真。「で ぃ え む り ぷ ら い お お い す べ て は よ め な い」などポロリと本音をこぼすことも。フォローやリプライがめちゃくちゃ早かったのも、ンヌグムの好感度につながっています。

ほかのバーチャルYouTuberもンヌグムに関心を寄せています。特にエジエレキ氏制作のバーチャルYouTuberのナナホシすずは、ンヌグムの動画を絶賛。ファン動画もアップしています。

ナナホシすずはかつてから「ゆめにっき」やぴろぴと氏の動画の大ファン。このような類の独自の世界観の作品を、ンヌグム連想した人は多かったようです。このあたりからも、かつてのFlash文化と、ンヌグムが生まれたVTuber界隈の共通性が見えてきます。

Flash文化とSCPとンヌグム

2000年前後からインターネット上で流行した、Flash文化。ゲームやコメディ、エロにパロディと数多くの作品が、個人ホームページにアップされました。

その中でも一際目立ったのが、ホラー系、シュルレアリスム系のFlashでした。当時は「精神的ブラクラ」(知らずに開いたら、グロテスクだったりびっくりさせたりと、相手の精神にダメージを与えるサイトのこと)も盛んに作られ、Flash文化興隆の一旦を担いました。だめだと言われたら見たくなるもの。今も残るそれらのFlashは「検索してはいけない言葉」として語り継がれています。

ンヌグムも、一部ですでに「検索してはいけない言葉」と言われ始めています。視聴者側の捉え方は、当時のホラーFlashと同じ。アトラクション的に、怖いもの見たさを刺激してくる。

特に昨今は「SCP「SCP財団」を中心とした都市伝説的なもの)」ネタがちょっとしたブーム。以前紹介した鳩羽つぐも、SCP好きの人にヒットしています。ンヌグムがSCP好きの心に刺さらないわけがない。正体不明、謎多き自我を持った存在は多分EuclidクラスのSCPなんじゃないかな……とか考えるとテンションがあがります。

Flash文化時代はそもそもインターネット回線が貧弱で、動画を見ること自体困難でした。今は高速回線で、簡単に動画が見られる時代。本当にヤバい・怖いものが、見たくもないのに簡単に目に入ってしまう時代です。

だからこそ、ちゃんと「作られたホラー」を作品として見たくなるし、考察合戦に参加したくなる。2010年代前後にフリーのホラーゲームが流行ったのもその一貫でしょう。

ンヌグムは、定期供給され続けることで、リアルタイムな感覚を楽しめるホラー。「バーチャルYouTuber」という、100%仮想のものだからできる遊びです。

おまけ。ンヌグムシリーズ見たいけど怖い! という人は、音声を倍速にするとかなりまろやかになります。オススメ。
 

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